今回は、ギランバレー症候群と「鶏肉」の関係について説明していきます。
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
ギラン・バレー症候群(GBS)は、自己免疫性の神経疾患であり、感染症に続発することが知られています。
中でも、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)という細菌が主要な誘因とされています。
この細菌は、主に加熱不十分な鶏肉を介して感染することが多いため、「鶏肉がGBSの原因の一つである」との見解が広まっています。
しかし、実際には鶏肉そのものが直接の原因ではなく、調理や衛生管理の不備が問題となります。
カンピロバクター・ジェジュニとギラン・バレー症候群の関係
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感染経路: カンピロバクター・ジェジュニは、主に加熱不十分な鶏肉や鶏レバー、焼き鳥などを介して人に感染します。
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自己免疫反応の誘発: この細菌は、神経細胞の構造と似た糖脂質を持っており、免疫系が誤って自身の神経を攻撃する「分子模倣」によりGBSを引き起こすことがあります。
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発症リスク: カンピロバクター感染後にGBSを発症するリスクは、感染者1,000人あたり約0.3人とされています。
鶏肉とギラン・バレー症候群の関連性
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直接的な因果関係の否定: 鶏肉そのものがGBSの直接的な原因であるという証拠はありません。
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調理不備によるリスク: 加熱不十分な鶏肉や、調理器具の不適切な洗浄により、カンピロバクター感染のリスクが高まります。
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予防策の重要性: 鶏肉を十分に加熱し、調理器具や手指の衛生管理を徹底することで、感染リスクを大幅に低減できます。
ギラン・バレー症候群の予防と対策
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衛生管理の徹底: 鶏肉の調理前後には、手洗いや調理器具の消毒を徹底し、交差汚染を防ぐことが重要です。
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公共の注意喚起: 2025年初頭、インドのプネ市ではGBSの集団発生が報告され、当局は加熱不十分な鶏肉の摂取を控えるよう呼びかけました。
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医療機関への早期受診: 下痢や腹痛などの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが推奨されます。
おわりに
ギラン・バレー症候群と鶏肉の関連性は、カンピロバクター・ジェジュニという細菌を介した間接的なものであり、鶏肉そのものが直接の原因ではありません。
適切な調理と衛生管理を行うことで、感染リスクを大幅に低減することが可能です。
正しい知識と予防策を身につけ、安全な食生活を心がけましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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Campylobacter Species and Guillain-Barré Syndrome – PMC
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Debunking the chicken myth: Guillain-Barré Syndrome and poultry
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Campylobacter Infection: Symptoms, Causes, Treatment, Prevention