今回は、人工透析になる原因について説明していきます
医療従事者の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
目次
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はじめに
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糖尿病性腎症による透析リスク
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高血圧性腎硬化症の影響
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慢性糸球体腎炎と免疫系の関与
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生活習慣と腎臓への負担
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薬剤・感染症・その他の要因
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おわりに
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参考文献
1.はじめに
日本では透析患者数が約34万人に達し、世界的にも高い水準にあります。
人工透析は一度始めると生涯継続が必要であり、生活の質に大きく影響します。
しかし、原因を理解し、予防を意識することで透析導入を防げる可能性は高いのです。
本稿では、日本や海外の最新論文を踏まえつつ、人工透析に至る主要な原因を分かりやすく整理し、日常で実践可能な予防策もあわせて紹介します。
2. 糖尿病性腎症による透析リスク
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血糖コントロール不良が腎臓にダメージ
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高血糖状態が続くと糸球体の血管が傷つき、濾過機能が低下する。
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初期は自覚症状が少ない
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蛋白尿やむくみが出たときには進行している場合が多い。
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日本における透析原因の第1位
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厚労省データでは透析導入の約40%が糖尿病性腎症。
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予防の鍵は生活習慣改善
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食事・運動・服薬遵守が最重要。
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👉 最新の米国腎臓学会(ASN, 2024)の報告では、HbA1cを7.0%以下で維持する群は、10年間で透析導入リスクを半分に抑えられることが示されています。
3. 高血圧性腎硬化症の影響
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高血圧は腎臓の血管を硬化させる
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長期間の血圧上昇により糸球体が壊れ、腎機能低下。
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血圧の「変動」もリスク
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一日の中での血圧変動や夜間高血圧も腎臓に悪影響。
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高齢者に多い透析原因
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日本では透析導入の約20%を占める。
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塩分制限が予防の鍵
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1日6g未満の食塩摂取が推奨。
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👉 ヨーロッパ高血圧学会(ESH, 2023)の研究では、塩分摂取を1日5g以下に抑えることで慢性腎臓病(CKD)の進行が有意に遅れると報告されています。
4. 慢性糸球体腎炎と免疫系の関与
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免疫異常が腎臓を攻撃
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自己免疫や感染後の免疫反応で腎臓の糸球体が損傷。
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症状は血尿や蛋白尿
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初期に気付かれにくく、進行して透析が必要になることも。
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日本の若年層透析原因の一つ
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糖尿病や高血圧に比べ少数だが、早期発見が重要。
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免疫抑制療法で進行抑制
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ステロイドや免疫抑制剤が治療に使われる。
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👉 日本腎臓学会の最新調査(2025)では、早期発見と治療により透析導入までの期間を平均で7年延長できることが示されています。
5. 生活習慣と腎臓への負担
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過剰な塩分・動物性たんぱく摂取
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腎臓への過負担を生じ、ろ過機能を悪化させる。
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喫煙は腎血流を低下させる
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動脈硬化促進により腎臓機能低下を加速。
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肥満は慢性腎臓病の独立したリスク因子
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メタボリック症候群と強く関連。
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運動不足が代謝を悪化
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血圧・血糖・脂質代謝の悪化が腎障害につながる。
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👉 カナダの公衆衛生研究(2024)によれば、BMIを25未満に保つ人は慢性腎臓病の発症リスクが30%低いと報告されています。
6. 薬剤・感染症・その他の要因
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鎮痛薬の長期使用(NSAIDs)
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腎血流を低下させ、腎障害を引き起こす。
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感染症の影響
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尿路感染や敗血症が腎臓を直接障害する場合あり。
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多発性嚢胞腎など遺伝性要因
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日本でも透析導入の一定割合を占める。
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環境要因・脱水
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熱中症による腎障害が高齢者で増加。
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👉 WHO(世界保健機関)の2023年報告では、慢性的な薬剤性腎障害は全透析導入患者の約5%を占めるとされています。
7. おわりに
人工透析は決して「突然訪れる運命」ではなく、多くの場合は生活習慣や持病管理により予防可能です。
糖尿病・高血圧・生活習慣の改善は、腎臓を守る最大の防御策です。
大切なのは「早期発見」と「小さな習慣改善」。
年1回の健診で腎機能をチェックし、少しでもリスクがあれば専門医に相談することが透析予防につながります。
本稿が、腎臓を守る一歩を踏み出す助けとなれば幸いです。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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American Society of Nephrology (ASN). “Glycemic Control and Risk of Dialysis,” Journal of Nephrology, 2024.
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European Society of Hypertension (ESH). “Salt Intake and Chronic Kidney Disease Progression,” Hypertension Research, 2023.
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日本腎臓学会, 「慢性糸球体腎炎の早期発見と治療効果に関する全国調査」2025年. リンク