今回は、パーキンソン病の「手の震え」以外の症状ついて説明していきます。
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
パーキンソン病は、主に高齢者に発症する進行性の神経疾患として知られています。
この病気の最も有名な症状は“手の震え”ですが、それ以外にも多岐にわたる症状が存在します。
これらの症状は患者の日常生活に大きな影響を及ぼし、早期の認識と適切な対応が重要です。
今回は、手の震え以外の症状について詳しく解説し、患者やその家族が知っておくべき情報を提供します。
1. 運動以外の身体的症状
パーキンソン病は運動症状だけでなく、非運動症状も多くみられます。
- 自律神経症状
- 便秘や排尿障害: 自律神経の働きが低下することで、腸や膀胱の機能が影響を受けます。
- 血圧の低下: 立ち上がった際に血圧が急に下がる起立性低血圧が一般的です。
- 嗅覚障害
- パーキンソン病の初期段階で多くの患者に現れる症状です。
- においの感覚が鈍くなるため、食欲や生活の質が低下することがあります。
最新の研究によれば、これらの症状はドーパミン以外の神経伝達物質の異常が関与しているとされています。
2. 精神的および認知的症状
パーキンソン病では、運動以外にも精神や認知に関する症状が現れることがあります。
- うつ病や不安症
- 脳内のドーパミン不足が気分の低下に影響します。
- 社会的な孤立感や身体的な制限がこれらの症状を悪化させる場合があります。
- 認知機能の低下
- 思考のスピードが遅くなる: ブレイディフェニアと呼ばれます。
- 記憶障害や注意力の欠如: パーキンソン病認知症と進行するケースもあります。
研究では、これらの症状が病気の進行とともに悪化する傾向があるため、早期の治療や心理サポートが推奨されています。
3. 睡眠関連の症状
睡眠障害もパーキンソン病の患者に多く見られる特徴です。
- レム睡眠行動障害
- 夢を見ている間に体を激しく動かす症状です。
- ベッドパートナーに怪我を負わせることもあるため、注意が必要です。
- 不眠症や日中の眠気
- 夜間に頻繁に目が覚める、不眠に苦しむ患者が多いです。
- 日中に過度な眠気を感じることが、患者の活動性を制限します。
これらの睡眠障害は患者の生活の質に大きな影響を及ぼし、専門医による診断と治療が求められます。
おわりに
パーキンソン病は単に“手の震え”だけの病気ではなく、多岐にわたる症状が患者の生活に影響を与えます。
これらの症状を適切に理解し、早期に対応することで、患者の生活の質を向上させることができます。
また、最新の治療法やリハビリテーションも進歩しており、専門医との連携が重要です。
早期発見と総合的なケアを通じて、患者ができる限り自立した生活を送れるようサポートすることが求められます。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
- Chaudhuri KR, Healy DG, Schapira AH. Non-motor symptoms of Parkinson’s disease: diagnosis and management. Lancet Neurol. 2006;5(3):235-245. doi:10.1016/S1474-4422(06)70373-8
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