今回は臨床上よく見る、「変形性膝関節症」について説明していきます。
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はじめに
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は、関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接こすれ合うことで炎症や痛みを引き起こす慢性的な疾患です。
日本では、高齢化社会の進展とともに、この病気に悩む人が増えています。
今回は、変形性膝関節症の症状について、
- 初期症状
- 中期症状
- 重症期症状
の順に誰でも分かるように説明していきます。
日本では肥満の女性に多い印象ですね。
1. 初期症状
変形性膝関節症の初期症状は、膝の痛みや違和感から始まります。
具体的には、以下のような症状が見られます。
- 運動後の膝の痛み
初期段階では、運動後や長時間の歩行後に膝に痛みを感じることが多いです。特に、階段の上り下りや立ち上がる動作で痛みが強くなります。 - 膝のこわばり
朝起きたときや長時間座った後に膝がこわばる感じがすることがあります。このこわばりは、動かすことで徐々に緩和されます。 - 軽度の腫れ
膝に軽い腫れが見られることがあります。これは関節内の炎症によるもので、時には膝の周りに温かみを感じることもあります。 - 音がする
膝を動かしたときに「ギシギシ」「パキパキ」といった音がすることがあります。これは、軟骨がすり減り、骨同士が直接こすれ合うことで発生します。
これらの症状が見られる場合、早期に医師の診断を受けることが重要です。
早期発見・治療により、症状の進行を遅らせることができます。
2. 中期症状
変形性膝関節症が進行すると、症状は次第に悪化します。
中期の段階では、以下のような症状が現れます。
- 持続する痛み
初期の頃は運動後に感じていた痛みが、安静時にも感じられるようになります。特に、夜間に痛みが強まり、睡眠が妨げられることもあります。 - 膝の可動域の制限
膝を完全に曲げたり伸ばしたりすることが難しくなります。このため、正座やしゃがむ動作が困難になります。 - 膝の変形
膝関節が外側に変形することがあり、見た目に左右差が出ることがあります。これは、軟骨のすり減りと共に関節周囲の筋肉や靭帯のバランスが崩れるためです。 - 歩行の困難
痛みや可動域の制限により、歩行が困難になります。歩行時に膝が不安定になることもあり、転倒のリスクが高まります。
中期症状が現れた場合、リハビリテーションや薬物療法などの適切な治療が必要となります。
医師と相談し、最適な治療方法を選ぶことが重要です。
3. 重症期症状
変形性膝関節症がさらに進行すると、症状は一層深刻になります。
重症期には、以下のような症状が見られます。
- 激しい痛み
痛みは持続的で、安静時や夜間にも強くなります。痛みがひどくなると、日常生活の質が大きく低下します。 - 著しい可動域の制限
膝の可動域はさらに制限され、簡単な動作も困難になります。立ち上がる、座る、階段を昇降するなどの基本的な動作が制限されます。 - 顕著な膝の変形
膝の変形が進み、外見的にも明らかになります。O脚やX脚のように、膝の形が大きく変わることがあります。 - 歩行不能
痛みと可動域の制限により、歩行がほぼ不可能になります。杖や歩行器、車椅子などの補助具が必要となる場合があります。 - 生活の質の低下
症状の悪化により、日常生活に大きな支障をきたします。仕事や趣味、家事などの活動が制限され、心理的な負担も増加します。
重症期に達した場合、人工関節置換術などの外科的治療が検討されることがあります。
医師と十分に相談し、最適な治療方法を選ぶことが重要です。
おわりに
変形性膝関節症は、放置すると症状が進行し、生活の質を大きく損なう病気です。
しかし、早期発見と適切な治療により、進行を遅らせ、症状を軽減することが可能です。膝に違和感や痛みを感じたら、早めに医師の診断を受けることをお勧めします。
日常生活での予防やリハビリテーションを通じて、健康な膝を維持しましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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