今回は、これって大丈夫?胸がズキっと痛むときについて説明していきます
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
目次
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はじめに
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胸の痛みはなぜ起こるのか ― 基本構造の理解
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「ズキっと痛む」胸痛の主な原因分類
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危険な胸痛・様子を見てよい胸痛の見分け方
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胸が痛んだときの正しい対処と受診の目安
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繰り返す胸痛の背景にある“意外な要因”
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おわりに
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参考文献
はじめに
突然、「ズキっ」、「チクッ」と胸が痛むと、多くの人は一瞬で不安になります。
「これって心臓?」
「もしかして危険な病気?」
実際、胸痛は命に関わる病気のサインであることもあれば、心配のいらない一時的な反応であることもある、非常に幅の広い症状です。
問題は、「どれが危険で、どれがそうでないのか」が分かりにくい点にあります。
日本・海外の最新研究では、救急外来を受診する胸痛の約7〜8割は心臓由来ではないと報告されています。
一方で、見逃してはいけない胸痛が確実に存在するのも事実です。
この記事では
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胸がズキっと痛む仕組み
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原因ごとの特徴
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危険サインの見分け方
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受診の判断基準
を、医学的根拠に基づきながら、誰でも判断しやすい形で解説します。
1. 胸の痛みはなぜ起こるのか ― 基本構造の理解
■ 胸の中にある主な構造
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心臓
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肺・胸膜
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肋骨・筋肉
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食道・胃
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神経
■ 「心臓=胸痛」ではない理由
胸というエリアには、多くの臓器・組織・神経が密集しています。
そのため、脳は「どこが痛んでいるのか」を正確に区別できないことがあります。
特に特徴的なのが、👉 関連痛(放散痛)という現象です。
これは、
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内臓の異常
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筋肉や神経の刺激
が、同じ神経経路を使って“胸の痛み”として感じられる状態を指します。
つまり、「胸が痛い=心臓が悪い」とは限らないのです。
2. 「ズキっと痛む」胸痛の主な原因分類
■ 主な原因カテゴリ
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筋肉・骨由来
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神経由来
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消化器由来
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心因性
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心臓・血管由来
以下、それぞれを詳しく見ていきます。
■ ① 筋肉・骨由来の胸痛
最も多いのがこのタイプです。
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肋間筋
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胸筋
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肋軟骨
などが原因になります。
特徴:
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体を動かすと痛む
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押すと再現できる
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ズキッと一瞬
デスクワーク、スマホ姿勢、ストレスによる無意識の筋緊張が背景にあることが多く、命に関わる可能性は低いとされています。
■ ② 神経由来の胸痛
肋間神経痛などが代表例です。
特徴:
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電気が走るような痛み
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一瞬ズキッとする
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深呼吸で痛むことも
ストレス、姿勢不良、冷えが引き金になることが多く、画像検査では異常が見つからないケースも少なくありません。
■ ③ 消化器由来の胸痛
食道・胃の不調も、胸の痛みとして感じられます。
特徴:
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食後に出やすい
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焼ける感じ
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胸の中央が痛む
逆流性食道炎や食道けいれんは、心臓の痛みと非常に似た感覚を引き起こすため、見分けが難しいことで知られています。
3. 危険な胸痛・様子を見てよい胸痛の見分け方
■ すぐ受診すべき危険サイン
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圧迫される痛み
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15分以上続く
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冷や汗・吐き気
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左腕・顎へ放散
■ 心臓・血管由来の胸痛の特徴
狭心症・心筋梗塞などの胸痛は、
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「ズキッ」より
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「ギューッ」「締めつけ」
と表現されることが多いです。
また、
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安静にしても改善しない
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息切れを伴う
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冷汗が出る
場合は、迷わず医療機関へが原則です。
4. 胸が痛んだときの正しい対処と受診の目安
■ まず行うこと
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安静にする
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痛みの性質確認
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呼吸・動作との関係
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時間経過観察
■ 「一度は検査」の重要性
医学的には、初めての胸痛は一度は評価することが推奨されています。
心電図・血液検査・画像検査で「異常なし」と分かること自体が、
👉 大きな安心材料
👉 その後の不安軽減
につながります。
5. 繰り返す胸痛の背景にある“意外な要因”
■ 見落とされがちな原因
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慢性ストレス
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不安・パニック
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自律神経乱れ
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睡眠不足
■ 心因性胸痛という考え方
海外の研究では、繰り返す原因不明の胸痛の約30〜40%が心理的要因と関連していると報告されています。
特徴:
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検査は正常
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不安が強い時に出る
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胸以外の症状も併発
これは「気のせい」ではなく、脳と自律神経の誤作動による、れっきとした身体反応です。
おわりに
胸がズキっと痛むと、不安になるのは当然です。
しかし大切なのは、正しく怖がり、正しく判断することです。
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危険な痛みを見逃さない
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不要な不安で苦しまない
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必要なときに医療につながる
そのための知識が、あなた自身を守ります。
「大丈夫かどうか分からない」と感じたら、
👉 それ自体が受診理由です。
どうか一人で抱え込まないでください。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
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Amsterdam EA, et al. (2021). Evaluation of chest pain in adults.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/ -
日本循環器学会(2023)「急性冠症候群診療ガイドライン」
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Eslick GD. (2018). Non-cardiac chest pain: epidemiology and pathophysiology.
