今回は、腎臓の機能について説明していきます
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
目次
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はじめに
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腎臓の基本的な働き
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老廃物の排出機能
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体液と電解質の調整機能
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ホルモン分泌と全身調整機能
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腎臓と最新研究動向
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おわりに
はじめに
腎臓は人間の生命維持に欠かせない臓器であり、わずか握りこぶしほどの大きさながら、全身の健康を左右します。
多くの方は「腎臓=尿を作る臓器」という認識をお持ちですが、実際にはそれ以上に複雑かつ重要な役割を担っています。
最近の日本および海外の研究では、腎臓が代謝や免疫、さらには脳や心臓の健康にも密接に関わっていることが明らかになってきています。
1. 腎臓の基本的な働き
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血液をろ過し、必要な成分を再吸収する
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老廃物や余分な水分を尿として排出する
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ナトリウムやカリウムなどのバランスを保つ
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血圧や骨の健康に関与するホルモンを分泌する
腎臓は1日に約180リットルの血液をろ過します。
この過程で、体に必要な栄養素や水分は再吸収され、不要なものだけが尿として体外へ出されます。
この「選別能力」は、人工的には完全に再現できないほど精密で、透析や人工腎臓装置でも限界があるほどです。
2. 老廃物の排出機能
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代謝産物(尿素・クレアチニンなど)を排出する
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薬物や毒素を分解・排泄する
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アンモニアなど有害物質を除去する
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酸・塩基バランスを維持する
腎臓は体内のフィルターとして、肝臓で処理された老廃物や代謝産物を尿に変えて排出します。
特にクレアチニン値や尿素窒素(BUN)は腎機能を測る重要な指標であり、これらが上昇すると腎臓のろ過能力が低下していることを意味します。
3. 体液と電解質の調整機能
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ナトリウム濃度を一定に保つ
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カリウム濃度を調整する
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血液量を調節し血圧を維持する
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水分量を調整して脱水や浮腫を防ぐ
ナトリウムとカリウムのバランスは心臓や神経の働きに直結します。
最新の海外研究(2024年、NEJM誌)では、腎臓が脳と連携してナトリウム排泄を制御する「腎脳相互作用」の存在が報告され、心不全や高血圧治療に新たな可能性が示されました。
4. ホルモン分泌と全身調整機能
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エリスロポエチン(造血ホルモン)の分泌
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レニン(血圧調整ホルモン)の分泌
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活性型ビタミンDの生成
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骨や免疫系への影響
腎臓は単なるフィルターではなく、内分泌器官としても重要です。
エリスロポエチンは骨髄に働きかけ赤血球を増やし、活性型ビタミンDはカルシウム吸収を助けて骨を健康に保ちます。
腎不全になると貧血や骨粗しょう症が進行するのはこのためです。
5. 腎臓と最新研究動向
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腎臓の再生医療(iPS細胞を用いた研究)
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腸内細菌と腎機能の関係性
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腎臓と認知症の関連性
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遺伝子治療による腎疾患予防
近年、腎臓の健康は腸内環境や脳機能とも深く結びつくことが分かってきました。
2023年の米国の研究では、腎機能低下がある人はアルツハイマー病の発症リスクが有意に高いことが報告され、予防医療として腎臓の維持がより重要視されています。
おわりに
腎臓は「静かに働く臓器」であり、症状が出るころには機能がかなり低下していることが多いです。
だからこそ、日常的な健康管理や定期検診で早期に異常を察知することが重要です。
腎臓を守ることは、全身の健康を守ることにつながります。
今日からでも、塩分を控え、適度な運動と十分な水分補給を心がけてください。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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KDIGO Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease. Kidney Int Suppl. 2022.
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日本腎臓学会 編. 「腎臓病の最新知見2024」. 南江堂.
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National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Your Kidneys & How They Work. https://www.niddk.nih.gov/health-information/kidney-disease/kidneys-how-they-work