今回は、痩せているのに健康診断で異常値…知らざる病気の可能性について説明していきます
医療従事者の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
健康診断は、病気の早期発見や健康管理に欠かせないものです。
しかし、「体型的には痩せているのに、血液検査やその他の数値に異常がある」というケースは少なくありません。
特に、日本ではBMI(体格指数)が低いことが「健康的」と考えられがちですが、痩せていても内臓や代謝に異常が潜んでいる可能性があります。
今回は、
- 痩せているのに健康診断で異常値が出る理由
- 痩せ型の人に多い健康診断の異常値とその意味
- 知られざる病気とその可能性
をもとに、「痩せているのに健康診断で異常値が出る」原因となる病気について詳しく解説します。
痩せ型の人に多い健康リスクを理解し、病気の予防や早期対策につなげましょう。
1. 痩せているのに健康診断で異常値が出る理由
「痩せている=健康」とは限りません。以下のような要因によって、健康診断で異常値が出ることがあります。
◼ 痩せ型の人が健康診断で異常値を示す主な理由
-
隠れ脂肪肝(LEAN NAFLD)
- 痩せていても内臓脂肪が多いと、肝機能異常が出る
- 食生活の乱れや運動不足が原因
- アジア人は欧米人に比べて「痩せ型脂肪肝」になりやすい
-
糖尿病(痩せ型2型糖尿病)
- 通常は肥満がリスク要因だが、痩せていても発症するケースがある
- 筋肉量が少ないと、インスリン抵抗性が悪化しやすい
- 特に遺伝的な要素やストレスが影響する
-
甲状腺機能異常(バセドウ病・甲状腺機能低下症)
- 甲状腺の異常があると、体重が減少しやすくなる
- 甲状腺ホルモンの過剰分泌(バセドウ病)で代謝が亢進し、異常値が出る
-
栄養不足(低栄養・ビタミン・ミネラル不足)
- 痩せ型の人は、食事量が少なく栄養バランスが偏りがち
- 鉄欠乏性貧血や低アルブミン血症を引き起こす
-
ストレスや自律神経の乱れ
- 慢性的なストレスはホルモンバランスを崩し、異常値を引き起こす
- コルチゾールの過剰分泌が血糖値やコレステロール値に影響
2. 痩せ型の人に多い健康診断の異常値とその意味
痩せているのに健康診断で異常値が出る場合、どの項目に注意すべきかを解説します。
◼ 健康診断で異常が出やすい項目
-
肝機能(AST・ALT・γ-GTP)
- 痩せているのに脂肪肝(LEAN NAFLD)がある場合、肝機能異常が出る
-
血糖値・HbA1c
- 痩せ型糖尿病の可能性がある場合、高血糖や耐糖能異常がみられる
-
コレステロール(LDL・HDL・中性脂肪)
- 痩せ型の人でも、動脈硬化のリスクがある
-
甲状腺ホルモン(TSH・FT3・FT4)
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や低下症の疑い
-
血清アルブミン・フェリチン
- 低栄養や鉄欠乏貧血が隠れている可能性
◼ 痩せ型で異常値が出た場合の対応策
-
食事の見直し
- たんぱく質・ビタミン・ミネラルを意識的に摂取する
- 過度な糖質制限は避ける
-
適度な運動
- 有酸素運動+筋トレで筋肉量を増やす
- インスリン抵抗性の改善に効果的
-
定期的な検査
- 健康診断の数値を毎年チェックし、変化を見逃さない
3. 知られざる病気とその可能性
痩せているのに異常値が出る場合、以下のような病気の可能性も考えられます。
◼ 隠れた病気の例
-
慢性膵炎・膵臓がん
- 痩せているのに血糖値が高い場合、膵臓の異常の可能性
-
セリアック病(グルテン不耐症)
- 海外ではよく知られているが、日本では認識が低い
- 栄養吸収不良により痩せてしまう
-
慢性腎疾患(CKD)
- 痩せ型でも腎機能が低下しているケースがある
-
リーキーガット症候群
- 腸内環境が悪化し、慢性的な炎症が起こる
-
神経性食欲不振症(拒食症)
- 食事量が極端に少ない場合、健康診断の異常値として現れる
おわりに
「痩せているのに健康診断で異常値が出る」というのは、決して珍しいことではありません。
痩せているからといって健康とは限らず、むしろ隠れた病気が潜んでいる可能性もあります。
大切なのは、異常値が出たら放置せず、適切な生活習慣の見直しや医療機関での診察を受けることです。
本記事を参考に、自分の健康状態を見直し、早めの対策を心がけましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
-
日本肝臓学会「LEAN NAFLD(痩せ型脂肪肝)について」
https://www.jsh.or.jp -
日本糖尿病学会「痩せ型2型糖尿病の特徴」
-
国立健康・栄養研究所「低栄養と健康リスク」