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高齢者が起こしやすい骨折について、理学療法士が徹底解説!

今回は、高齢者が起こしやすい骨折について説明していきます

理学療法士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!

はじめに

高齢者では骨密度の低下や筋力低下、転倒リスクの増加により、骨折が日常的な課題となります。

特に脆弱骨折(脆弱性骨折)はQOLの低下を招き、死亡率や介護要支援の原因ともなり得ます。

理学療法士として、高齢者に多い骨折部位と予防・リハビリの視点を整理し、臨床現場に活かせる実践知をお伝えします。


1 高齢者に多い骨折部位と疫学

  • 脊椎(椎体圧迫骨折):女性70代では30〜40%に発症、椎体骨折は日本で年間100~150万件との報告あり

  • 大腿骨近位部(股関節骨折):75歳以上女性に多く、年齢と共に急増、世界的にも膨大な医療負担に

  • 橈骨遠位部(手首の骨折):女性では50歳以降で16〜20%の生涯リスク、初期の骨粗鬆症指標

  • 上腕骨近位部骨折:転倒時の手をつく反撃で生じやすく、肺活量や睡眠に影響するケースも

独自視点:これらの骨折は、重複する危険因子(骨粗鬆症+転倒傾向)によって生じるため、包括的評価の重要性が増しています。


2 なぜ高齢者に骨折が起こりやすいのか?

  • 骨粗鬆症:加齢・閉経後女性に好発し、骨密度低下により微小ストレスでも骨折に至りやすい

  • 筋力・バランス低下:下肢筋力と歩行機能衰退が転倒要因に直結。

  • 複数薬剤使用:ポリファーマシー(特に精神作用薬)は転倒率と骨折リスクを増大させる。

  • 環境・視覚・認知機能の問題:照明不足や段差、認知障害が転倒と骨折に直結

臨床視点:高齢者への評価では、骨粗鬆症のみならず、身体機能・薬物・生活環境を包括的に見ることが不可欠です。


3 各骨折の理学療法的リスクと臨床対応

  • 椎体圧迫骨折

    • 前屈姿勢や咳・くしゃみで発症、慢性疼痛や円背への移行リスク

    • 姿勢指導・体幹伸展運動により再発予防を行う

  • 股関節(大腿骨近位部)骨折

    • 転倒時の外傷が主原因だが、骨折後の機能喪失が重大

    • 術後早期離床・歩行訓練・バランス改善による回復促進

  • 橈骨遠位部骨折

    • 手をついた時の衝撃で骨折、前腕支持筋とバランストレーニングが予防に

    • 仮肢や装具の使用指導も有用

  • 上腕骨近位部骨折

    • 転倒や受け身時に発生。肩関節可動域や筋力低下に対して段階的アプローチが重要。

 


4 理学療法士が重視すべき予防介入

  • 筋力強化+骨量維持運動:スクワットや荷重歩行、抵抗運動による骨強化と筋力維持

  • バランス改善・歩行訓練:転倒減少だけでなく動作の安全性向上に直結。

  • 環境整備と転倒予防教育:住環境の安全性(照明段差滑り防止など)と歩行補助具使用支援

  • 薬物・栄養管理との連携:カルシウム・ビタミンD摂取、骨密度フォローアップ、必要に応じて薬剤調整を促す

独自視点:高齢者へは「動く習慣化」を重視し、「運動+生活指導+環境調整」を一体として継続的に実践できる支援設計が重要です。


5 リハビリ現場で得た実践的学び

  • 術後早期介入の効果:股関節骨折では48時間以内の手術+早期移動が機能回復と死亡率低下に結びつく

  • 患者参加型アプローチ:自己目標設定を支援することで、継続的な運動参加意欲が向上。疼痛管理を共有目標にする工夫が効果的。

  • 多職種連携の重要性:医師・看護師・薬剤師との連携によりポリファーマシー管理や栄養改善がうまく作用する。

  • 文化・信念を尊重したコミュニケーション:食習慣や生活の価値観に応じた指導が、長期介入の継続に不可欠。

 


おわりに

高齢者が起こしやすい骨折には、椎体圧迫骨折、股関節骨折、橈骨遠位部骨折、上腕骨近位部骨折があり、その背景には骨粗鬆症、筋力低下、転倒リスク、生活環境といった複合的要因があります。

理学療法士としては、以下が重要です:

  • 評価は包括的に行い、骨+身体機能+生活環境をトータルに把握する

  • 転倒予防筋力・バランス強化環境整備の三者を統合的に介入設計

  • リハ実践には早期離床・患者主体の動機づけ・多職種連携が鍵

  • 食・栄養・薬物管理も含めた長期的支援体制が骨折再発防止に直結する

患者様の生活の質を守るうえで、予防と機能回復の理学療法的介入は欠かせない要素です。

実践的な観察と最新エビデンスの融合により、高齢者の健康に貢献できるプロとして取り組んでいきましょう。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました


参考文献

  1. Court‑Brown, C. et al. Epidemiology of fragility fractures in the elderly – Vertebral fracture発生率と比較

  2. BMC Public Health (2023). Proximal hip fractures in elderly patients – 高齢者股関節骨折と転帰分析

  3. PMC. Fragility fractures: risk factors and management in the elderly – 女性50‑50% lifetime riskなどPMC

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