今回は橈骨遠位端骨折について説明していきます。
高齢者に起こりやすい骨折の1つなので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
橈骨遠位端骨折は、特に高齢者や骨粗鬆症のある患者で頻繁に発生します。
この骨折は日常生活に大きな支障をきたすことが多く、早期の診断と適切な治療が重要です。
今回は、
- 橈骨遠位端骨折とは
- 橈骨遠位端骨折の診断方法
- 橈骨遠位端骨折の治療方法
をもとに、橈骨遠位端骨折の基礎知識、診断方法、治療方法を順を追って解説していきます。
これにより、誰でも理解できる内容を目指します。
1. 橈骨遠位端骨折とは
橈骨遠位端骨折は、手首に最も近い橈骨の部分が骨折する状態です。
この部位は日常生活でも頻繁に使用されるため、骨折が発生すると生活の質に大きな影響を及ぼします。
橈骨遠位端骨折の典型的な原因や症状について詳しく見ていきます。
橈骨遠位端骨折の主な原因
橈骨遠位端骨折の主な原因は、以下のような状況で発生します。
- 転倒:手をついて倒れる際に手首が受ける衝撃で橈骨が折れることが多いです。
- 高齢者や骨粗鬆症患者:年齢とともに骨が弱くなるため、些細な衝撃でも骨折しやすくなります。
- スポーツや事故:スキーやスケートといったスポーツや交通事故などでも手首に負荷がかかりやすく、骨折に繋がることがあります。
症状
橈骨遠位端骨折の症状には以下のものがあります。
- 手首の痛み:骨折した直後から強い痛みが出るのが特徴です。
- 腫れや変形:手首が腫れ、骨折によって手首の形が不自然になることがあります。
- 可動域の制限:手首を動かそうとすると痛みが強く、通常の動作が困難になります。
橈骨遠位端骨折の種類
橈骨遠位端骨折にはいくつかの種類があります。代表的なものには、コーレス骨折(外側に倒れるタイプ)やスミス骨折(内側に倒れるタイプ)があり、これらのタイプにより治療方針が異なります。
2. 橈骨遠位端骨折の診断方法
橈骨遠位端骨折を適切に治療するには、まず正確な診断が欠かせません。
ここでは、診断方法や医療機関で行われる検査について解説します。
病歴と視診
橈骨遠位端骨折の診断は、まず患者の病歴や受傷状況について医師が詳しく聞き取ることから始まります。転倒したときの状況や手首の痛みの具合などが、診断の手がかりになります。
画像診断
橈骨遠位端骨折の確定診断には以下のような画像診断が使用されます。
- X線検査:X線検査は橈骨遠位端骨折の診断において最も一般的に使用される方法です。手首を正面と側面から撮影し、骨の折れ方やずれの程度を確認します。
- CTスキャン:骨折の複雑な状態や骨の細かい構造を確認するために、CTスキャンが用いられることがあります。特に手術が必要な場合には、CTスキャンが役立ちます。
- MRI:MRIは骨だけでなく、周囲の軟部組織の損傷(靱帯や腱の損傷)を確認するために使用されます。
橈骨遠位端骨折の重症度の判断
骨折のずれや粉砕の程度により、軽度から重度までさまざまな分類がされます。骨折が軽度の場合は保存療法(ギプス固定など)で対応できますが、重度の場合は手術が必要になることもあります。
3. 橈骨遠位端骨折の治療方法
橈骨遠位端骨折の治療には、保存療法と手術療法の2つの方法があります。
患者の年齢、活動レベル、骨折の重症度などを考慮して、最適な治療方法が選択されます。
保存療法
保存療法は、手術を行わずに骨折部分を治す方法で、以下の方法があります。
- ギプス固定:軽度の骨折の場合、ギプスで手首を固定し、骨が自然に治るのを待ちます。ギプスは通常4〜6週間ほど着用します。
- スプリント:場合によっては、ギプスではなくスプリント(取り外し可能な装具)を用いることもあります。
保存療法は手術に比べてリスクが低いですが、骨折の治癒に時間がかかることや、リハビリが必要になる場合が多いことが特徴です。
手術療法
骨が大きくずれている場合や、粉砕骨折の場合は、手術療法が選択されることが多いです。
手術には以下のような方法があります。
- 内固定法:プレートやスクリューを用いて骨を安定させる方法です。骨が安定すると早期にリハビリを開始できる利点があります。
- 外固定法:手首の外部に装置を取り付け、骨の位置を保持する方法です。骨のずれが激しい場合や、手首を動かすことが難しい場合に用いられます。
リハビリテーション
治療後にはリハビリが欠かせません。手首の可動域を回復し、日常生活に復帰するためには、筋力トレーニングや関節のストレッチが必要です。特に高齢者の場合、骨粗鬆症の治療も併せて行うことが推奨されています。
おわりに
橈骨遠位端骨折は、特に高齢者に多く見られる骨折であり、早期の治療と適切なリハビリが必要です。
診断や治療法にはさまざまな方法があり、医師と相談しながら最適な治療法を選択することが大切です。
また、転倒予防や骨粗鬆症の治療も橈骨遠位端骨折の予防には重要なポイントです。
この記事が、橈骨遠位端骨折についての理解を深め、適切な対応を取る一助となれば幸いです。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
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