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知っておこう、ギランバレー症候群とリハビリテーションについて

 今回はギランバレー症候群についてとリハビリテーションについて説明します。

はじめに

 ギランバレー症候群(以下:GBS)は、感染などの何らかの免疫に対する刺激に続発して生じる免疫異常によって引き起こされる急性に進行する全身性の運動麻痺を呈する末梢神経の多発神経炎のことを言います。

 よく病院にGBSで入院される方は、鶏肉による食中毒が原因のことが多い印象です。

 重症な場合には呼吸をする筋肉まで障害されて、人工呼吸器による治療が必要になる場合もあります。

本邦における、GBSの発症率は人口10万人に対して1.15人と推定されています。

GBSは比較的予後が良好な疾患で、約6カ月~1年で自然回復するとされているが、約30%に治療抵抗例がみられ長期化する場合もあります。

また15~20%に生活に支障をきたす永続的な後遺症がみられる場合もあります。

病期的リハビリテーション介入

急性期

 GBSの急性期では休息に症状が進行します。重症例では呼吸筋麻痺や球麻痺による嚥下障害、自立神経障害による不整脈や起立性低血圧などが生じるなど、全身状態が不安定になることが多いです。

急性期のリハビリテーションの目的は、リスク管理と2次的障害を予防することです。

安静期間を強いられる急性期では、深部静脈血栓症や肺塞栓、呼吸循環障害、関節可動域制限を併発するリスクがあるため、呼吸リハビリテーションおよび関節可動域訓練、ポジショニングなどを行います。

回復期

 回復期になると機能障害や日常生活動作を速やかに改善できるよう介入します。

一般的に発症から2~4週間で症状はピークに達し、回復に生じていきます。

人工呼吸器装着例では呼吸機能回復とともに離脱を進め、回復に合わせた腹式呼吸の練習を行います。また、個々の筋の筋力が回復し始めると、筋力増強訓練も行っていきます。

筋力増強訓練は負荷量をしっかり管理して、過用症候群に発生に注意します。

 目安とすれば、翌日に疲労が出ない程度に筋力増強訓練を実施することがいいでしょう

 日常生活動作の獲得を目指して動作練習も負荷量に注意し行っていきます。

また、この時期から装具の作成や歩行補助具の活用も行います。社会復帰が近づいてくると職場や自宅環境も整えることも重要です。

生活期

 完全に回復し、社会生活に支障がなければいいですが、6カ月経過しても機能障害が残存する例も多く、その場合は継続した介入が必要になる場合があります。

退院後に利用できる福祉制度は年齢や自治体によって異なるため、入院中に調整することが重要です。

 高齢者では退院直後に環境の変化によって日常生活自立度が低下する可能性が高いため、訪問リハビリテーションを活用するなど積極的な生活場面での介入が必要となってきます。

おわりに

 GBSは予後良好な疾患と言われてきましたが、回復が長期に及ぶものや回復後に疲労感や感覚異常が残存するケースも報告されています。

そのため、GBSにたいするリハビリテーションは急性期から回復期にかけて長期にわたるサポートが必要です。

患者様や家族様、そして多職種の医療従事者が連携を密にとり連絡を取り合うこうが必須となってきます。

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