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その腹痛は大丈夫?お腹の危険を知らせるサインとは

今回は、その腹痛は大丈夫?お腹の危険を知らせるサインについて説明していきます

医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

目次

  1. はじめに

  2. 腹痛はよくある症状?それとも危険信号?

  3. 痛み方でわかる腹痛のタイプと考えられる原因

  4. 今すぐ注意すべき「危険な腹痛のサイン」

  5. 見逃されやすい慢性的・繰り返す腹痛の正体

  6. 受診の目安と、家庭でできる初期対応

  7. おわりに

  8. 参考文献


はじめに

腹痛は、誰もが一度は経験する非常に身近な症状です。

「少し休めば治るだろう」「いつものことだから」と軽く考えてしまいがちですが、腹痛の中には体が発している重要な危険信号が隠れていることがあります。

実際、救急医療や消化器内科の現場では、「もう少し早く受診していれば重症化を防げた」というケースも少なくありません。

一方で、すべての腹痛が緊急性を持つわけでもなく、見極める視点がとても重要です。

本記事では【その腹痛は大丈夫?お腹の危険を知らせるサインとは】をテーマに、

  • 痛みの種類

  • 病気との関連

  • 危険なサイン

  • 受診の判断基準

を、日本および海外の最新論文・診療ガイドラインの考え方を踏まえて、誰でも分かるように丁寧に解説します。


1 腹痛はよくある症状?それとも危険信号?

ポイント

  • 腹痛は非常に多い主訴

  • 多くは良性だが例外あり

  • 痛みは体からのメッセージ

  • 無視が重症化を招くことも

本文

腹痛は、外来や救急受診理由の中でも上位に入る症状です。原因は、

  • 食べ過ぎ

  • 冷え

  • ストレス

  • 便秘や下痢

といった一過性・良性のものから、

  • 虫垂炎

  • 腸閉塞

  • 消化管穿孔

  • 胆嚢炎・膵炎

といった命に関わる疾患まで幅広く存在します。

重要なのは、「痛みの強さ」だけで判断しないことです。海外の救急医学研究では、軽い痛みでも重篤な疾患が隠れているケースが一定数存在することが報告されています。

腹痛は、体が異常を知らせる“警報音”と考えるべき症状なのです。


2 痛み方でわかる腹痛のタイプと考えられる原因

ポイント

  • キリキリ・差し込む痛み

  • 鈍く重たい痛み

  • 波のある痛み

  • 押すと強くなる痛み

本文

腹痛は「どこが・どのように・どのくらい続くか」で原因の推定が変わります。

キリキリ・差し込む痛み
→ 胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などが疑われます。空腹時や食後で変化することが多いのが特徴です。

鈍く重たい痛み
→ 肝臓、膵臓、胆嚢などの炎症性疾患や、便秘・ガス貯留が関係することがあります。

波のある痛み(疝痛)
→ 腸が詰まろうとするときに起こりやすく、腸閉塞や尿管結石などが代表例です。

押すと強くなる痛み(圧痛)
→ 腹膜刺激症状の可能性があり、虫垂炎や穿孔性疾患では重要な所見になります。

このように、痛み方は診断の大きなヒントになります。


3 今すぐ注意すべき「危険な腹痛のサイン」

ポイント

  • 突然の激しい痛み

  • 発熱・嘔吐を伴う

  • 血便・黒色便

  • 痛みが時間とともに悪化

本文

次のような症状を伴う腹痛は、早急な医療機関受診が必要です。

  • 突然始まった強い腹痛
    → 大動脈解離、消化管穿孔などの可能性

  • 38度以上の発熱や繰り返す嘔吐
    → 感染性腸炎、胆嚢炎、膵炎など

  • 血便やタール便(黒い便)
    → 消化管出血の疑い

  • 時間とともに痛みが増す
    → 虫垂炎は典型例

日本の消化器診療ガイドラインでも、「痛み+全身症状」の組み合わせは重症度評価で非常に重要とされています。


見逃されやすい慢性的・繰り返す腹痛の正体

ポイント

  • 過敏性腸症候群

  • 機能性ディスペプシア

  • ストレス関連疾患

  • 女性特有の疾患

本文

一方で、「命に関わるわけではないが、生活の質を大きく下げる腹痛」も存在します。

代表的なのが過敏性腸症候群(IBS)で、ストレスや生活リズムの乱れと強く関連します。

また、胃の検査で異常が見つからないのに症状が続く機能性ディスペプシアも増えています。

女性では、

  • 子宮内膜症

  • 排卵痛

  • 月経関連腹痛

が見逃されやすく、「お腹の病気」として処理されてしまうこともあります。

慢性腹痛は「慣れるもの」ではなく、評価すべき症状です。


5 受診の目安と、家庭でできる初期対応

ポイント

  • 我慢しない判断基準

  • 市販薬の使い方

  • 食事・水分の工夫

  • 経過観察のポイント

本文

腹痛で受診すべきか迷った場合、

  • 痛みが半日以上続く

  • 日常生活に支障がある

  • いつもと明らかに違う

これらが一つでもあれば、医療機関での相談をおすすめします。

家庭でできる対応としては、

  • 無理に食べない

  • 水分は少量ずつ

  • 温める(※激痛・発熱時は避ける)

などがありますが、原因不明の腹痛に鎮痛薬を安易に使うのは注意が必要です。

痛みを隠して診断を遅らせることがあるためです。


おわりに

【その腹痛は大丈夫?お腹の危険を知らせるサインとは】

腹痛は、体が発する非常に正直なメッセージです。

  • いつもと違う

  • 長引く

  • 強くなっている

こうした変化は、決して見逃してはいけません。

一方で、正しい知識があれば、不必要な不安を減らし、必要なときに適切に行動することができます。

「様子を見る」と「放置する」は違います。

あなた自身や大切な人のためにも、腹痛のサインに耳を傾けてください。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。


参考文献

  1. Cartwright SL, Knudson MP. Evaluation of acute abdominal pain in adults. American Family Physician.
    https://www.aafp.org/

  2. 日本消化器病学会「急性腹症診療ガイドライン」

  3. BMJ Best Practice. Assessment of abdominal pain

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