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ストレスと心臓の意外は関係!?心リハ指導士が解説

今回は、ストレスと心臓の関係について説明していきます

心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

はじめに

ストレスを感じたとき、胸がドキドキしたり、息苦しくなったりする経験はありませんか?

こうした一時的な心身の反応は誰にでも起こりますが、慢性的なストレスが続くと、実際に「心臓」にまで悪影響を及ぼすことがあるのです。

特に現代社会では、精神的負担が大きいにもかかわらず、そのストレスによる身体へのダメージが軽視されがちです。

本稿では、心リハビリテーション指導士の視点から、ストレスが心臓に与える影響、そのメカニズム症状の見分け方予防法やセルフケアについて、最新の研究や実際の臨床経験に基づいて分かりやすく解説します。


1. ストレスが心臓に及ぼす影響とは?

ストレスによって体は交感神経が優位になり、アドレナリンやコルチゾールが分泌されます。これが長期間続くと、心臓にも負担が蓄積していきます。

  • 血圧が上がりやすくなる
     → 高血圧が進行し、動脈硬化のリスクが上昇

  • 心拍数が持続的に増加
     → 心臓が休まらず、心不全や狭心症を招く可能性あり

  • 血管が収縮しやすくなる
     → 血栓形成のリスクが高まり、心筋梗塞に至ることも

  • 慢性炎症が促進される
     → 心血管疾患の引き金になる炎症性サイトカインが増加

慢性的なストレスがある人では、心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中)のリスクが1.5〜2倍に増加するとする報告もあります。


2. 「ストレス心臓病」〜たこつぼ型心筋症に要注意

心筋梗塞と非常によく似た症状を起こす「たこつぼ型心筋症(ストレス心筋症)」は、急激なストレスによって心臓が一時的に動かなくなる病態です。

  • 強い精神的ショックが引き金に
     → 例:愛する人の死、事故、災害など

  • 胸の痛み・息切れ・意識低下が突然出現
     → 心筋梗塞と区別が難しい

  • 心電図や心エコーで特徴的な所見が出る
     → 左室の心尖部が「たこつぼ状」に収縮しなくなる

  • 基本的に予後は良好だが再発の危険あり
     → ストレス管理が再発予防の鍵

日本では女性、特に閉経後の方に多く見られる傾向があり、ストレスホルモンへの反応が関係していると考えられています。


3. ストレス性不整脈の実際

不整脈は心臓のリズムが乱れる状態であり、ストレスがその引き金となることは多くの研究で示されています。

  • 頻脈性不整脈:交感神経が過活動状態になることで拍動が速くなる

  • 期外収縮:ストレス時に一拍飛ぶような動悸が頻発する

  • 自律神経失調との関係:交感神経と副交感神経のバランスが崩れる

  • 睡眠不足・過労が拍車をかける:特に交代勤務や育児中の方に多い

一見「精神的な問題」として片づけられがちですが、繰り返し起こる場合は心臓専門医の診察を受けることが重要です。


4. 心臓を守るためのストレス対処法

心臓にストレスを溜め込まないためには、セルフケアによる対処が極めて重要です。

  • 運動療法(有酸素運動)
     → 心拍の安定化、ストレスホルモンの低下

  • マインドフルネス・瞑想
     → 副交感神経を活性化し、心拍や血圧を安定

  • 十分な睡眠と休息
     → 睡眠は心臓の「リセットタイム」

  • 人との交流・相談できる環境作り
     → 感情のアウトプットはストレスを軽減

心リハでも、身体機能の回復だけでなく、ストレスの自己認知や対処法の習得を支援するプログラムが組まれています。


5. 医療機関での評価と心リハの役割

ストレス性の心臓トラブルは、見た目や検査で異常が見つかりにくいこともあり、症状を的確に伝えることが重要です。

  • 問診・心電図・心エコーなどでの精密評価
     → 自覚症状の頻度や状況の記録が役立つ

  • 心臓リハビリでの心理教育プログラム
     → 心身の関係性を理解し、安心感を持てるように指導

  • メディカルスタッフとの連携
     → 心療内科、臨床心理士、作業療法士とも連携可能

  • 再発予防のための長期的支援
     → 生活習慣の見直しと継続的なフォローが鍵

心リハは心臓病の「回復支援」だけではなく、ストレスと心臓の関係を学び直す場として非常に有効です。


おわりに

「心臓が悪い」と聞くと、加齢や動脈硬化ばかりが原因と思われがちですが、実は私たちの感情やストレスも大きく関与しています。

軽視されがちな精神的ストレスが、突然の心疾患として現れることもあるからこそ、自分自身の心と体のサインに敏感になることが大切です

忙しい日々の中でも、ふと立ち止まり、自分のストレス状態と向き合ってみましょう。

そして、必要であれば医療機関や心リハの支援を受け、心臓とともに心も守る生活を心がけましょう。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました


参考文献

  1. Steptoe A, Kivimäki M. Stress and cardiovascular disease. Nature Reviews Cardiology. 2012.

  2. Templin C, et al. Clinical Features and Outcomes of Takotsubo (Stress) Cardiomyopathy. New England Journal of Medicine, 2015.

  3. 日本心臓リハビリテーション学会公式ガイドライン(https://www.jacr.jp/guideline)

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