" />

理学療法士が教える、高齢者の転倒で良く起こる骨折とは

今回は高齢者の転倒で良く起こる骨折について説明していきます。

理学療法士の視点から、話を進めていきますので是非参考にしてみて下さい!

はじめに

高齢者の転倒は、骨折の主要な原因の一つです。

加齢に伴い骨密度が低下し、筋力が衰えることで、転倒リスクが高まります。

特に骨折は高齢者の生活の質を大きく左右し、長期的なリハビリテーションや介護が必要となることも多いです。

理学療法士として、転倒による骨折の予防やリハビリの重要性を理解し、正しい情報を提供することは非常に重要です。

今回は、

  1. 高齢者の転倒による骨折のメカニズム
  2. 高齢者によく起こる骨折部位
  3. 骨折予防のための具体的な対策

をもとに、高齢者の転倒による骨折のメカニズム、よく起こる部位、そして予防とリハビリの方法について詳しく解説します。

1. 高齢者の転倒による骨折のメカニズム

高齢者が転倒した際に骨折しやすい理由は、いくつかの要因に起因します。

まず、加齢に伴う骨密度の低下が挙げられます。骨は生きている組織であり、新しい骨が作られ、古い骨が吸収されるプロセスが常に行われています。

しかし、年齢とともにこのバランスが崩れ、骨密度が低下し、骨がもろくなります。

この状態を骨粗しょう症と言い、特に女性は閉経後に急激に骨密度が低下するため、注意が必要です。

また、筋力の低下も重要な要因です。筋力が低下すると、転倒を防ぐためのバランスを保つことが難しくなります。

特に下肢の筋力が低下すると、歩行や立ち上がり動作が不安定になり、転倒のリスクが増加します。

さらに、反射神経の鈍化や視力の低下など、加齢に伴う身体機能の低下も、転倒リスクを高める要因となります。

最後に、環境要因も見逃せません。高齢者の生活環境が転倒しやすい状況にある場合、転倒事故が発生しやすくなります。

例えば、家の中に敷かれたカーペットの端や、滑りやすい床、暗い照明などが挙げられます。

これらの要因が重なることで、高齢者は転倒しやすくなり、骨折のリスクが高まります。

2. 高齢者によく起こる骨折部位

高齢者の転倒による骨折は、特定の部位に集中することが多いです。

ここでは、特によく見られる骨折部位について詳しく説明します。

  • a. 大腿骨近位部骨折(股関節骨折)
    高齢者の骨折の中で最も多いのが、大腿骨近位部骨折、いわゆる股関節骨折です。転倒した際に股関節を強打することで発生しやすく、特に高齢女性に多く見られます。股関節骨折は歩行能力に大きな影響を与え、手術が必要となるケースが多いです。手術後も長期的なリハビリテーションが必要で、回復には時間がかかります。
  • b. 橈骨遠位端骨折(手首の骨折)
    手をついて転倒した際に発生しやすいのが、橈骨遠位端骨折、いわゆる手首の骨折です。これは比較的軽度の骨折とされますが、手首の機能に影響を与えるため、早期の治療とリハビリが重要です。手首の骨折は日常生活の自立度に直結するため、適切な管理が求められます。
  • c. 脊椎圧迫骨折
    背中を打って転倒した場合に発生するのが、脊椎圧迫骨折です。骨粗しょう症が進行していると、軽い転倒でも脊椎が圧迫されて骨折することがあります。この骨折は背中の痛みや姿勢の変化を引き起こし、生活の質を著しく低下させることがあります。治療には痛みの管理とともに、背中を支える筋肉の強化が重要です。

3. 骨折予防のための具体的な対策

転倒による骨折を予防するためには、日常生活での具体的な対策が必要です。

以下に、高齢者が実践できる具体的な予防策を紹介します。

  • a. 骨密度を維持するための栄養管理
    骨密度を維持するためには、カルシウムやビタミンDの摂取が重要です。カルシウムは乳製品や小魚、緑黄色野菜に多く含まれており、ビタミンDは日光浴や魚類に多く含まれています。バランスの取れた食事を心がけ、必要に応じてサプリメントを利用することも考慮しましょう。
  • b. 筋力とバランスのトレーニング
    筋力とバランスを維持するためには、定期的な運動が欠かせません。ウォーキングや軽いストレッチ、筋力トレーニングを日常的に行うことで、転倒リスクを減少させることができます。特に、下肢の筋力を強化することが重要で、理学療法士による専門的なトレーニング指導を受けることも有効です。
  • c. 環境の整備
    高齢者の生活環境を安全に整えることも、骨折予防には欠かせません。滑りにくい床材の使用や、手すりの設置、適切な照明の確保など、環境面での改善が重要です。日常生活の動線を見直し、転倒しやすい要素を排除することで、安全な環境を作りましょう。

おわりに

高齢者の転倒による骨折は、生活の質を著しく低下させる重大な問題です。

しかし、適切な対策を講じることで、転倒リスクを大幅に減少させることができます。

理学療法士として、高齢者の骨折予防に向けた具体的なアドバイスを提供し、健康で安全な生活をサポートすることが重要です。

今回の話を通じて、高齢者の骨折のリスクや予防策について理解を深め、日常生活に役立てていただければ幸いです。

骨折予防のために、今すぐにでも実践できる対策を取り入れ、健康で充実した生活を送りましょう。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA