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隠れ心臓病:健康診断では見つからない危険な病気

今回は、隠れ心臓病:健康診断では見つからない危険な病気について説明していきます。

心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!

はじめに

健康診断を毎年受けて「異常なし」と言われていると、自分は心臓病とは無縁だと思うかもしれません。

しかし、実は**「隠れ心臓病」**と呼ばれる、通常の健康診断では見つかりにくい危険な心臓病が存在します。

自覚症状がほとんどないまま進行し、突然の心不全や心筋梗塞を引き起こすこともあるため、注意が必要です。

では、健康診断では発見しにくい隠れ心臓病とはどのようなものなのか?

この記事では、その種類、見つける方法、そして予防策について詳しく解説します。


1. 健康診断では見つかりにくい心臓病の種類

健康診断では、心電図や血圧測定が行われますが、これだけでは特定の心臓病を見逃してしまうことがあります。

ここでは、特に見つかりにくい隠れ心臓病を紹介します。

● 冠微小血管狭心症(かんびしょうけっかんきょうしんしょう)

  • 一般的な狭心症は、心臓の太い血管(冠動脈)が詰まることで起こりますが、この病気は非常に細い血管(微小血管)の異常が原因です。
  • 健康診断で行われる心電図では異常が出にくく、「ストレス検査」や「心臓MRI」でないと発見が難しいとされています。
  • 症状: 胸の圧迫感、息切れ、疲れやすさ

● 無症候性心筋虚血(むしょうこうせいしんきんきょけつ)

  • 心臓の血流が悪くなっていても、痛みなどの自覚症状がないタイプの心筋虚血です。
  • 特に糖尿病の人に多く、神経障害により痛みを感じにくいため、発見が遅れることが多いです。
  • 症状: ほぼなし(突然の心筋梗塞として発覚することも)

● 心臓サルコイドーシス

  • 免疫系の異常により心臓に炎症が起こる病気で、不整脈や心不全の原因になります。
  • 通常の心電図やエコーでは異常が出にくく、心臓MRIやPET検査が必要です。
  • 症状: 動悸、息切れ、失神

 


2. 隠れ心臓病を見つけるには?

通常の健康診断では見つかりにくい隠れ心臓病を発見するためには、より詳しい検査が必要になります。

以下の方法が有効です。

● 心臓CT・MRI

  • 冠動脈の状態を詳しく調べることができ、微小血管の異常や動脈硬化の早期発見に役立ちます。
  • 特に50歳以上の人や、家族に心臓病の人がいる場合は推奨されます。

● 負荷心電図(ストレステスト)

  • 安静時の心電図では異常が出ない人でも、運動などで負荷をかけることで隠れた虚血性心疾患を発見できます。
  • 特に運動すると胸が苦しくなる人は、一度検査を受けることをおすすめします。

● ホルター心電図(24時間心電図)

  • 通常の心電図は短時間の測定ですが、ホルター心電図を使えば1日を通して心臓の動きを記録できます。
  • 一時的にしか現れない不整脈や無症候性の異常を発見しやすいのが特徴です。

● 心臓PET検査

  • 心筋の血流や炎症の状態を詳細に把握できるため、心臓サルコイドーシスなどの隠れた病気を見つけやすいです。
  • ただし、高額なため通常の健康診断では実施されないことが多いです。

 


3. 隠れ心臓病を予防するための生活習慣

隠れ心臓病を防ぐためには、日常生活の見直しが重要です。

以下のポイントを意識しましょう。

● 食生活の改善

  • 塩分を控えめに(1日6g未満を目指す)
  • 魚、野菜、果物を積極的に摂取する(DHA・EPAが血管を健康に保つ)
  • 加工食品やファストフードを減らす(トランス脂肪酸が動脈硬化を悪化させる)

● 定期的な運動

  • 週に150分以上の**適度な有酸素運動(ウォーキング・水泳など)**が推奨されます。
  • 運動の際に動悸や息切れを感じたら無理せず休むことが大切です。

● 睡眠とストレス管理

  • 睡眠不足は高血圧や動脈硬化のリスクを高めるため、1日7時間以上の睡眠を確保する。
  • ストレスが心拍数や血圧を上昇させるため、リラックスできる時間を作ることも重要。

 


おわりに

隠れ心臓病は、健康診断では見つかりにくく、自覚症状がないまま進行することが多いため、「異常なし」だから安心とは限らないのが現実です。


心臓病のリスクが高い人(家族歴がある、高血圧や糖尿病がある)は、通常の健康診断に加えて、より専門的な検査(心臓CT・MRI、負荷心電図など)を受けることを検討しましょう。

また、日常生活の改善が最も重要な予防策となります。

心臓の健康を守るために、今日からできることを始めてみませんか?

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。


参考文献

  1. 日本循環器学会「慢性冠動脈疾患の診断と治療ガイドライン」(2023)
  2. American Heart Association, “Silent Heart Disease: Causes and Prevention” (2023)
  3. Circulation Journal, “Advances in Cardiac Imaging”

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