今回は、理学療法士が教える「痛みのサイン」を見逃さないコツについて説明していきます。
理学療法士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい！
◆ 目 次
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はじめに
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痛みのサイン①「動きの質が変わる」
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痛みのサイン②「痛む前の“違和感”が増える」
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痛みのサイン③「呼吸・姿勢の乱れが起きている」
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痛みのサイン④「疲労回復のスピードが落ちる」
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痛みのサイン⑤「脳が痛みを先に予測している」
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おわりに
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参考文献
◆ はじめに
理学療法士として現場にいると、
「昨日まで平気だったのに、急に痛みが強くなった」
「大したことないと思って放置したら悪化した」
こんなケースは非常に多く見られます。
実は、痛みは突然生まれるのではなく、必ず小さな“サイン”が積み重なって発生します。
そして、このサインは
・違和感
・疲労感
・動きのクセの変化
・呼吸の浅さ
など、痛みとは別の形で現れます。
本記事では、最新の国際研究と臨床経験をもとに、痛みが出る前に身体が発している５つのサインを詳しく解説します。
“痛くなってから対処する”ではなく、痛くなる手前で気付ける身体を一緒に目指しましょう。
◆ 1｜痛みのサイン①「動きの質が変わる」
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歩幅が小さくなる
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動きがぎこちなくなる
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無意識のかばい動作が出る
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スピードが落ちる
《本文》
痛みの初期は「痛み」ではなく、動きの質の低下として現れることが非常に多いです。
特に理学療法士が評価で使う視点として「左右の動きの差」があります。
例えば、
・歩くときに片脚の蹴りが弱くなる
・階段のときに無意識で片足から乗る
・しゃがむと腰が先に曲がる
など。
これは、痛みが完全に出る前に身体が“これ以上使うと危険”と判断し、動きをセーブしているサインです。
研究でも、痛みの出現より前に、関節運動の軌道の乱れが先に起こることが明らかになっています。
動きは痛みよりも正直です。
「何かいつもと違う動き」を感じた時点で、もう黄色信号です。
◆ 2｜痛みのサイン②「痛む前の“違和感”が増える」
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朝のこわばり
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重だるさの増加
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使った後の鈍い疲労感
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軽い刺激に敏感になる
《本文》
実は、**違和感は痛みの手前にある“前駆症状”**です。
「朝起きたときに少し重い」
「動き始めに固い」
「前は気にならなかった刺激が気になる」
これらは炎症ではなく、筋肉の微細損傷・神経の過敏化・姿勢の乱れなどによって生じます。
特に最新の海外研究では、
筋膜の滑走性が低下すると、“痛みではなく違和感”が先に出る
ということがわかっています。
この時点はまだ改善しやすいタイミング。
違和感の段階で気づいた人は、実は痛みを予防できている人です。
◆ 3｜痛みのサイン③「呼吸・姿勢の乱れが起きている」
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呼吸が浅く早くなる
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肩だけで呼吸している
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姿勢が左右どちらかに偏る
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座っていると腰が詰まる
《本文》
理学療法士の間では、“呼吸と痛みはセット”というのは常識です。
呼吸が乱れると横隔膜が固まり、体幹の安定性は急激に低下します。
すると、
・腰の反りすぎ
・背中の張り
・肩の巻き込み
など、負荷を偏らせる姿勢が生まれます。
さらに、ストレスや疲労が溜まると呼吸はさらに浅くなるため、骨盤や肋骨の位置がズレ、痛みにつながる“負担の偏り”が完成します。
痛みがなくても、呼吸が浅い＝身体が緊張状態という証拠。
これは痛みが近づいているサインです。
◆ 4｜痛みのサイン④「疲労回復のスピードが落ちる」
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以前より疲れが取れにくい
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同じ運動で筋肉痛がひどい
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動き始めに重さが出る
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湿布や休息で治らなくなってきた
《本文》
痛みは、疲労が蓄積していると非常に起こりやすくなります。
特に見逃されやすいのが、回復スピードの低下です。
回復力が落ちると、筋繊維の修復が遅れ、微細な炎症が残り続けます。
これが何日も重なれば、寝ても治らない“慢性痛予備軍”になります。
研究でも、「回復が遅い人ほど痛みが慢性化しやすい」というデータがあります。
つまり、**回復力は「痛みの未来を予測する指標」**でもあるのです。
◆ 5｜痛みのサイン⑤「脳が痛みを先に予測している」
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以前痛めた動作が怖い
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無意識で身体が力む
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痛くないのに避ける動作が出る
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楽な姿勢を探し続ける
《本文》
最新の疼痛研究では、脳が“痛みを予測する”ことで痛みが生まれることがわかっています。
つまり、実際に組織が損傷していなくても、脳が「この動きは危ない」と判断すると、筋肉を硬くして関節を守ろうとします。
この筋緊張こそが痛みの始まりです。
実際、理学療法士が評価をすると、
・動く前から腹筋が固い
・肩がすくむ
・足の指に力が入る
など、“痛みを避けようとする緊張”が見られます。
これはまだ痛みではありません。
しかし、間違いなく痛みの入口です。
脳の“予測誤差”を修正しない限り、痛みは何度でも戻ってきます。
◆ おわりに
痛みは突然やって来るように見えて、実はその前に必ず身体がサインを出しています。
そして、そのサインを拾えるかどうかで、痛みの未来は大きく変わります。
今日紹介した５つのサインは、理学療法士が臨床現場で数万人以上の身体を見てきた中で、ほぼ例外なく現れる“共通点”です。
痛みは悪者ではなく、身体があなたに送る「守るためのメッセージ」。
ぜひその声を、これからは見逃さずに自分の身体ともっと仲良く付き合っていきましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
◆ 参考文献
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Hodges PW. “Pain and motor control: From the laboratory to rehabilitation.” Journal of Electromyography and Kinesiology (2019).
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Moseley GL, Butler DS. “The Explain Pain Framework and Its Clinical Integration.” Pain Reports (2020).
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O’Sullivan PB et al. “Cognitive functional therapy for disabling back pain.”
British Journal of Sports Medicine (2020).
👉 https://bjsm.bmj.com/content/54/12/742
