今回は、ギランバレー症候群とストレスの意外な関係について説明していきます。
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
ギラン・バレー症候群(GBS)は、自己免疫反応によって末梢神経が攻撃されることで発症する稀な疾患です。
主な症状には、筋力低下、感覚異常、場合によっては呼吸筋麻痺などがあります。
近年、ストレスがGBSの発症や重症化に関与する可能性があることが研究で示されています。
ストレスが免疫系に与える影響を理解することで、GBSの予防や治療に新たな視点を提供できるかもしれません。
1. ギラン・バレー症候群とは?
GBSは、自己免疫反応によって末梢神経の髄鞘が破壊されることで発症します。
主な特徴は以下の通りです。
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症状の進行: 初期症状として、手足のしびれや筋力低下が現れ、数日から数週間で全身に広がることがあります。
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原因: 多くの場合、ウイルスや細菌感染(例:カンピロバクター・ジェジュニ)後に発症します。
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診断と治療: 神経伝導速度検査や髄液検査で診断され、治療には免疫グロブリン療法や血漿交換療法が用いられます。
GBSは早期診断と適切な治療により、多くの患者が回復しますが、重症化すると呼吸筋麻痺などの合併症を引き起こす可能性があります。
2. ストレスと免疫系の関係
ストレスは、身体の免疫系に多大な影響を与えることが知られています。
特に、慢性的なストレスは以下のような免疫系の変化を引き起こす可能性があります。
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炎症性サイトカインの増加: 慢性的なストレスは、IL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインのレベルを上昇させ、免疫系の過剰反応を引き起こすことがあります。
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自己免疫反応の誘発: ストレスによって免疫系のバランスが崩れ、自己組織を攻撃する自己免疫反応が誘発される可能性があります。
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血液脳関門の透過性の増加: ストレスは血液脳関門の透過性を高め、免疫細胞が中枢神経系に侵入しやすくなることがあります。
これらの変化は、GBSの発症や進行に関与する可能性があると考えられています。
3. GBSとストレスの関連性
近年の研究では、ストレスがGBSの発症や重症化に関与する可能性が示されています。
以下に、主な研究結果を紹介します。
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心理的ストレスとGBSの発症: ある研究では、心理的ストレスがGBSの発症リスクを高める可能性があると報告されています。ストレスによって免疫系が過剰に反応し、自己免疫反応が誘発されることが考えられます。
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ストレスと免疫応答の変化: ストレスは、免疫系のバランスを崩し、炎症性サイトカインの増加や自己抗体の産生を促進することがあります。これらの変化がGBSの病態に影響を与える可能性があります。
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ストレス管理の重要性: GBSの予防や治療において、ストレス管理が重要であると考えられています。リラクゼーション法や心理的サポートが、免疫系のバランスを保つのに役立つ可能性があります。
おわりに
ギラン・バレー症候群とストレスの関係について、最新の研究をもとに解説しました。
ストレスが免疫系に与える影響は、GBSの発症や進行に関与する可能性があり、ストレス管理が予防や治療において重要であると考えられます。
今後の研究によって、より具体的なメカニズムや効果的な対策が明らかになることが期待されます。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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Irwin, M. R., & Vedhara, K. (2012). Human Psychoneuroimmunology. Oxford University Press.en.wikipedia.org