今回は、不整脈ってどんな症状?放置してはいけない危険なタイプについて説明していきます
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
目次
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はじめに
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不整脈とは?心臓リズムの異常
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自覚しやすい症状と見逃されやすいサイン
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放置すると危険な不整脈のタイプ
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不整脈が招く合併症とリスク
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受診の目安と最新の治療法
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おわりに
参考文献
はじめに
「心臓がドキドキする」「脈が飛ぶ感じがする」——そんな経験はありませんか?
これらは単なるストレスや疲れのサインと思われがちですが、実は「不整脈」の症状である可能性があります。
不整脈は心臓のリズムが乱れる状態を指し、誰でも一時的に起こり得るものですが、放置してはいけない「危険な不整脈」も存在します。
特に心房細動や心室細動などは、脳梗塞や突然死の原因となり得るため、早期発見と対策が不可欠です。
本記事では、不整脈の基本から症状、危険なタイプ、最新の治療法まで、国内外の研究をもとに詳しく解説します。
1. 不整脈とは?心臓リズムの異常
不整脈とは「心臓の電気信号の異常によって脈が速くなったり遅くなったり、不規則になる状態」を指します。
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心臓の拍動は洞結節という部位からの電気信号でコントロールされる
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この電気信号が乱れると脈のリズムが崩れる
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大きく分けて「頻脈性」「徐脈性」「期外収縮」に分類される
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生理的な不整脈と、病的で命に関わる不整脈がある
近年の研究によると、日本人でも高齢化に伴い心房細動の有病率が急増しており、65歳以上では約5〜10%が心房細動を有していると報告されています。
2. 自覚しやすい症状と見逃されやすいサイン
不整脈の症状は人によって大きく異なります。
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よくある自覚症状
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動悸(ドキドキ、バクバクする感覚)
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めまい、ふらつき
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胸の違和感や痛み
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息切れ、疲れやすさ
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見逃されやすいサイン
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夜間の頻尿(心不全による影響)
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食欲不振や倦怠感
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記憶力や集中力の低下(脳への血流不足)
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無症状のまま進行するケースもある
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最新の米国心臓協会(AHA)の報告では、心房細動患者の約3割は「無症状」で発見されるとされています。つまり、自覚がないからといって安心できないのです。
3. 放置すると危険な不整脈のタイプ
すべての不整脈が危険というわけではありません。代表的な「命に関わる危険なタイプ」は以下の通りです。
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心房細動
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脳梗塞のリスクが通常の約5倍に上昇
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血栓ができやすく、塞栓症の原因となる
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心室頻拍
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脈が異常に速くなり、心拍出量が低下
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放置すると心室細動に移行し突然死の危険
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心室細動
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心臓がけいれんし、血液を送り出せない状態
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数分以内に致死的な状態に至る
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徐脈性不整脈(房室ブロックなど)
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脈が遅すぎることで失神や心停止に至る
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このような不整脈は「突然死の主要因」であり、特に欧米の大規模研究では心臓突然死の約80%が致死的不整脈に関連していると報告されています。
4. 不整脈が招く合併症とリスク
不整脈を放置すると「合併症」のリスクが高まります。
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脳梗塞
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心房細動により左心房内に血栓が形成され、脳へ飛ぶ
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高齢者では認知症のリスクも上昇
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心不全
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脈の乱れで心臓のポンプ機能が低下
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全身の浮腫や呼吸困難を引き起こす
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突然死
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心室細動・心室頻拍が主な原因
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若年者でも起こる可能性あり
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QOL低下
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日常生活での倦怠感、集中力低下
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精神的ストレスや不安の増大
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5. 受診の目安と最新の治療法
「ちょっと脈が乱れるくらい」と思って放置するのは危険です。以下のような症状がある場合は受診をおすすめします。
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強い動悸や胸の違和感を繰り返す
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めまいや失神がある
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運動時に息切れや倦怠感を感じる
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脳梗塞や心臓病の家族歴がある
近年の治療法は大きく進歩しています。
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薬物治療(抗不整脈薬、抗凝固薬)
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カテーテルアブレーション(異常伝導路を焼灼)
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ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)
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ウェアラブル機器による早期発見(Apple Watchなど)
特にカテーテルアブレーションは、成功率が高く再発率も低いため、心房細動の治療として日本循環器学会でも推奨度が上がっています。
おわりに
不整脈は「誰にでも起こり得る」症状ですが、危険なタイプを見逃すと命に関わる重大な結果を招きます。
特に心房細動や心室細動は、脳梗塞や突然死のリスクがあるため、早期発見と治療が重要です。
無症状でも定期的に健康診断や心電図を受けることが、最も効果的な予防になります。
また、日常生活では規則正しい生活、十分な睡眠、アルコールやカフェインの過剰摂取を控えることが、不整脈の予防につながります。
「脈が乱れているかも?」と思ったら、ためらわず受診すること。それが心臓を守る第一歩です。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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日本循環器学会. 不整脈治療ガイドライン 2021.
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American Heart Association. Atrial fibrillation: current understanding and management. Circulation. 2022.
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European Society of Cardiology. “2020 ESC Guidelines for the diagnosis and management of atrial fibrillation” Link.