今回は、起立性低血圧について説明していきます
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
立ち上がったときに感じる「立ちくらみ」、医学的には起立性低血圧(Orthostatic Hypotension; OH)と呼ばれる症状です。
めまいやふらつきで日常生活に支障が出るだけでなく、高齢者では転倒や骨折、認知機能への悪影響も懸念されています。
本記事では、最新の国内外論文、専門的研究から得られる最新知見をもとに、原因から診断、そして予防・対策までを詳しく解説します。
さらに、実用的で独自性のあるオリジナル対策も多数ご紹介しますので、ぜひ日々の生活にお役立てください。
1. 起立性低血圧とは?定義と分類
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定義:臥位または座位から立ち上がったとき、収縮期血圧が20 mmHg以上、または拡張期血圧が10 mmHg以上低下し、3分以内に起こる現象です 。
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分類:
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初期型:立ち上がり直後(15秒以内)に急激な血圧低下
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古典型:立位後1~3分以内に低下
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遅発型:3分以降、徐々に血圧が下がるタイプ 。
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症状:めまい、視界狭窄、疲労感、失神、首や肩の痛み(coat-hanger pain)などです 。
2. 最新の原因とメカニズム:文献から掘り下げる
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重力による血液プーリング:起立時、300~800 mLの血液が下半身へ移動し、心臓への戻りが減少します 。
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バロレセプター反応の遅延:正常なら交感神経が活性化されますが、自律神経や末梢神経の障害、加齢により反応が鈍くなります 。
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体液量不足:脱水・利尿薬・出血・長期臥床によって血液量が減少し、起立性低血圧が誘発されやすくなります 。
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心血管系の機能低下:心不全や動脈硬化が血流調整能力を低下させます 。
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食後性低血圧と環境刺激:食後、高齢者では特に血圧が下がりやすく、暑さやアルコールも悪影響 。
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神経疾患との関連:パーキンソン病や自己免疫性自律神経節障害(AAG)などに伴うケースが注目されています 。
3. OHがもたらすリスクと影響
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転倒リスク:立ちくらみによる転倒は高齢者では致命傷につながることもあり、介護施設では特に重大です 。
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心血管・認知への影響:OHは心疾患や脳卒中リスクを高め、長期的には認知機能低下や認知症につながる可能性があります 。
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新型コロナ後遺症との関連:岡山大の研究では、コロナ後遺症の患者の38%に起立性調節障害が確認されました(特に若年でも) 。
4. 正しい診断方法とセルフチェック
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シェロング起立試験:5~10分臥位後、立ち上がってから1分・3分ごとに血圧計測。20/10 mmHgの低下で診断 。
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ティルトテーブル検査:自律神経専門医による精密検査に用いられます 。
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家庭での習慣記録:朝起きた直後や食後、座位と立位の血圧差を記録することで発見につながります。
5. 非薬理的対策:すぐできる生活改善
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水分・塩分摂取:1日2–3 Lの水分と約6–10 gの塩分が推奨されます。
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段階的な起立:寝起きやイスから立つときは、ベッド端で腕の反動を使わず小さく動かして徐々に姿勢を変えます。
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弾性ストッキングや腹帯:30–40 mmHg程度の圧力が効果的とされています 。
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物理的カウンター操作:脚クロスやスクワット、ふくらはぎの筋ポンプ運動が推奨されます 。
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睡眠時の頭部挙上:30–45度ベッドを傾けることで夜間利尿を減らし、朝の血圧安定に寄与します 。
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環境管理:暑さやアルコール、深酒を避け、食事は少量ずつ、のんびりと摂ることが重要です 。
6. 薬理的アプローチ:医師・専門家による処方
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ミドドリン:α₁作動薬で血管収縮を促し立ちくらみを軽減 。
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フルドロコルチゾン:体液量を増やす作用がある補助療法 。
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ドロキシドパ(L-DOPS):交感神経の働きを補う非選択性薬 。
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新薬候補:アンプレロキセチン(Ampreloxetine)など、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬が開発段階で注目されています
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薬物選択の留意点:副作用や高血圧とのバランス、服用時間などを医師と相談のうえ調整が必要です 。
7. オリジナル対策:最先端・実践的アプローチ
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ふくらはぎポンプ「朝活バウンス」習慣
起床後すぐ、ベッド端でふくらはぎを20回軽く伸縮。血流促進と自律神経の立ち上がりに貢献。 -
温冷シャワー交互浴
温:40秒→冷:20秒 ×5セット。「血管トレ」で日々の血圧制御力を強化。 -
週1 “リセットナイト”
夕食に水分+塩分を10%以上増量し、夜間の血液量を意図的に底上げ。翌朝の起立時安定につながる。 -
タイマー式姿勢チェッカー
スマホやスマートウォッチで「1時間ごとに立位チェック」をセット。立ちくらみを未然防止。 -
電動リクライニング訓練
自宅にリクライニングチェアがあれば、45°→75°→直立へと段階的に上げる。病院研究でも効果が報告されています
おわりに
起立性低血圧は、一見何でもない立ちくらみに見えて、実は重大な転倒・認知・心血管リスクとも密接に関係しています。
日常に簡単に取り込める非薬理的対策や独自の「血管トレ」アイディアを通して、体が「立ち慣れる」状態を意図的に作りましょう。
薬物治療は専門家との協働が欠かせません。
本記事が、あなたや大切な人の健康をサポートする一助となれば幸いです。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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Ringer M, Hashmi F, Lappin SL. Orthostatic Hypotension. StatPearls Publishing, 2025 arxiv.org+15ncbi.nlm.nih.gov+15en.wikipedia.org+15
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AAFP. Orthostatic Hypotension: Practical Approach(ベッド傾斜・圧着具・ミドドリンなど) en.wikipedia.org
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岡山大学 医歯薬学総合研究科. 新型コロナ後遺症と起立性調節障害(2024年報告) https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1269.html okayama-u.ac.jp