今回は、介護ロボットの実力は?実際に使ってみた体験談について説明していきます
医療従事者の立場で知った知識を共有していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
超高齢社会の日本では、介護の担い手不足が深刻化しています。
厚生労働省によると、2040年までに約69万人の介護人材が不足するとされており、その解決策のひとつとして注目されているのが「介護ロボット」です。
「でも本当に使えるの?」「人の代わりになるの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、実際に介護ロボットを家庭と施設で使ってみた体験談をもとに、本当の実力と、メリット・課題、導入のコツを、わかりやすく解説していきます。
1. 「抱え上げロボット」を使ってみた体験談:腰痛からの解放
● 実際に使用したロボット:マッスルスーツ Every(株式会社イノフィス)
▷ 使用シーン
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寝たきりの母(要介護4)の移乗介助(ベッド⇄車椅子)
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体重48kgでも、支える側に負担が大きく、長年の介護で筆者(長男・50代)の腰に限界が来ていた
▷ 導入後の変化
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装着はわずか30秒。空気圧で背筋をサポートし、持ち上げ時の負担が60%軽減(公式実験値)
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慣れるまでは違和感があったが、1週間でスムーズに操作可能に
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腰痛が劇的に改善し、週3回だった整骨院通いがゼロに
▷ 良かった点
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軽量(3.8kg)で高齢者でも扱える
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機械的というより“補助してくれる”感覚に近く、親も怖がらない
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腰や肩への疲労感が大幅に軽減
▷ 注意点
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段差がある場所ではバランスに注意が必要
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毎回空気圧調整が必要なため、急いでいるときはやや手間
コメント:
「自分の体が壊れてしまえば、介護なんて続けられない。ロボットは“道具”ではなく、“共に戦う味方”だった。」
2. 「見守りロボット」は本当に安心できるのか?高齢者本人の反応も
● 実際に使用した機器:みまもりホン(ドコモ)+見守りセンサー「ライフリズムナビ+Dr」
▷ 使用シーン
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一人暮らしの父(79歳、軽度認知症)に導入
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夜間の徘徊・転倒が増えたため、遠方に住む娘(東京都)としては常に不安だった
▷ 導入後の生活の変化
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スマートフォン経由で歩数・心拍・睡眠状況を家族がリアルタイムで確認
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転倒時やドアの開閉異常時には通知が即時に届く
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親の様子を毎日確認することで「漠然とした不安」が明確な安心感に変わった
▷ 本人の感想
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「監視されているようで嫌だと思ってたけど、逆に“見ててくれてる”と安心する」
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操作は不要。持っているだけなのでストレスもない
▷ よかった点
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介護保険対象外でも、月額数千円で導入可能(助成金あり)
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家族との会話も増えた(例:「昨日よく寝たね」など)
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緊急時に地域包括支援センターへ即連絡可能な体制が整った
▷ 注意点
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電波状況やセンサーの感度には個体差あり
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通知が多すぎて逆に不安になる人も(設定調整が必要)
コメント:
「“毎日電話して確認する”という負担から解放されただけで、仕事も介護も前向きに両立できるようになりました。」
3. 「会話ロボット・コミュニケーションロボット」は介護を変えるのか?
● 実際に使用したロボット:パルロ(富士ソフト)/BOCCO emo(ユカイ工学)
▷ 使用シーン
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デイサービスでのレクリエーション/独居高齢者の話し相手として使用
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認知症初期の母(75歳)に導入。昼間の孤独感と不安感の軽減が目的
▷ 効果と実感
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声をかけると返事が返ってくるだけで、笑顔になる瞬間が増加
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簡単なクイズ・ダンス・歌を通じて脳刺激が生まれる
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定時での服薬リマインダーやニュース読み上げ機能も活用
▷ 介護者の声
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「介護ロボットが話しかけてくれてる間に、家事や仕事に集中できる」
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「1人じゃないって思える環境が、認知症の進行を緩やかにする効果を実感」
▷ 課題と注意点
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会話内容はやや機械的。「返事はできるが、理解はしない」
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電源管理やWi-Fi環境が必要(高齢者単独では設定が難しい)
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初期費用がやや高い(レンタル制度を活用する人も多い)
コメント:
「親の孤独を埋めてくれるのは、時には“人”ではなく、“ロボットの声”かもしれないと気づきました。」
おわりに
介護ロボットは、決して“夢の全自動介護”ではありません。
しかし、正しく選び、正しく使えば、介護者の身体的・精神的負担を劇的に軽減してくれる、非常に心強いパートナーです。
そして何より、「介護を一人で抱えない」「テクノロジーの力を借りることをためらわない」という考え方そのものが、これからの介護には欠かせません。
導入前には、自治体の助成金制度やレンタル支援、ケアマネジャーのアドバイスを活用しながら、自分たちに合ったロボットを見つけてください。
未来の介護は、“人”と“ロボット”が協力し合う時代。
その第一歩を、今日から踏み出してみませんか?
参考文献
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厚生労働省「介護ロボットの導入と効果に関する実証報告書(2023年版)」
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日本福祉用具供給協会「現場で役立つ介護ロボットの導入事例集」
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OECD: Robotics in Elderly Care – Policy Recommendations and Global Trends (2022)