今回は、認知症予防に効果があるとされる脳トレの方法について説明していきます。
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
認知症は、高齢化社会において深刻な課題となっています。
しかし、近年の研究により、適切な脳トレーニング(以下、脳トレ)を日常生活に取り入れることで、認知症の予防や進行の遅延が期待できることが明らかになっています。
今回は、
- 脳トレの重要性と効果
- 効果的な脳トレの具体的手法
- 脳トレを効果的に行うためのポイント
をもとに、最新の研究成果を交えながら、認知症予防に効果的とされる脳トレの方法について詳しく解説します。
1. 脳トレの重要性と効果
脳トレとは、脳の認知機能を活性化させるための訓練や活動を指します。
これらの活動を継続的に行うことで、脳の神経ネットワークが強化され、認知症のリスクを低減させる効果が期待されています。
脳トレの効果
- 認知機能の維持・向上
記憶力や注意力、判断力などの認知機能を維持・向上させる効果があります。 - 脳の可塑性の促進
新しい情報やスキルの習得を通じて、脳の神経回路が再編成され、柔軟性が高まります。
最新の研究では、ニューロフィードバックを用いた脳トレが注目されています。
株式会社NeUの研究によれば、24カ月以上継続的にニューロフィードバック脳トレを実施した57名の認知機能評価指数は、12ヶ月経過時に平均46%、24ヶ月経過時に平均59%向上したことが確認されています。
2. 効果的な脳トレの具体的手法
脳トレには多様な方法があり、以下のような活動が効果的とされています。
知的活動の推奨
- 読書やパズル
読書やクロスワードパズル、数独などの活動は、記憶力や問題解決能力を刺激します。 - 楽器演奏や新しい言語の学習
新しいスキルの習得は、脳の新たな神経回路の形成を促進します。
鳥取大学医学部附属病院の浦上克哉教授は、認知症予防には一つの活動にこだわらず、運動や食事、読書、旅行、コミュニケーションなど、五感をフルに使った生活全体が脳への刺激となり、機能維持につながると指摘しています。
身体活動との組み合わせ
- 有酸素運動
ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、脳への血流を増加させ、認知機能の維持に寄与します。 - デュアルタスク運動
身体を動かしながら同時に認知課題を行うことで、脳の多くの機能を同時に活性化できます。
LIFULL介護の情報によれば、ラジオ体操や散歩で景色を楽しむこと、グランドゴルフで作戦を練りながらプレーすることなど、運動と認知課題を組み合わせることで、脳が活性化し、脳の機能を鍛えることにつながるとされています。
社会的交流の重要性
- グループ活動
趣味のサークルやボランティア活動など、他者との交流を伴う活動は、社会的刺激となり、認知機能の低下を防ぎます。 - 対人ゲーム
将棋やオセロなどのボードゲームは、注意力や判断力を刺激し、対戦相手とのコミュニケーションを通じて言語力や社会的行動能力も鍛えられます。
LIFULL介護の情報によれば、将棋やオセロなどのボードゲームは、注意力や判断力を複合的に刺激する脳トレになり、対人ゲームであれば、対戦相手とのコミュニケーションを通じて、言語力や社会的行動能力など複数の機能を刺激する脳トレになるとされています。
3. 脳トレを効果的に行うためのポイント
脳トレの効果を最大限に引き出すためには、以下の点に留意することが重要です。
継続性の確保
- 日常生活への組み込み
無理のない範囲で日常生活に脳トレを取り入れることで、継続しやすくなります。 - 楽しさの追求
自分が楽しめる活動を選ぶことで、長期間続ける意欲が高まります。
バランスの取れたアプローチ
- 多様な活動の組み合わせ
知的活動、身体活動、社会的交流をバランスよく組み合わせることで、脳全体を効果的に刺激できます。 - 生活習慣の見直し
適切な睡眠や栄養バランスの取れた食事が、脳の健康を維持する上で不可欠です。
特に 地中海式食事(オリーブオイル、ナッツ類、魚、野菜中心)や、MIND食(葉物野菜、ベリー類、ナッツなどを多く含む食事)は、認知症予防に効果的とする研究が増えています。
また、睡眠不足は認知機能の低下に直結するとされており、十分な睡眠を確保することも脳トレと同様に重要です。
おわりに
認知症は高齢者にとって大きな課題ですが、適切な脳トレを日常的に取り入れることで、そのリスクを大幅に低減できる可能性があります。
本記事で紹介したように、 知的活動・身体活動・社会的交流 をバランスよく行うことが重要です。
また、 脳トレは継続が何よりも大切 であり、楽しみながら続けられる方法を見つけることが成功のカギとなります。
さらに、運動・栄養・睡眠と組み合わせることで、より効果的な認知症予防が可能 です。
脳の健康を守るために、今日からできることを少しずつ始めてみましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
- 株式会社NeU. (2024). ニューロフィードバック脳トレの認知機能向上効果についての研究報告
https://neu-brains.co.jp/information/press/2024/10/02/3532.html - 浦上克哉. (2023). 認知症予防と生活習慣の関係について
鳥取大学医学部附属病院, 健康寿命延伸研究センター. - LIFULL介護. (2023). 認知症予防のための脳トレと運動の重要性
https://kaigo.homes.co.jp/manual/dementia/basic/prevention/braintraining/