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足がつる人必見!理学療法士が教える夜のケア法

今回は、足がつる人必見!理学療法士が教える夜のケア法について説明していきます。

理学療法士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

目次

  • はじめに

  • 1 「夜間の“足がつる”ってどういうこと?原因を知ろう」

  • 2 「夜のつりを引き起こす身体の“仕組み”とリスク因子」

  • 3 「理学療法士が薦める夜のセルフケア・ストレッチ&ポジション」

  • 4 「日中にできる予防アプローチ:筋肉・血流・動作を整える」

  • 5 「これでも改善しない…時は整形外科・理学療法専門の受診を検討」

  • おわりに

  • 参考文献


はじめに

夜、ベッドでリラックスしているときに突然「足がつった!」と目が覚めた経験はありませんか?

ふくらはぎや足の裏が硬く縮んで、激しい痛みに襲われる「痙攣(けいれん)」。

この “夜間足がつる” 症状は、単なる疲れや“年のせい”とは言い切れず、実際には身体の複数の仕組みが関わっています。

しかも、眠りを妨げ、翌朝の疲労やだるさを残すこともあり、放っておくと生活の質(QOL)を下げる原因にもなります。

実際、研究によれば、夜間足つり(Nocturnal Leg Cramps:NLC)は成人の約6%が月 5回以上経験しており、年齢・運動量・睡眠状況・筋疲労など多くの要因が関連していると報告されています。

このコンテンツでは、理学療法士の立場から「夜、足がつる人にとって役立つケア法」を、原因・メカニズム・セルフケア・予防・受診タイミングという流れで解説します。

足がつることで「また寝られなかった…」と悩んでいる方、あるいは頻発して困っている方は、ぜひご自身に合ったケアを見つけてください。


1 「夜間の“足がつる”ってどういうこと?原因を知ろう」

・「足がつる(脚痙攣)」の定義と特徴

  • 夜間に、ふくらはぎ・足の裏・時には太もも後面などの筋肉が、突然かつ激しく収縮・硬直し、数秒~数分続く現象。

  • 収縮中および収縮直後に強い痛みを伴うことが多く、筋肉の固さ・張りを翌日まで持ち越すケースもあります。

  • 夜間に起きるため「眠りを妨げる」「布団を蹴って飛び起きる」など、睡眠質低下にもつながります。

・主な原因と誤解されがちなもの

  • 運動や立ちっぱなし・長時間の歩行・重労働などで筋が疲労・蓄積されたとき。

  • 長時間座りっぱなし、あるいは脚を伸ばして寝ているなど、筋肉・血流・神経の緊張/滞り。

  • 睡眠中の脚の位置(足首が先端に“つま先立ち”のようになっている/ふくらはぎが縮んだ状態)など。

  • 高齢化や神経筋の衰え、脚の筋力低下・筋肉の柔軟性低下。

  • 電解質(カリウム・マグネシウム・カルシウムなど)の不足・脱水・血流低下・末梢神経・血管の問題。

・理学療法士として知っておきたいポイント

  • 夜間の足のつりは、単なる「筋が縮んだから」というよりも、筋・神経・血管・支持構造(脚/足関節)・睡眠中の姿勢が複雑に絡んで起こっています。

  • つった筋肉を“伸ばせば終わり”というだけでなく、つりが起きやすい状態・起きる頻度・夜間の動き・脚の姿勢・日中の脚使いなど、トータルに評価する必要があります。

  • 頻繁につる人は、単なる“日常の疲れ”ではなく、身体の構造・神経の働き・血流・睡眠の質に改善の余地があるサインと捉えましょう。

・まとめ

夜間に足がつる現象は、単発の不快な出来事ではなく、「筋肉・神経・血流・姿勢・睡眠」が絡んだ複合的な問題です。まずは仕組みを知ることが、改善の第一歩です。


2 「夜のつりを引き起こす身体の“仕組み”とリスク因子」

・身体の仕組み:なぜ夜に足がつるのか?

  • 夜、睡眠時には筋肉が休息モードに入り、動的な活動が減少します。その状態で脚の筋肉が“短縮”・“固まり”・“伸びにくい”状態になると、突然の神経興奮・筋収縮が起きやすくなります。

  • また、脚を伸ばしたまま足首が底屈(つま先が下向き)になる姿勢や、ふくらはぎが縮んだまま固定される姿勢で寝ていると、筋‐腱が“縮んだ準備状態”となり、微小な動きがきっかけで痙攣を起こすと報告されています。

  • 神経の興奮性が高まる状態(疲労・血流低下・電解質変動・加齢による運動神経細胞の減少)も、つりを起こしやすいメカニズムとして指摘されています。

・リスク因子

  • 高齢(50歳以上)・筋力低下・筋肉の柔軟性低下。

  • 長時間座りっぱなし・立ちっぱなし・脚を使い過ぎ・運動習慣がない。

  • 睡眠姿勢が足首底屈・脚を伸ばしたまま・ふくらはぎが圧迫された状態。

  • 脚・足首・ふくらはぎ・ハムストリングスの硬さ・筋膜のこわばり。

  • 脱水・電解質異常(ただし、最近の報告では電解質だけでは説明できないことも多い)。

  • 基礎疾患:末梢血管疾患・糖尿病・肝腎疾患・神経疾患・薬剤使用(利尿薬・スタチンなど)。

・最新研究からのポイント

  • 2020年の研究で、座位・活動量が少ない高齢者では夜間脚痙攣の頻度が高く、運動不足・脚筋疲労・卒中予備軍的神経変性との関連が示されています。

  • また、「筋疲労・神経過興奮」が夜間脚痙攣の主因であり、かつ電解質・血液検査だけでは説明できないケースが多数であるという報告があります。

・理学療法士からの視点

脚がつるという症状を、ただ「筋肉が縮んだから」「足が冷えたから」と捉えるのではなく、**“なぜその筋が疲労・縮む準備をしていたか/なぜ神経が興奮しやすい状態だったか”**を考えることが重要です。脚・足首・ふくらはぎの柔軟性や血流・立ち方・動き方・睡眠姿勢を見直すことで、夜間のつりを予防できる可能性があります。

・まとめ

夜間脚がつる背景には、筋‐神経‐血流‐姿勢・活動の5つの要素が絡んでいます。これらを無視せずに“仕組み”を理解し、対策をとることでつりの頻度・痛みを軽減できます。


3 「理学療法士が薦める夜のセルフケア・ストレッチ&ポジション」

・寝る前~就寝中にできるセルフケア

  • 就寝前にふくらはぎ・ハムストリングス・腓腹筋・足底筋膜の軽いストレッチを行う。例えば、壁に手をついて片脚を後ろに引き、かかとを床につけてふくらはぎを伸ばす。

  • 足首を背屈(つま先を膝に近づける)・底屈(つま先を下に向ける)を軽く交互に行い、筋腱・神経の“縮まった準備状態”を解除。

  • 寝る前に脚を軽くマッサージ・暖める(温めることで血流改善)→特にふくらはぎの下部・足底。

  • 枕・寝具を見直し、脚をやや膝下に枕やクッションを入れて、脚を“少し曲げた”状態で寝ることでふくらはぎの長さを維持。

  • 就寝中に足首が底屈しないよう、布団の端をくるっと巻いたり、足元にクッションを置いたりして“つま先立ち状態”にならないよう工夫。

・就寝中のポジションのポイント

  • 脚を伸ばして寝る場合でも、足首をまっすぐ、つま先を下に曲げた状態(底屈)にならないよう意識。

  • 横向きで寝る場合、膝の間に枕を入れて脚・骨盤・背骨のアライメントを整え、脚が“ねじれた”まま長時間いないように。

  • 仰向け寝の場合、膝下に小さな枕・タオルを入れてふくらはぎをややリラックス状態に。

  • 布団・掛け布団が足首・足背部を圧迫していないか確認。締めつけがあると血流・神経が影響を受けてつりの起因になり得ます。

・夜間つった時の対処法

  • すぐに立ち上がって、かかとを床に着けたままつま先を上に引き、ふくらはぎを伸ばす。

  • 寝たままの場合、足首を背屈させ、つま先を自分側へ引いてふくらはぎ・足底を伸ばす。

  • ふくらはぎが硬くなっている箇所を手でゆっくり押し、筋肉をほぐす。痛みが落ち着いたら温かいタオルで血流促進。

  • 起き上がると痛みが強い場合は、軽く脚を動かしながら立ち上がる・歩くことで筋‐血流を促す。

・理学療法士からの補足メッセージ

夜のセルフケアは簡単ですが、**“習慣化”**がポイントです。1回だけ伸ばして楽になっても、それを毎晩のルーティンにすることで「つらない脚づくり」ができます。また、寝る前だけでなく「日中の脚使い・立ち方・歩き方」も整えておくことで、夜のケアがより効果的になります。

・まとめ

寝る前・寝ている間の脚の状態を少し変えるだけで、夜間の脚痙攣を減らす可能性があります。就寝前のストレッチ・足首・脚の位置・寝具の見直しを今日から始めましょう。


4 「日中にできる予防アプローチ:筋肉・血流・動作を整える」

・日中にできる予防習慣

  • 定期的に立ち上がって脚を動かす:長時間の座りっぱなし・立ちっぱなしは脚・ふくらはぎの血流低下・筋硬直を促します。研究でも“活動量が少ない人”ほど夜間脚痙攣の頻度が高いと報告されています。

  • ふくらはぎ・ハムストリングス・腓腹筋・前脛骨筋の柔軟性を高めるストレッチを日中に実施。筋肉が柔らかく、脚の支持が良いほど夜の脚痙攣が起きにくい傾向があります。

  • 脚・足首・足底の筋力を維持・強化する:例えば、カーフレイズ(つま先立ち)、足指グーパー運動、足裏アーチのサポート運動など。筋力低下があると脚が疲れやすく、つりのリスクが上がります。

  • 水分補給・適度なミネラル摂取:特に暑い日・運動後・発汗した日には、脱水・電解質変動が夜の脚痙攣のきっかけとなり得ます。

  • 靴・足元の環境を見直す:硬い床での長時間立ち仕事・不安定な靴・ヒールの高い靴などは脚・ふくらはぎに余分な負荷をかけ、夜間につる原因になりやすいです。

・研究からみる予防の重要性

  • 「夜間脚痙攣を訴える高齢者では、脚筋力が同年代の訴えない人に比べて明らかに低かった」という研究があります。つまり、筋力低下=つり易さの一因となり得ます。

  • また、長時間座位・低運動量が脚の筋・腱・靭帯が伸び縮みしにくい“短縮気味”の状態を招き、夜に脚が“急に縮まる”ことで痙攣を引き起こすという仮説が出ています。

・理学療法士からのアドバイス

  • 毎日10分程度、脚を支える筋(ふくらはぎ・大腿後面・前脛骨筋)を意識して使う。長時間座った後・立ちっぱなし後には必ず脚を動かす。

  • 歩行時に「かかとで着地→足裏全体に荷重→つま先で蹴る」という流れを意識し、脚の連動を良くしてふくらはぎを“使える筋肉”にする。

  • 立ち仕事・デスク仕事の合間に、ふくらはぎに体重を乗せた状態でかかとを“ゆっくり上げ下げ”するなど、筋と血流を活性化。

  • 睡眠前だけでなく、日中の習慣(姿勢・脚の使い方・運動量)を整えることで、夜間の脚つりへの備えとします。

・まとめ

夜の脚痙攣を予防するには、昼間の脚・体幹・足首・血流・筋力・柔軟性を整えることが不可欠です。日中から脚を“支えられる状態”にしておけば、夜も安心して眠りにつけます。


5 「これでも改善しない…時は整形外科・理学療法専門の受診を検討」

・セルフケアを行っても改善しないときのチェックポイント

  • 夜間の脚痙攣が 週数回以上/睡眠が頻繁に妨げられている。

  • 痙攣に伴って脚・足・ふくらはぎに「しびれ・だるさ・むくみ・冷たさ・色変化」が起きている。

  • 腰痛・下肢の痛み・脚の筋力低下・歩行の異常・既往に脚・足・神経疾患がある。

  • 利尿薬・スタチン・末梢血管疾患・糖尿病・腎機能低下などの基礎疾患がある。

・専門的に行われる検査・アプローチ

  • 理学療法士/整形外科医による脚・足・ふくらはぎ・足首・股関節・腰部の評価(筋力・可動域・柔軟性・神経支配)

  • 必要時に血液検査(電解質・腎機能・甲状腺機能など)・神経伝導検査・血流検査・脚の超音波検査など。

  • 理学療法による筋・腱・靭帯・神経・血管に対する介入(ストレッチ・筋力強化・可動域改善・動作改善・循環改善)

  • 必要時には薬物療法・サプリメント(ただし自己判断せず医師・薬剤師と相談)・生活習慣の見直し(睡眠・姿勢・脚の使い方)

・受診を決めるタイミング

“夜の脚がつる”が単なる偶発ではなく、「頻度が多い」「翌日まで影響がある」「他の症状を伴う」場合は早めに専門家に相談することが望ましいです。理学療法により「原因を突き止め・根本からの改善」を図ることで、再発予防・睡眠改善・生活の質向上につながります。

・理学療法士からのメッセージ

夜間脚つりの自己ケアは有効ですが、それだけで満足できない“つり習慣”になってしまっている方には、専門的なアプローチが力になります。筋・神経・血流・脚・体幹の“つながり”を評価・介入できるのが理学療法士であり、整形外科とも連携できる点が強みです。症状を“我慢する”前に、プロの評価を受けることも選択肢として持っておきましょう。

・まとめ

夜間の脚つりが頻発・重篤・他の症状伴う場合には、セルフケアだけで済ませず、専門家を頼ることが大切です。理学療法・整形外科のドアを早めに叩くことで、脚つりだけでなく“脚を安心して使える日常”を取り戻せます。


おわりに

夜、ベッドで「また足がつった…」と目が覚めてしまうその瞬間は、小さなサインかもしれません。

けれども、それを軽く見て続けていくと「寝不足になる」「翌朝脚が重い」「活動量が落ちる」という負の連鎖に陥ることもあります。

最新の研究では、夜間脚痙攣は「筋疲労・神経興奮・血流低下・脚の支持構造の弱さ・寝る姿勢」などが複雑に絡むことが分かってきています。

理学療法士として申し上げると、脚がつる度に「痛み=終わり」ではなく、「なぜ脚がつる状態になったか」を少し振り返ることが、根本改善へと繋がります。

そして、寝る前のほんの数分のストレッチ・姿勢と寝具の工夫・日中の脚使いの見直しが、夜の脚つりを減らし、安らかな睡眠と快適な翌朝に繋がります。

もし、ご自身でケアしても改善が見られない・悩みが続くなら、どうぞ早めに理学療法・整形外科を受診してください。脚を安心して使える毎日を取り戻しましょう。

(※本コンテンツは医療・理学療法の情報提供を目的としており、診断・治療を保証するものではありません。具体的な症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。)

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

参考文献

  1. Robinson A.H., Marawan H.O. “A review of nocturnal leg cramps in older people.” Age and Ageing. 2016;45(6):776-782.

  2. Tan J., Zhu R., Li Y., et al. “Vitamin K₂ in Managing Nocturnal Leg Cramps: A Randomized Clinical Trial.” JAMA Internal Medicine. Published online 2024. https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2024.5726

  3. Hallegraeff J., de Greef M., Krijnen W., van der Schans C. “Criteria in diagnosing nocturnal leg cramps: a systematic review.” BMC Family Practice. 2017;18:29.

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