今回は、血糖値と眠気の関係について説明していきます
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
食後に襲う強い眠気。
日本語で“食後のまどろみ”とも呼ばれ、「なぜ食べると眠くなるの?」という疑問を持つ人は多いでしょう。
しかし、その背後には本当に科学的な理由があります。
最新研究では、睡眠の質・食事の内容・摂取タイミング・生体リズムの複雑な相互作用が、血糖値の挙動と眠気に密接に関連することが示されています。
本記事では最先端のエビデンスを深堀りし、「知られざるメカニズムと対策」をわかりやすく紹介します。
1 血糖値スパイク→インスリン過剰→眠気誘発
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食後血糖が急上昇すると、インスリンが大量分泌される
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インスリンは脳内にトリプトファンを送り込み、セロトニン・メラトニンが増加
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結果として眠気を引き起こす神経伝達物質が活性化
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高GI食や炭水化物中心の食事でこの現象が顕著になります
2 血流の配分変化による「血管リダイレクト」仮説
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消化のために腸管への血流が増加
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脳への血流は一定に保たれるが、筋肉血流など骨格系から奪われる可能性大
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他の組織ポンプの圧低下で眠気やだるさが発生
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食後には軽い活動(散歩)が推奨される所以です
3 睡眠の質が翌日の血糖変動に影響
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睡眠効率が悪い・就寝遅れ →朝食後の血糖上昇が顕著に 実験的データでは、睡眠が浅いと2時間後の血糖曲線のAUC(面積)が増加
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日中の眠気や食後眠気の程度もこれに影響される
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つまり「良質睡眠 = 血糖安定 = 眠気軽減」の好循環が成立します
4 夜間~早朝のリズムが血糖・眠気に影響
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「朝方タイプ」と「夜型タイプ」で血糖応答が異なり、夜型はグリセミック変動が大きい傾向
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Guangzhou研究では、就寝時間が0時以降になると血糖変動が1.18%増えた
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夜型の人は小まめな血糖変動によって、日中の眠気や集中力低下も起きやすい
5 睡眠時無呼吸症(OSA)と血糖・覚醒性の関係
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OSAでは夜間に血糖が下がらず、不安定化しやすい
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間欠的低酸素・交感神経過活動 → インスリン抵抗性が進行
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結果として睡眠中の睡眠構造が破壊され、日中の過剰な眠気にも影響
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OSA治療により血糖波動が緩和され、日中の眠気改善も報告されています
「グリセミック・チャクラ」メソッド
① 食後軽動メソッド:食後10分の散歩で血流循環を促し、眠気軽減
② クロノダイエット:夜型の人でも夕食の糖質を少量に。昼間はたんぱく質を中心に
③ 睡眠×血糖自己管理:ウェアラブルで睡眠質と血糖を同時記録し、相関可視化
④ タイムド・スリープリズム調整:就寝時刻を15分ずつ早め、1週間で0時前ルールを習慣化
おわりに
食後の眠気は「身体の警告信号」。それをただの怠けと片付けず、血糖挙動・摂取内容・睡眠質・体内リズムの四つの視点で理解することで、大きな改善が可能です。
眠気の軽減は集中力・生産性の向上だけでなく、将来的な血糖異常・生活習慣病予防にも直結します。
今日から「食べる内容」と「寝る習慣」を見直し、この不思議な人体のメカニズムを味方につけましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
🧠参考文献
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Tasali E, Van Cauter E. Impact of sleep and sleep loss on glucose homeostasis and appetite regulation. Sleep. 2008 en.wikipedia.org+1verywellhealth.com+1time.compmc.ncbi.nlm.nih.gov
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Simonson DC et al. Poor sleep efficiency associates with heightened postprandial glycaemic response. Diabetologia. 2021;内容 pmc.ncbi.nlm.nih.gov+1pubmed.ncbi.nlm.nih.gov+1
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Shen L et al. Trajectories of sleep onset timing and continuous glucose monitoring in adults. JAMA Netw Open. 2025;8(3):e250114. リンクはこちら emjreviews.com