今回は、血圧の下が高いと危ない?心リハ指導士が徹底解説していきます
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
目次
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はじめに
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血圧の「下」が意味するものとは?
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下の血圧が高いと危険な理由
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生活習慣と下の血圧の関係
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家庭でできるセルフチェック方法
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改善と予防のための具体的アプローチ
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おわりに
参考文献
はじめに
血圧というと多くの方が「上(収縮期血圧)」に注目しがちですが、実は「下(拡張期血圧)」の値も同じくらい重要です。
特に40〜60歳代の働き盛り世代や生活習慣に乱れがちな現代人にとって、下の血圧が高い状態は心臓や血管に静かに負担をかけ続ける“隠れリスク”となります。
心リハ(心臓リハビリテーション)指導士の立場から、最新の研究や臨床データをもとに、「なぜ下の血圧が高いと危険なのか」「どうすれば予防・改善できるのか」を徹底的に解説します。
1. 血圧の「下」が意味するものとは?
血圧の「下」は拡張期血圧を指し、心臓が拍動の合間に休んでいるときの血管内圧を表しています。
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拡張期血圧とは?
→ 心臓が弛緩し、血液が心臓に戻るときの動脈内の圧力。 -
正常値の基準
→ 80mmHg未満が理想、90mmHg以上は高めとされる。 -
血管の柔らかさのバロメーター
→ 動脈硬化が進むと拡張期血圧が高くなりやすい。 -
若年〜中年で特に重要
→ 若い人で「下が高い高血圧」が将来の心血管リスクにつながる。
2. 下の血圧が高いと危険な理由
下の血圧が慢性的に高いことは、単に数値の問題ではなく全身の臓器に悪影響を及ぼします。
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血管に持続的な圧負担
→ 常に高圧がかかることで血管の内皮細胞がダメージを受ける。 -
心臓の負担増大
→ 心臓は休む間も高い圧に耐えなければならず、心肥大や心不全リスクを高める。 -
脳卒中リスク上昇
→ 最新の海外研究では、拡張期血圧90以上は脳出血のリスクが有意に高いと報告。 -
腎臓へのダメージ
→ 腎臓は細い血管が集まる臓器であり、高い拡張期血圧により腎不全につながる。
3. 生活習慣と下の血圧の関係
拡張期血圧の上昇には、日々の生活習慣が深く関わっています。
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塩分の摂りすぎ
→ ナトリウムの過剰摂取は血管を収縮させ、下の血圧を押し上げる。 -
運動不足
→ 有酸素運動をしない生活は血管の柔軟性を失わせる。 -
睡眠の質低下
→ 睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群は交感神経を活発化させ血圧を高める。 -
ストレスの影響
→ 精神的ストレスは血圧上昇を招き、特に下の値を上げやすい。
4. 家庭でできるセルフチェック方法
拡張期血圧の異常は日常的な観察で早期に気づくことができます。
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同じ時間に測定
→ 朝起きてすぐ、就寝前に測定すると変化を捉えやすい。 -
記録をつける
→ 1週間単位で平均を出すと一時的な上昇と慢性化を区別できる。 -
生活イベントと関連付け
→ 飲酒、運動不足、睡眠不足の日と血圧の変化を比較する。 -
異常値が続けば受診
→ 下が90以上が続く場合は循環器内科へ。
5. 改善と予防のための具体的アプローチ
下の血圧を下げるためには、心リハの視点で生活を整えることが有効です。
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減塩と食事改善
→ 加工食品や外食を控え、カリウムを多く含む野菜や果物を摂る。 -
有酸素運動の習慣化
→ 1日30分のウォーキングやサイクリングを週5日以上。 -
禁煙と節酒
→ ニコチンは血管を収縮、アルコール過剰摂取は血圧を上げる。 -
定期検診と心リハ活用
→ 医師や指導士と協力し、生活指導を受けながら継続的に管理する。
おわりに
血圧の「下」が高いというのは見逃されがちなサインですが、心臓や血管にとっては非常に深刻な警告です。
上だけでなく「下」も意識することで、将来の心疾患や脳卒中を未然に防ぐことが可能です。
今日からでも家庭での測定・記録を始め、生活改善を少しずつ取り入れていきましょう。
心リハの知識と習慣があれば、「血圧の下が高い」というリスクを十分にコントロールできます。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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Whelton PK, et al. 2017 ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults. Hypertension. 2018;71(6):e13-e115.
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日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2023. ライフサイエンス出版.
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European Society of Cardiology (ESC). ESC Guidelines for the management of arterial hypertension. Eur Heart J. 2018.