今回は狭心症の種類について説明していきます。
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
狭心症は、冠動脈(心臓に血液を供給する動脈)の血流が一時的に減少し、胸部の痛みや圧迫感を引き起こす疾患です。
狭心症は、動脈硬化や血管の一時的な収縮によって引き起こされますが、その症状や原因によっていくつかの種類に分類されます。
狭心症を正しく理解することで、早期の適切な治療や生活習慣の改善が可能となり、重篤な心疾患(心筋梗塞など)を予防できます。
今回は、
- 労作性狭心症(安定狭心症)
- 不安定狭心症
- 異型狭心症(プリンツメタル狭心症)
をもとに、狭心症の代表的な種類とその特徴、管理方法について詳しく解説します。
1. 労作性狭心症(安定狭心症)
● 特徴
- 発症の背景
- 冠動脈が動脈硬化により狭窄しているため、心臓に必要な血液供給量が制限されます。
- 身体活動や精神的ストレスにより心臓の酸素需要が増加した際に症状が出現します。
- 症状
- 胸の中央や左側に圧迫感や痛みを感じる。
- 痛みは通常数分以内に治まり、安静やニトログリセリンの使用で軽減します。
● 診断と治療
- 診断
- 運動負荷試験や冠動脈CTで、血流の低下や冠動脈の狭窄を評価します。
- 治療法
- 薬物療法:抗血小板薬(アスピリン)、硝酸薬、β遮断薬などを使用。
- 冠動脈ステントやバイパス術が適用される場合もあります。
2. 不安定狭心症
● 特徴
- 発症の背景
- 動脈硬化プラークが破裂し、その部位で血栓が形成されることで急激に血流が低下します。
- 労作性狭心症が進行した場合や、何の前触れもなく発症する場合があります。
- 症状
- 安静時にも胸痛が起こることが多い。
- 痛みが従来より強く、頻度が増し、長時間持続する傾向がある。
● 診断と治療
- 診断
- 心電図や血液検査(心筋マーカー)を用いて、心筋へのダメージの有無を評価。
- 冠動脈造影検査で血管の状態を詳しく確認。
- 治療法
- 緊急性が高いため、入院管理が基本。
- 血栓を溶解する薬剤や血行再建術(ステント、バイパス術)が選択される。
3. 異型狭心症(プリンツメタル狭心症)
● 特徴
- 発症の背景
- 冠動脈が一時的にけいれん(スパズム)を起こすことで血流が遮断されます。
- 動脈硬化がなくても発症することがあります。
- 症状
- 夜間や早朝など安静時に胸痛が生じることが多い。
- 痛みは数分から15分程度持続し、硝酸薬で改善する。
● 診断と治療
- 診断
- 心電図に一過性のST上昇が見られることが特徴的。
- エルゴノビン負荷試験で冠動脈スパズムを誘発することも。
- 治療法
- カルシウム拮抗薬や硝酸薬が有効。
- β遮断薬は冠動脈スパズムを悪化させる可能性があるため使用しない。
おわりに
狭心症はその種類によって原因や治療法が異なります。
症状のパターンやタイミングを正確に把握することで、適切な診断と治療を受けることができます。
心リハ指導士として、患者さんが自分の症状を理解し、適切な予防策を実践するお手伝いをすることが私たちの使命です。
狭心症を正しく管理することは、心筋梗塞や突然死を防ぐための第一歩です。
健康な心臓を守るために、定期検診や早めの医療機関への受診を心がけましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
- Gibbons, R. J., et al. (2018). “Management of Stable Ischemic Heart Disease: Guidelines Update.” Circulation.
- Yasue, H., et al. (2019). “Coronary Spasm as a Cause of Chest Pain and Acute Coronary Syndrome.” Nature Reviews Cardiology.
- Braunwald, E. (2020). “Unstable Angina: Advances in Diagnosis and Management.” Journal of the American College of Cardiology.