今回は、「心臓カテーテル手術(PCI)を受けた人の体験談とその教訓」について説明していきます
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
経皮的冠動脈インターベンション(Percutaneous Coronary Intervention, PCI)は、冠動脈(心臓の血管)が狭窄・閉塞した際に行われるカテーテル治療です。
バルーン(風船)やステントを使って血流を回復させるため、狭心症や心筋梗塞の治療として広く実施されています。
近年、技術の進歩により、PCIは低侵襲かつ短期間で回復できる手術となりました。
しかし、手術そのものの不安や術後の管理など、患者が直面する課題は少なくありません。
本記事では、実際にPCIを受けた人々の体験談をもとに、手術の流れや教訓を詳しく解説します。
1. PCI手術を受けた人のリアルな体験談
ケース1:60代男性・急性心筋梗塞による緊急PCI
手術前の状況
- 以前から胸の違和感を感じていたが、忙しさを理由に放置。
- ある日、突然強烈な胸痛と冷や汗が出現し、救急搬送。
- 病院で急性心筋梗塞と診断され、即座にPCIを実施。
手術の流れと感想
- 局所麻酔で手首の動脈からカテーテルを挿入。
- 手術時間は約1時間半で、ステントを1本留置。
- 手術中は意識があり、医師と会話ができた。
- 「思ったよりも痛みはなかったが、心臓がドクドクする感覚があった」とのこと。
近年では、ステントを用いていないPCIも行われています
術後の回復と生活の変化
- ICUで一晩過ごし、翌日には一般病棟へ。
- 退院後は抗血小板薬を服用し、食生活も改善。
- 術前よりも息切れが減り、日常生活の質が向上。
ケース2:50代女性・労作性狭心症による計画的PCI
手術前の状況
- 階段を上ると胸が締めつけられる感じがあった。
- 検査の結果、冠動脈が70%以上狭窄していることが判明。
- 主治医と相談し、計画的にPCIを実施。
手術の流れと感想
- 局所麻酔のみで、手術中もリラックスしていた。
- 40分ほどで終了し、「あっという間だった」とのこと。
- ただし、術後に手首の出血を防ぐために圧迫され、不快感があった。
術後の生活の変化
- 退院後すぐに通常の生活に戻れた。
- 適度な運動を心がけ、再発予防に努めている。
2. PCI手術の術前・術後の注意点
術前の準備
- 血液検査・心エコー・冠動脈造影検査を実施
- 術前の薬の調整(抗凝固薬を使用している場合は医師と相談)
- 絶食の指示を守る(通常は手術6時間前から飲食禁止)
術後のリハビリと生活管理
- 軽い運動からスタート(最初はウォーキング程度が推奨)
- 血圧管理を徹底(高血圧は再狭窄のリスクを高める)
- 禁煙・減塩・バランスの取れた食事を意識
術後に注意すべき症状
- 胸の違和感や痛み(再狭窄の可能性)
- 息切れやめまい(血栓リスクがあるため注意)
- 出血や腫れ(カテーテル挿入部の合併症)
3. PCI手術から学ぶ教訓
1. 症状を軽視せず、早めに医師に相談する
- 体験談でも「もっと早く病院に行っていれば…」と後悔する声が多い。
- 軽い胸の違和感でも、心臓病の兆候の可能性がある。
2. 術後の生活習慣が予後を決める
- PCIを受けたからといって安心せず、生活改善を続けることが大切。
- 特に食事・運動・禁煙が再発防止の鍵になる。
3. 医師とのコミュニケーションが重要
- 治療方針や術後の管理について、納得のいくまで質問することが大切。
- どの薬をどれくらいの期間飲む必要があるのかをしっかり理解する。
おわりに
心臓カテーテル手術(PCI)は、冠動脈の狭窄を改善し、心臓の血流を回復させる画期的な治療法です。
しかし、手術そのものは短時間で終わるものの、術前・術後の管理が非常に重要です。
実際にPCIを受けた人々の体験から学べることは多く、「早期受診」「生活習慣の見直し」「医師との対話」が成功のカギとなります。
これからPCIを受ける方や、その家族の方にとって、この記事が役立つ情報となれば幸いです。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
- American College of Cardiology. “Percutaneous Coronary Intervention (PCI): What to Expect.” https://www.acc.org/PCI
- 日本循環器学会「冠動脈疾患の治療ガイドライン2023」
- Mayo Clinic. “Heart Stent Placement and Recovery.”