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ペースメーカー埋め込み術を受けた人の体験談とその教訓

今回は、ペースメーカー埋め込み術を受けた人の体験談とその教訓について説明していきます

心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!

はじめに

ペースメーカー埋め込み術は、心臓のリズムが正常に保てなくなった際に行われる手術であり、特に徐脈(心拍数が異常に遅くなる症状)や完全房室ブロックなどの疾患を持つ人にとっては、命を救う治療法となります。

この手術は比較的短時間で済み、局所麻酔のもとで行われるため、患者の負担は軽減されるのが特徴です。

しかし、手術後の生活には一定の注意が必要であり、また心理的な不安を感じる患者も多くいます。

この記事では、実際にペースメーカー埋め込み術を受けた人の体験談を紹介し、術後の生活の変化や得られた教訓について詳しく解説します。


1. ペースメーカー埋め込み術の体験談:患者の声

ケース1:70代男性・完全房室ブロックによるペースメーカー埋め込み

手術前の症状と診断

  • 以前から疲れやすさ、息切れ、軽いめまいがあった。
  • ある日突然、意識を失い救急搬送。
  • 検査の結果、「完全房室ブロック」と診断され、ペースメーカー埋め込みを推奨された。

手術の流れと術後の経過

  • 局所麻酔のもと、1時間ほどで手術が終了。
  • 鎖骨下にペースメーカーを埋め込み、リード(電極)を心臓内に設置。
  • 術後は約1週間程度入院で、痛みも少なかった。

術後の生活の変化

  • 手術前の息切れやめまいがなくなり、体が軽くなった。
  • 術後数カ月は、腕を大きく上げる動作を控えたが、それ以降は普通の生活が可能に。
  • 磁場の強い場所には注意が必要だと医師から説明を受けた。

患者のコメント

「手術前はペースメーカーを入れることに不安があったけど、今では本当に入れてよかったと思う。体が楽になり、気持ちまで前向きになった。


ケース2:60代女性・洞不全症候群によるペースメーカー埋め込み

手術前の症状と診断

  • 何度も極端な疲労感とめまいに襲われ、外出が億劫に。
  • 病院で心電図検査を受けた結果、「洞不全症候群」と診断。
  • 徐脈のため、ペースメーカーの埋め込みを勧められた。

手術の流れと術後の経過

  • 手術は2時間ほどで終了。
  • 術後、腕を動かす際に少し違和感があったが、大きな痛みはなし。
  • 1週間程度の入院で退院。

術後の生活の変化

  • 「動くのが楽になり、外出の回数が増えた」と実感。
  • ペースメーカーの電池寿命は7~10年と言われ、定期的なチェックが必要。

患者のコメント

「最初は怖かったけど、術後の快適さを考えたら、もっと早く決断すればよかったと思う。今は孫と公園で遊べるくらい元気!

基本的にペースメーカー埋め込み後は、1週間前後を目途に、ペースメーカーチェックを行ってから、退院する流れとなります


2. 術後の生活と注意点

術後の過ごし方

  • 手術直後は腕を大きく動かさないことが重要。
  • 術後1か月は、重いものを持たず、無理をしないことが推奨される。
  • 6か月ごとにペースメーカーのチェックが必要。

ペースメーカー使用時の注意点

  • 電子レンジやスマートフォンは影響なし。 ただし、心臓の上に携帯を置くのは避ける。
  • 最近はMRI対応型ペースメーカーも増えている。
  • セキュリティゲートを通る際は、ペースメーカー使用者であることを伝える。

ペースメーカー埋め込み後に、埋め込んだ側の腕を大きく動かすと、リードがズレる可能性があるため注意が必要です。

 


3. ペースメーカーを埋め込んで得られた教訓

1. 症状を軽視せず、早めの受診が大切

  • 「単なる疲れ」や「年齢のせい」と思わず、めまいや息切れが続く場合は病院で検査を受けることが重要。
  • 心電図検査だけでなく、ホルター心電図(24時間心電図)などの詳しい検査を受けることで、早期発見が可能。

2. 手術は短時間で済み、回復も早い

  • ペースメーカー埋め込み術は比較的簡単な手術で、負担が少ない。
  • 痛みはほとんどなく、術後の回復もスムーズ。

3. 術後の生活はほぼ普通に戻れる

  • 仕事や趣味を続けることが可能。
  • 適切な管理をすれば、旅行や軽いスポーツも問題なし。

私が担当した方で、ペースメーカー埋め込み後も美容師として働いていらっしゃる方もいます

 


おわりに

ペースメーカー埋め込み術は、心臓の異常を抱える人にとって、生活の質(QOL)を大きく向上させる治療法です。

手術は短時間で済み、術後の回復も比較的早いため、不安を感じる必要はありません。

大切なのは、症状を軽視せず、早めに医師の診断を受けることです。

ペースメーカーは「最後の手段」ではなく、「より快適な生活を送るための選択肢の一つ」だということを理解し、前向きに治療に臨んでいただければと思います。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。


参考文献

  1. American Heart Association. “Pacemakers and Your Heart.” https://www.heart.org/Pacemakers
  2. 日本循環器学会「ペースメーカー治療の最新ガイドライン」
  3. Mayo Clinic. “Pacemaker implantation and post-care.”

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