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理学療法士が教える腱鞘炎の基本とは?

今回は腱鞘炎の基本について説明していきます

理学療法士として、基本から腱鞘炎について解説しますので、是非最後まで読んでみて下さい!

はじめに

腱鞘炎は、手や手首、指、足首などの腱鞘(けんしょう)と呼ばれる組織に炎症が生じることで発生する痛みや不快感を伴う疾患です。

特に、手や指を頻繁に使用する人々や、同じ動作を繰り返す作業をする人々に多く見られます。

腱鞘炎は、放置すると慢性化することがあり、日常生活に支障をきたす可能性があります。

今回は、

  1. 腱鞘炎とは?その原因と症状
  2. 腱鞘炎の予防とセルフケア
  3. 腱鞘炎の治療とリハビリテーション

をもとに、理学療法士としての視点から、腱鞘炎の基本的な理解、予防方法、治療法について詳しく解説し、腱鞘炎の管理と予防に役立つ情報を提供します。

1. 腱鞘炎とは?その原因と症状

腱鞘炎は、腱とその周囲を取り囲む腱鞘に炎症が起きることによって発生します。

腱は筋肉と骨をつなぐ組織であり、腱鞘はその腱を包み込み、滑らかに動くための潤滑液を分泌する役割を持っています。

しかし、腱鞘に過度の負担がかかると、摩擦が増し、炎症を引き起こします。この炎症が腱鞘炎として現れ、痛みや腫れ、動作の制限を引き起こします。

  • a. 腱鞘炎の主な原因
    腱鞘炎の原因は、主に過度の使用や同じ動作の繰り返しによるものです。例えば、長時間のパソコン作業、スマートフォンの使用、手芸、楽器の演奏、重い物を持つ作業などが腱鞘炎のリスクを高めます。これらの活動は、手や指、手首に負担をかけ、腱鞘に繰り返し刺激を与えるため、炎症が生じやすくなります。
    さらに、年齢や性別も腱鞘炎のリスクに影響を与える要因です。特に40代以上の女性は、ホルモンバランスの変化や加齢に伴う腱や腱鞘の柔軟性の低下が原因で腱鞘炎を発症しやすいとされています。また、糖尿病や関節リウマチといった基礎疾患がある場合も、腱鞘炎のリスクが高まることが知られています。
  • b. 腱鞘炎の症状
    腱鞘炎の主な症状は、患部における痛みと腫れです。特に、動作の開始時や繰り返し動作を行う際に痛みが強くなります。痛みは、軽度の場合は違和感程度ですが、重症化すると鋭い痛みが走るようになり、日常生活に支障をきたすことがあります。
    また、腱鞘炎が進行すると、腱が硬くなり、動作時に「カクン」という音がする「ばね指」や、関節が固まって動かしにくくなる「腱鞘狭窄症」を引き起こすことがあります。これらの症状が現れた場合、早期の治療が必要です。

2. 腱鞘炎の予防とセルフケア

腱鞘炎の予防には、日常生活の中で手や指、手首にかかる負担を軽減することが重要です。

無理な動作を避け、適切な休息を取り入れることで、腱鞘にかかるストレスを減らし、炎症を予防することが可能です。

  • a. 作業の工夫と道具の活用
    まず、作業を行う際には、手や指に無理な力がかからないようにすることが大切です。例えば、パソコン作業をする際は、キーボードやマウスの位置を調整し、手首に負担がかからないようにしましょう。リストレスト(手首を支えるクッション)を使用することで、手首の負担を軽減することができます。
    また、スマートフォンの使用時間を制限し、長時間同じ姿勢を取らないように心がけることも重要です。定期的に休憩を取り、手や指をストレッチすることで、血流を促進し、筋肉や腱の緊張を和らげます。
    手芸や楽器の演奏など、手を使う趣味を楽しむ場合は、道具選びも重要です。道具が手にフィットしていない場合、手や指に余計な力がかかり、腱鞘炎の原因となることがあります。適切なサイズや形状の道具を選ぶことで、手の負担を軽減し、腱鞘炎のリスクを低減できます。
  • b. ストレッチとエクササイズ
    腱鞘炎の予防には、手や指、手首の柔軟性を高めるためのストレッチやエクササイズが効果的です。これらの運動は、腱や筋肉を強化し、腱鞘への負担を軽減することができます。
    例えば、手首のストレッチとしては、手のひらを上に向けて前方に伸ばし、反対の手で指先を軽く押し下げる方法があります。この動作を数回繰り返すことで、手首の腱が伸び、柔軟性が向上します。また、握力を鍛えるためのエクササイズとして、柔らかいボールを握っては緩める動作を繰り返すことで、指や手の筋肉を強化することができます。
    これらのストレッチやエクササイズは、日常生活の中に取り入れやすく、腱鞘炎の予防に非常に効果的です。特に、長時間の作業やスポーツの前後に行うことで、手や指、手首の負担を軽減し、腱鞘炎を防ぐことができます。

3. 腱鞘炎の治療とリハビリテーション

腱鞘炎の治療には、炎症を抑えることが最優先されます。

治療法は症状の重さによって異なりますが、早期の対応が腱鞘炎の悪化を防ぐ鍵となります。

  • a. 保存療法
    腱鞘炎の初期段階では、保存療法が基本となります。保存療法とは、手術を行わずに、安静や薬物療法、物理療法を用いて症状を改善する治療法です。まず、痛みがある部位を安静に保ち、無理な動作を避けることが重要です。手や指、手首を使う作業を控え、患部を休ませることで、炎症の進行を抑えることができます。
    また、氷嚢や冷却シートを使って患部を冷やすことで、炎症を軽減し、痛みを和らげることができます。冷やす時間は10~15分程度を目安とし、1日に数回行うと効果的です。
    薬物療法としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されます。これにより、炎症を抑え、痛みを軽減することができます。症状が強い場合には、ステロイド注射が行われることもありますが、これは医師の指導の下で行う必要があります。
  • b. 理学療法とリハビリテーション
    腱鞘炎が慢性化したり、保存療法で症状が改善しない場合、理学療法が効果的です。理学療法士は、患部の機能を回復させるために、ストレッチや筋力強化のエクササイズを指導します。また、超音波治療やレーザー治療、電気刺激療法などの物理療法を用いて、血流を改善し、炎症を軽減する治療を行います。
    リハビリテーションでは、患部の可動域を広げるための運動や、再発を防ぐための予防的なトレーニングが行われます。理学療法士の指導のもと、適切なリハビリを行うことで、腱鞘炎の再発を防ぎ、手や指、手首の機能を回復させることが可能です。
  • c. 手術療法
    保存療法や理学療法で改善が見られない場合や、症状が重度である場合には、手術療法が検討されることがあります。手術療法では、腱鞘を切開して腱を解放し、炎症を取り除くことで、症状を改善します。手術後は、リハビリテーションが重要であり、術後の回復をサポートするために、理学療法士の指導のもとでリハビリを行います。
    手術は最終手段であり、まずは保存療法や理学療法を行い、それでも改善が見られない場合に検討されます。手術後の回復には時間がかかるため、適切な治療計画を立てることが重要です。

おわりに

腱鞘炎は、手や指、手首に繰り返し負荷がかかることで発生しやすい疾患です。

日常生活の中で手や指を頻繁に使う人にとっては、特に注意が必要です。

早期に症状に気づき、適切な予防や治療を行うことで、腱鞘炎の進行を防ぎ、痛みや機能障害を軽減することが可能です。

理学療法士として、腱鞘炎の予防と治療に関する正しい知識を持ち、患者さんに適切な指導とサポートを提供することが求められます。

今回、紹介した基本的な知識と対策を活用し、腱鞘炎のリスクを減らし、健康な手や指を維持するための取り組みを進めていただければ幸いです。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

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