糖尿病になると血糖値は上がる?下がる?
~意外と知らない血糖値の仕組みと糖尿病の本当の姿を心リハ・予防医学の視点から解説~
目次
- はじめに
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- 糖尿病になると血糖値は「上がる」が基本
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- なぜ血糖値が高くなるのか?インスリンの働きを理解しよう
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- 糖尿病でも血糖値が下がり過ぎる「低血糖」が起こる理由
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- 高血糖が続くと身体にはどんな変化が起こるのか
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- 血糖値を安定させるために今日からできる生活習慣
- おわりに
- 参考文献
はじめに
「糖尿病になると血糖値は上がるのですか?それとも下がるのですか?」
健康教室や外来でも非常によくいただく質問です。
結論から言えば、糖尿病の基本的な特徴は『血糖値が高くなる病気』です。
しかし、一方で糖尿病の治療中には血糖値が下がり過ぎる「低血糖」が起こることもあります。
このため、
「糖尿病なのに低血糖になるなんておかしい」
と感じる方も少なくありません。
糖尿病は単純に「血糖値が高い病気」ではなく、血糖値を正常範囲に保つ仕組みそのものが乱れる病気と考えると理解しやすくなります。
近年では、日本や海外の研究から、糖尿病は単なる糖の病気ではなく、慢性炎症、腸内環境、生活習慣、遺伝的要因などが複雑に関係する全身性の代謝疾患であることが明らかになってきました。
この記事では、糖尿病と血糖値の関係について、最新の知見を交えながら分かりやすく解説します。
1. 糖尿病になると血糖値は「上がる」が基本
ポイント
- 糖尿病の特徴は慢性的な高血糖
- 食後だけでなく空腹時も高くなることがある
- 初期には自覚症状が少ない
- 放置すると全身に影響が及ぶ
私たちが食事をすると、炭水化物はブドウ糖に分解され、血液中へ吸収されます。
すると血糖値は一時的に上昇しますが、健康な人では膵臓から分泌されるインスリンによって血糖値は適切な範囲に戻ります。
しかし糖尿病では、
- インスリンの分泌量が不足する
- インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)
などの理由で、血液中のブドウ糖が細胞へ十分取り込まれず、高血糖の状態が続きます。
特に2型糖尿病では、肥満、運動不足、加齢、遺伝などが重なり、インスリン抵抗性が高まることが多いとされています。
私は患者さんに、「糖は十分にあるのに、細胞のドアが開かずエネルギーとして使えない状態」と説明しています。
その結果、血液中には糖があふれ、全身の血管や臓器に負担をかけることになります。
2. なぜ血糖値が高くなるのか?インスリンの働きを理解しよう
ポイント
- インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモン
- 肝臓・筋肉・脂肪組織で糖利用を促進
- インスリン抵抗性が高血糖を招く
- 加齢や内臓脂肪も影響する
インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる中心的な役割を担います。
インスリンが正常に働くことで、ブドウ糖は筋肉や脂肪細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されたり、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられたりします。
一方で、肥満や運動不足、内臓脂肪の蓄積があると、細胞がインスリンに反応しにくくなります。これがインスリン抵抗性です。
近年の研究では、慢性炎症や腸内細菌叢の変化もインスリン抵抗性に関与する可能性が示されていますが、これらは複数の要因の一部であり、現在も研究が進められている分野です。
3. 糖尿病でも血糖値が下がり過ぎる「低血糖」が起こる理由
ポイント
- 治療薬やインスリン注射が原因となることがある
- 食事量の不足
- 激しい運動
- 飲酒
- 高齢者では症状に気付きにくい
糖尿病そのものは高血糖を特徴としますが、治療中には低血糖が起こることがあります。
特にインスリン製剤や一部の経口血糖降下薬(例:スルホニル尿素薬など)を使用している場合は注意が必要です。
低血糖になると、
- 冷や汗
- 動悸
- 手の震え
- 強い空腹感
- 集中力低下
- 意識障害
などの症状が現れることがあります。
高齢者では典型的な症状が出にくく、ぼんやりする、ふらつく、転倒するといった形で現れる場合もあります。
そのため、治療中は高血糖だけでなく低血糖予防も重要です。
4. 高血糖が続くと身体にはどんな変化が起こるのか
ポイント
- 血管が傷つく
- 動脈硬化が進みやすくなる
- 神経障害
- 腎障害
- 網膜症
- 心筋梗塞・脳卒中リスクの増加
高血糖が長期間続くと、血管の内側を覆う血管内皮細胞が障害されます。
これにより慢性炎症や酸化ストレスが進み、動脈硬化の進展につながります。
糖尿病の三大合併症として、
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
- 糖尿病神経障害
が知られています。
さらに、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクも高まることが分かっています。
だからこそ、血糖値を適切に管理することは、将来の健康を守るために非常に重要です。
5. 血糖値を安定させるために今日からできる生活習慣
ポイント
- 食べ過ぎを避ける
- 食物繊維を十分に摂る
- 適度な有酸素運動
- 筋力トレーニング
- 良質な睡眠
- ストレス管理
- 定期的な健康診断
血糖値を安定させるためには、生活習慣の改善が基本です。
特に食事では、野菜や海藻、豆類、全粒穀物など食物繊維を多く含む食品を取り入れることで、食後血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待できます。
また、有酸素運動や筋力トレーニングはインスリン感受性を改善し、血糖コントロールに役立つことが多くの研究で示されています。
私が健康指導で大切にしている考え方は、「血糖値だけを見るのではなく、生活全体を整えることが糖尿病予防・改善の第一歩」ということです。
無理な制限を続けるよりも、継続できる生活習慣を積み重ねることが、長期的な健康につながります。
おわりに
糖尿病になると、基本的には血糖値は高くなります。
しかし、治療の内容や生活状況によっては低血糖が起こることもあり、「高血糖」と「低血糖」の両方に注意が必要です。
近年の研究では、糖尿病は単なる血糖値の異常ではなく、慢性炎症、腸内環境、生活習慣、遺伝などが複雑に関係する全身性疾患であることが分かってきました。
糖尿病の予防や治療では、食事や運動、睡眠、ストレス管理、適切な薬物療法を組み合わせ、医療機関で定期的に状態を確認することが重要です。
血糖値は「健康状態を映す一つの指標」です。
数値だけに一喜一憂するのではなく、毎日の生活を見直しながら、長く健康を維持できる習慣づくりを目指していきましょう。
これを機に保険の見直しはいかがでしょうか?
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
- American Diabetes Association: Standards of Care in Diabetes
- 日本糖尿病学会. 『糖尿病診療ガイドライン』
- Davies MJ, Aroda VR, Collins BS, et al. Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes. Diabetes Care
