今回は、「心臓病に関する迷信:信じてはいけない情報とは?」について説明していきます
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
心臓病は世界中で主要な死因の一つですが、それにまつわる多くの迷信や誤解が広まっています。
インターネットやSNS、さらには昔からの言い伝えによって、医学的に誤った情報を信じてしまう人が少なくありません。
しかし、間違った情報を信じることで、適切な治療を受ける機会を失ったり、危険な健康習慣を続けてしまう可能性があります。
例えば、「心臓病は高齢者だけの病気」「胸が痛くなければ心臓病ではない」といった迷信を信じてしまうと、早期発見のチャンスを逃すことになります。
また、食事や運動に関する誤解も多く、それが逆に病気を悪化させることもあります。
この記事では、心臓病に関する代表的な迷信を取り上げ、それらがなぜ誤りなのか、最新の研究をもとに詳しく解説していきます。
1.「心臓病は高齢者だけがなる病気」という迷信
実際には若い世代でも発症する
「心臓病は高齢者の病気」という認識は誤りです。
確かに加齢とともに発症リスクは高まりますが、若い人でも心臓病を発症することは珍しくありません。
若い世代での心臓病のリスク要因
- 遺伝的要因(家族に心臓病の人がいるとリスクが高まる)
- 生活習慣の悪化(ジャンクフード、運動不足、ストレス)
- 糖尿病や高血圧(これらは若い人でも増えている)
- 喫煙・飲酒(特に喫煙は若年発症の心筋梗塞リスクを高める)
近年、欧米の研究では、30代や40代での心筋梗塞の発症率が増加していることが報告されています。
特に肥満やストレスの多いライフスタイルが、若年層の心臓病リスクを高めていることが分かっています。
若年発症の心臓病の例
- 若年性心筋梗塞:30〜40代の男性に増加傾向
- 肥大型心筋症:遺伝的な要因で若い人にも発症
- 心筋炎:ウイルス感染が原因で若者でも発症することがある
したがって、年齢に関係なく、心臓病の予防と定期的な健康診断が重要です。
2.「胸が痛くなければ心臓病ではない」という迷信
心臓病の症状は胸の痛みだけではない
一般的に「心筋梗塞=胸の痛み」と思われがちですが、実際には痛みを伴わないケースもあります。
特に女性や高齢者では、典型的な症状が出にくいため注意が必要です。
胸の痛み以外の心臓病のサイン
- 息切れ(軽い運動でも息切れする)
- 極端な疲労感(理由なく疲れやすい)
- 吐き気や胃の不快感(消化不良と勘違いされることも)
- 肩や腕、背中の痛み(特に左腕に違和感がある場合は要注意)
- めまいや意識が遠のく感じ(脳への血流不足が原因)
特に女性は「サイレント・ハートアタック」に注意
アメリカ心臓協会(AHA)によると、女性は「サイレント・ハートアタック(無症候性心筋梗塞)」を起こすことがあり、自覚症状がないまま心臓病が進行するケースがあると報告されています。
女性特有の心臓病の症状
- 胃の不快感や胸焼けのような感覚
- 頭痛や不眠
- 精神的な不安感(パニック発作と間違われることも)
このように、心臓病は胸の痛みだけで判断できるものではないため、少しでも異変を感じたら医療機関を受診することが重要です。
3.「運動すれば心臓病は予防できる」という迷信
運動だけでは不十分!生活習慣全体の改善が必要
確かに適度な運動は心臓の健康に良い影響を与えますが、「運動さえしていれば心臓病にならない」というのは大きな誤解です。
実際には、運動だけでなく食事やストレス管理など、総合的な生活習慣の改善が必要です。
運動だけでは防げないリスク要因
- 遺伝的な要因(親が心臓病の場合、リスクは2倍以上になる)
- 食生活の乱れ(塩分や飽和脂肪酸の多い食事は心疾患の原因)
- ストレスの影響(慢性的なストレスは高血圧を引き起こす)
- 睡眠不足(睡眠時間が短いと心臓病リスクが上昇)
逆に「間違った運動」は心臓に負担をかける
また、無理な運動は逆に心臓に負担をかけることがあります。
例えば、心臓病のリスクが高い人が急に高強度の運動を始めると、心筋梗塞や不整脈のリスクが高まる可能性があります。
心臓病予防に適した運動のポイント
- 軽い有酸素運動(ウォーキングや水泳が最適)
- 週に150分程度の中程度の運動(1日30分×3~5日)
- 運動前後のウォームアップとクールダウンを徹底
運動は心臓の健康維持に欠かせませんが、「運動だけで防げる」と考えるのは間違いであり、バランスの取れた生活習慣が不可欠です。
おわりに
心臓病に関する迷信は多く、その中には医学的に誤ったものが含まれています。
「心臓病は高齢者だけの病気」「胸が痛くなければ大丈夫」「運動すれば防げる」といった誤解は、健康を損なうリスクを高める可能性があります。
正しい知識を持ち、バランスの取れた食事・適度な運動・定期的な健康診断を心がけることで、心臓病のリスクを減らすことができます。
自分の健康を守るために、信頼できる情報を基に行動しましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
- American Heart Association. “Heart Attack Symptoms in Women.” https://www.heart.org/en/womens-health/heart-attack-symptoms-in-women
- 日本循環器学会「心血管疾患予防ガイドライン2022」
- Mayo Clinic. “Exercise and Heart Health.”