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産後のパパ、家事をしても感謝されない…そのでも続ける理由

今回は、産後のパパ、家事をしても感謝されない…そのでも続ける理由について説明していきます

医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

目次

  1. はじめに

  2. 産後パパが家事をする意味とは?――科学が示す“役割の本質”

  3. 感謝されない現実の裏側――ジェンダー役割と期待のギャップ

  4. 続ける理由①:家族関係の強化と心理的利益

  5. 続ける理由②:父親の自己形成とアイデンティティ変容

  6. 続ける理由③:子どもへの長期的な発達・健康効果

  7. おわりに

  8. 参考文献


1. はじめに

「産後、家事を頑張っているのにパートナーから“ありがとう”が返ってこない…」


このような体験は、産後の家庭におけるパパの多くが直面する現実です。

父親として家族を支えているにもかかわらず、その努力が認められないように感じると、自己効力感が低下し、家庭内での役割や存在意義が揺らいでしまうことさえあります。

この記事では、なぜ “感謝されなくてもパパは家事を続けるのか” について、科学的な見地と最新の研究から丁寧に紐解いていきます。

少子化・共働き世帯の増加・育児休業制度の整備など、社会構造が変化する現在、父親の家事・育児参加は以前より増加傾向にあります。

しかし、その一方で “見えにくい努力” が存在し、評価・承認という面では依然として課題が残されています。

多くの研究が父親の関与と家族全体への恩恵を示しており、これは単なる“労働の分担”ではなく、心理的・社会的な価値が深いことを示唆しています。

例えば、父親が育児・家事に参加することで、両親の関係満足度が向上し、共育て(co-parenting)の質が長期的に改善するという報告があります。

本編では以下の視点で考察します:

  • 産後の父親が家事を行うことの 本質的な意味

  • 感謝表現が生まれにくい背景にある 心理的・社会的要因

  • パパ自身が家事を続ける 心理・社会・発達的メリット

  • 子ども、パートナー、家族全体に与える ポジティブな影響

このテーマは単なる“家庭内の役割分担”の議論にとどまらず、現代の家族関係を理解するうえで重要な鍵となります。


産後パパが家事をする意味とは?――科学が示す“役割の本質”

  • 父親の家事参加は“家族の協力関係”の表現

  • 社会構造の変化と男性の育児参画が進む背景

  • 役割の本質は“協働する親”であり、単なる労働分担ではない

  • 医療・心理学研究が示す“パパ参加の価値”


📗 本文:

まず押さえておきたいのは、「父親の家事・育児参加はただ家事労働を分担しているだけではない」という点です。

現代の家族機能を支える科学的な研究は、父親の関与が”家族の協働関係”そのものを強固にすることを示しています。

① 父親の参加は家族システムの協働性を高める

社会学・心理学の視点から、家族は単なる個々の構成員の集合ではなく 相互作用するシステム です。

父親の積極的な家事や育児参加は、このシステムに 協働的な信号 を送ります。

つまり父親の行動は「私も家族メンバーとして対等に関わり、責任を分担していく」というメッセージなのです。

この行動は、表面的な“ありがとう”という言葉よりも、 互いを尊重・支援する関係の形成に直結 します。

② ジェンダー役割の変化と父親の位置づけ

20世紀後半からジェンダー役割に関する社会制度は大きく変わりつつあります。

日本でも育児休業制度や出生時育児休業が整備され、父親が“育児・家事に主体的に関わる”機会が増えています。

海外の研究でも、父親の育児関与が 家事だけでなく家庭全体の健全性に寄与することが示されています。

例えば、父親の育児参加は母親の心理的負担を軽減し、夫婦の関係満足度を高めるという構造モデルの実証研究が存在します。

③ 家事は“表現”でもある

家事は単純な作業ではなく、パートナーへの配慮と関わり方の表現手段です。

言葉での感謝がなくても、行動を通じて「一緒に子育てをしている」という価値観が共有されることは、家族の精神的・機能的安定につながります。

したがって、産後パパが家事に取り組む本質は以下のように整理できます:

✔ 労働の分担
✔ 家族システムの協働性の強化
✔ パートナーへの精神的支援の表現
✔ 自身の“父親としての役割形成”

次章では、なぜ“感謝”という言葉が必ずしも表れにくいのか、その心理的・文化的背景を深掘りします。


感謝されない現実の裏側――ジェンダー役割と期待のギャップ

  • 産後は母親中心になりやすい社会的期待

  • “当たり前視”の心理が感謝を減らす

  • 役割分担認知のズレが生じやすい

  • 感謝表現は文化的・心理的要素から複雑


📗 本文:

産後パパが家事や子育てに取り組んでも、パートナーから感謝されない――

この現象は個人の性格や努力不足だけが原因ではありません。

多くの心理学・社会学的研究が示すように、感謝が表出されない背景には「期待と現実のギャップ」が存在します。

① 妊娠・出産は“母親中心”になる社会的期待

医学的・社会的に見ても、妊娠出産は母親の身体的変化というリアルな出来事であり、家族内でも“母親優先”になるのは自然です。

これ自体は間違いではありませんが、 父親の働きが”当然のもの”として認識されやすい土壌を作ってしまいます。

その結果、家事・育児を行なっても「パートナーとしての義務」「家庭内の仕事」と認知されてしまい、口に出して感謝が示されにくいという現象が生まれます。

② 人間の心理として“慣れ”は感謝を薄める

心理学の研究でも、人は慣れてしまうと、最初にあった驚きや感動は薄れ、日常化していくことが示されています。

例えば、父親が毎日皿を洗ってくれても、それはすぐに“日常の一部”になり、家族にとって「当たり前の光景」になります。すると言葉での感謝表現は減っていくのです。

これは決して相手の努力を軽視しているのではなく、心理的な慣れの仕組みによるものです。

③ 期待ギャップと役割認知のズレ

研究でも、夫婦間のジェンダー役割期待のズレが関係満足度に影響することが示されています。

ある調査では、夫婦が出産前に抱いていた「役割分担の予想」と、実際の産後の状況は一致しないことが多く、これがストレスや不満の原因になると報告されています。

つまり、
「家事や育児は共同作業だと思っていた」

「実際は認知や感謝が十分に表現されない」

という心理的ズレが感情的摩擦を生むのです。


続ける理由①:家族関係の強化と心理的利益

  • パパの関与が夫婦関係を強める

  • 育児・家事参加が心理的満足を高める

  • 家族コミュニケーションの質を上げる

  • 感謝以上の“信頼と協同”という価値


📗 本文:

「感謝されないならもうやめよう…」

普通ならそう思うのが人間です。にもかかわらず、多くのパパが家事・育児を続けるのは、感謝以上の価値を見出しているからです。

① パートナーとの絆の強化

父親が育児や家事に積極的に参加することは、夫婦関係の質を向上させることが複数の研究で示されています。

特に、出産後に取得した育休が長期的なパートナー関係の質を高めるという報告もあります。

これは、単なるタスク処理ではなく、**お互いが家庭に主体的に関わることへの“信頼の構築”**になっているからです。

② 子育てを共にするという満足感

心理学的にも、共育ては“単なる分担”ではなく、共同達成感を生みます。

育児・家事を一緒に乗り越えることで、互いの存在価値や協力感情が深まり、言葉以上の“絆”が形成されるのです。

③ 認知的不協和の解消

人は自分が価値ある行動をしていると認知した場合、結果が外部から評価されなくても 自分自身で満足を感じるという心理メカニズムがあります。

この現象は“認知的一貫性理論”に基づき、行動が自己評価に影響することを説明します。

つまり、家事=家族の支援という自己評価が成立することで、外部評価(感謝の言葉)は必須ではなくなります。


続ける理由②:父親の自己形成とアイデンティティ変容

  • 父親としての成長プロセス

  • 家事・育児が父性愛形成に寄与

  • 精神的成熟と責任感の深化

  • “父親らしさ”の再定義


📗 本文:

産後の家事・育児は、パパが単にタスクをこなすだけではありません。

それは 父性(fatherhood)の形成プロセスそのものです。

① 父親役割の心理学

心理学では、父親としての役割が行動を通じて形成されるという理論があります。

父親が家事・育児を通じて得る経験は、**自己効力感(self-efficacy)**や責任感を育て、心理的成長につながります。

また、ある行動が継続することで、その行動が“自分自身の一部”と認知されるようになります。

これは“行動的アイデンティティ形成”というプロセスであり、家事・育児を続けることは父親としての自分を確立する重要な契機となります。


続ける理由③:子どもへの長期的な発達・健康効果

  • 父親関与と子どもの発達の関連

  • 育児・情緒安定性の獲得

  • 父親との関係が心理的安定に寄与

  • 家庭全体の健康・幸福感の向上


📗 本文:

父親が家事・育児に参加することは、子どもの発達や健康にも良い影響があります。

例えば、父親の育児参加は子どもの発達に関連しているという研究があります。

子育てストレスが軽減されることにより、乳幼児の神経発達が促進される可能性があることも示されています。

これは、父親が単に“家事をする”以上の価値を持つことを示します。


7. おわりに

長く詳細に見てきたように、産後の父親が家事を続ける理由は 感謝の有無だけでは測れない深い意味があります。

科学的にも、家事・育児参加は以下の価値があると示されています:

✔ 家族システム全体の協働性を強化
✔ 夫婦関係の質を向上
✔ 父親としての成長・アイデンティティの形成
✔ 子どもの育成・発達への長期的恩恵

感謝の言葉がないから価値がない…

これは短絡的な見方です。

日々の行動が、家庭の“協働関係”という最も重要な価値を生んでいるからこそ、多くのパパは言葉よりも 継続することの価値を感じているのです。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました


8. 参考文献

  1. Paternity leave-taking and US Fathers’ participation in housework — Journal of Social Policy (最新研究、父親の家事参加に関する国際的知見)

  2. Are Parental Relationships Improved if Fathers Take Time Off of Work After the Birth of a Child? — PubMed (父親関与と夫婦関係改善の縦断データ研究)

  3. BMC Pediatrics (2016) Paternal involvement and early infant neurodevelopment: https://bmcpediatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12887-016-0747-y

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