今回は、筆者も罹った「うつ病」について説明していきます。
筆者の経験も踏まえて、説明していきますので是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
うつ病(うつびょう)は、現代社会において非常に一般的な精神疾患の一つであり、全人口の約5%が生涯のどこかで経験するとされています【1】。
うつ病は一過性の「落ち込み」とは異なり、長期間にわたって気分の落ち込みが続き、日常生活に支障をきたす状態です。
発症には遺伝的要因や環境的要因が複雑に絡み合っており、適切な治療とサポートが必要です。
今回は、
- うつ病の主な症状とは?
- うつ病の診断基準とリスク要因
- うつ病の治療法と支援方法
をもとに、筆者の経験も踏まえて、「うつ病の症状」「うつ病の診断基準」「うつ病を理解し支援する方法」について解説し、患者やその家族が早期に対処できるようサポートします。
1. うつ病の主な症状とは?
気分の持続的な低下と感情の変化
うつ病の主な特徴は、気分の持続的な低下です。
これは単なる一時的な「憂うつ」とは異なり、少なくとも2週間以上続くものです。
うつ病の患者は、以下のような症状を経験します:
- 持続的な悲しみや絶望感:何をしても楽しいと感じられず、日常的な活動への興味を失います。
- イライラや焦燥感:気分が沈むだけでなく、突然イライラしたり、焦燥感に苛まれることもあります。
- 無気力感:何もする気力が湧かず、ベッドから起き上がるのも困難に感じることが多いです。
身体的な症状
うつ病は精神的な症状だけでなく、身体的な症状としても現れます。
これらの身体的症状は、うつ病の初期段階では特に見過ごされやすいものです:
- 食欲の低下または過食:体重が急激に減少したり、逆に体重増加が見られることがあります。
- 睡眠障害:入眠困難や途中覚醒、過眠などの形で現れることが多いです。特に早朝覚醒はうつ病の特徴の一つです。
- 慢性的な疲労感:十分な睡眠を取っても疲労感が取れず、日常生活に支障をきたします。
- 頭痛や消化不良:原因不明の身体の痛みや不調が続くことがあります。
2. うつ病の診断基準とリスク要因
うつ病の診断基準(DSM-5)
うつ病の診断には、精神疾患の診断と統計マニュアル(DSM-5)が用いられます。
以下の9つの症状のうち、5つ以上が2週間以上続き、日常生活に影響を与えている場合、うつ病と診断される可能性があります【2】:
- 持続的な悲しみや空虚感
- 興味や喜びの喪失
- 体重の増減や食欲の変化
- 睡眠障害(不眠または過眠)
- 精神運動の焦燥または抑制
- 慢性的な疲労感やエネルギーの欠如
- 無価値感や過剰な罪悪感
- 集中力の低下や決断力の欠如
- 自殺念慮または自殺行動
うつ病のリスク要因
うつ病の発症には、さまざまなリスク要因が関与しています。主な要因には以下のものが挙げられます:
- 遺伝的要因:家族にうつ病の既往がある場合、発症リスクが高まります。
- ホルモンバランスの変化:特に女性は妊娠、出産、閉経などでホルモンの急激な変化が原因でうつ病にかかりやすくなります。
- ストレス:職場や家庭内でのストレス、重大な生活の変化(失業、離婚、親しい人の死など)は発症の引き金となります。
- 慢性的な疾患:糖尿病や心臓病などの慢性疾患がうつ病を誘発することがあります。
3. うつ病の治療法と支援方法
薬物療法
うつ病の治療には、抗うつ薬が広く用いられます。主な抗うつ薬には以下の種類があります:
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):セロトニンの再吸収を阻害し、気分を改善します。副作用が比較的少ないため、最初に処方されることが多いです。
- SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬):セロトニンとノルアドレナリンの再吸収を防ぎ、効果を高めます。
- 三環系抗うつ薬:古くから使われている薬で、効果が強い反面、副作用も多いため、他の薬が効果を示さなかった場合に使用されます。
心理療法
薬物療法に加え、**心理療法(カウンセリング)**も重要です。特に認知行動療法(CBT)は、思考のパターンを見直し、ポジティブな行動を促すために効果的です。また、家族療法やグループセラピーも患者の社会的サポートとして役立ちます。
生活習慣の改善とセルフケア
うつ病の改善には、生活習慣の見直しも不可欠です。
以下の点に注意することで、うつ病の予防や再発防止に役立ちます:
- 適度な運動:ウォーキングやヨガなど、軽い運動が気分をリフレッシュさせます。
- 規則正しい生活:睡眠のリズムを整え、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
- ストレス管理:リラクゼーション法や瞑想、趣味の時間を持つことが推奨されます。
筆者は朝散歩を取り入れることをまずは始めました。
おわりに
うつ病は決して本人の「気持ちの弱さ」や「甘え」ではなく、医療的な介入が必要な病気です。
適切な診断と治療を受けることで、多くの患者が回復し、再び日常生活を取り戻すことができます。
医療従事者として、患者とその家族が安心して治療に取り組めるよう支援することが求められます。
この記事が、うつ病の理解を深め、適切なサポートを提供する一助となれば幸いです。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
- 厚生労働省「うつ病について」2023年版
- American Psychiatric Association, “Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-5),” 2023.
- National Institute of Mental Health, “Depression: Overview and Treatment,” 2022.