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狭心症ってどんな病気?心リハ指導士が分かりやすく解説

今回は、狭心症について説明していきます

心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

はじめに

狭心症(きょうしんしょう)は、心臓への血流不足によって生じる胸の痛みや圧迫感で、心筋の酸素供給が一時的に不足する「虚血性心疾患」の一つです。

世界的に広く認知されており、特に日本でも65歳以上の約10〜20%が罹患するとされますただし、命に直結するケースばかりではありません。

心リハ指導士としては、狭心症は見過ごせない“生活の質”への影響が大きく、あらゆる立場の患者さんに対して正しく理解し、適切なケアと予防を行う必要があります。

本記事では、基礎から最新知見、予防・治療・生活改善まで総合的に解説します。


病態の基礎知識

  • 冠動脈に粥状硬化や狭窄が起こり、心筋へ十分な血液が届かない状態

  • 種類には「安定狭心症」「不安定狭心症」「プリンツメタル狭心症(冠攣縮型)」「微小血管性狭心症」など多様

  • CCS分類(I〜IV)で運動耐容など日常生活への影響が評価され、治療方針につながる

  • 年間死亡率は軽症では1〜3%、多くは「心リハ・薬物・生活改善」で試みられる

 


症状と進行メカニズム

  • 胸部圧迫感、息切れ、あご・肩・背中への放散痛などが典型的

  • 安定型では労作やストレスで発症し、休息・硝酸薬で改善

  • 不安定型では安静時などで急激・頻発し、心筋梗塞の前兆となるリスク

  • 微小血管型では冠動脈自体は正常だが、微小血管の血流異常による胸痛

 


治療アプローチと心リハの役割

  1. 薬物療法

    • β遮断薬・カルシウム拮抗薬・硝酸薬・スタチン・抗血小板薬など

  2. カテーテル・バイパス術

    • PCI/CABGは狭心症の根本治療

  3. 心臓リハビリテーションの専門的介入

    • 運動耐容能、心筋虚血閾値の上昇、冠血流の改善などがエビデンスで示される

    • 26%の死亡率減、18%の再入院率低下というデータも

    • 冠攣縮型や微小血管型でも運動療法、心理・栄養指導でQOL向上

 


心リハで期待できる効果

  • 運動耐容能向上:最大酸素取り込み量(VO₂max)向上、息切れ改善

  • 虚血発症抑制:同じ運動負荷で起こる胸痛や心エコーでの悪化を減少

  • 血管機能改善:内皮機能の向上、炎症マーカー(CRP等)低下

  • 心筋構造と代謝改善:左室リモデリング抑制、骨格筋量・ミトコンドリア増

 


最新の治療・研究動向

  • 従来の薬+PCIに加えて、**東洋医学由来ハーブ製剤(例:Danshen滴丸)**が安定狭心症に対し抗虚血・抗酸化作用あり

  • 鍼灸併用治療では不安・胸痛回数減少・6分歩行距離の改善が報告されている

  • **冠静脈還流路リデューサー(CSR)**など新デバイスやステムセル治療が難治性狭心症に期待

  • AIによる不安定狭心症早期リスク予測・治療時機評価など臨床応用が進行中

 


独自視点:「心リハ・包括スイッチ」戦略

  1. 早期生活介入:診断後すぐに歩行・日常運動導入し心筋の側副血管発達を促進

  2. 多因子併用ケア:薬物+運動+栄養+心理+東洋医学を個別最適化

  3. オンライン遠隔サポート:退院後も継続しやすい体制を構築

  4. 患者教育と自主管理:CCS分類理解、心リハ卒業後の運動負荷自己調整法を習得

 


おわりに

狭心症は「胸痛」という症状だけでなく、日常生活や心血管予後に影響する重要な病態です。

しかし、適切な薬物治療とともに心リハを含めた多角的なケアを行えば、生存率向上・再発抑制・生活の質向上が可能です。

特に高齢化・在宅志向が進む中、継続的支援とテクノロジーの活用によって、より多くの患者さんが利益を得られます。胸の痛みを感じたら、まずは早めに医療機関へ。

そして、心臓リハビリを軸とした治療をしっかりと受けてください。あなたの命と未来が変わる一歩です。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました


参考文献

  1. Treatment of Angina – Contemporary overview and prognosis. Eur Cardiol Rev. 2021. researchgate.net+1mhlw.go.jp+1mhlw.go.jp+6ecrjournal.com+6hopkinsmedicine.org+6

  2. Compound Danshen Dropping Pills for Stable Angina: Meta‑analysis. Medicine (Baltimore). 2025. journals.lww.com

  3. JCSガイドライン「心血管疾患リハビリテーション」. JCS – 2021. リンクはこちら

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