今回は心臓とウォーキングについて説明していきます
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
日本では心疾患ががんに次いで主要な死因の一つであり、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病がその大きなリスク要因とされています。
これらのリスクを下げるために、定期的な有酸素運動、特にウォーキングは医学的にも推奨されている安全で効果的な手段です。
ウォーキングは特別な道具も技術も必要なく、誰でも今すぐ始めることができるという点で非常に優れています。
しかし、ただなんとなく歩くだけでは十分な効果を得られないこともあります。
実は、歩く「姿勢」や「歩幅」「時間帯」「心拍数の管理」など、いくつかのポイントを押さえることで、心臓にとって理想的なウォーキングに変えることができるのです。
近年では、日本の大学や医療機関による研究のみならず、海外の心臓病学会などでもウォーキングの医学的効果に関する数々の論文が発表され、科学的な裏付けがどんどん蓄積されています。
これにより、私たちはただの散歩を、心臓のリハビリや予防につながる医療的アプローチとして活用できるようになりました。
本記事では、そうした最新の知見をもとに、心臓にとって最も効果的なウォーキングの方法を、「フォーム」「歩行速度・時間」「心拍数の管理」といった切り口から詳しく解説します。
ご自身の健康状態に合わせ、無理なく取り入れていただければ幸いです。
1. 正しいウォーキングフォーム
正しいフォームで歩くことで、心臓への負担を軽減し、効果的な運動が可能になります。
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姿勢を正す: 背筋を伸ばし、頭を高く保ちます。視線は自然に前方を向け、肩の力を抜きます。
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腕の振り: 肘を約90度に曲げ、自然なリズムで腕を前後に振ります。これにより歩行のバランスが良くなります。
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足の着地: かかとから着地し、足裏全体を使ってつま先で地面を蹴るように歩きます。
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歩幅の調整: 自分の身長に合った自然な歩幅を保ちます。過度に広げたり狭めたりしないよう注意しましょう。
2. 適切な歩行速度と時間
ウォーキングの効果を最大限に引き出すためには、適切な速度と時間を守ることが重要です。
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速度の目安: やや速めのペース(時速4〜6km)で歩くことが推奨されます。
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時間の目安: 1日30分以上、週に150分以上のウォーキングが理想的です。
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インターバルウォーキング: 速歩とゆっくり歩きを交互に行うことで、心肺機能の向上が期待できます。
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継続性: 毎日続けることが大切です。無理のない範囲で習慣化しましょう。
3. 心拍数の管理
心拍数を意識することで、運動の強度を適切に調整できます。
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目標心拍数: 最大心拍数の50〜70%を目安にします。最大心拍数は「220−年齢」で計算できます。
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測定方法: 手首や首の脈を測る、または心拍計を使用してリアルタイムで確認します。
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過度な上昇の防止: 心拍数が急激に上がった場合は、ペースを落とすか休憩を取りましょう。
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ウォームアップとクールダウン: 運動前後に軽いストレッチやゆっくり歩くことで、心拍数の急激な変化を防ぎます。
おわりに
心臓を守るためのウォーキングは、何も特別なことではありません。
大切なのは、正しい知識をもって、日々の習慣として取り入れることです。ウォーキングは、心拍数を穏やかに上昇させることで心筋の血流を改善し、血圧や血糖、コレステロールの調整にも効果を発揮します。
それだけでなく、ストレス軽減や睡眠の質向上にもつながることがわかっています。
重要なのは「継続性」と「安全性」です。無理をして逆に体を痛めたり、心拍数を過度に上げてしまうような運動は逆効果になりかねません。
高齢の方や心臓病の既往がある方は、医師と相談したうえで、自分に合ったペースで始めることが推奨されます。
また、最近ではスマートウォッチやアプリを活用し、日々の歩数や心拍数、消費カロリーを可視化することで、モチベーションを維持しやすくなっています。
これらのデバイスを上手に使うことで、より効率的で安全な心臓ケアが可能になります。
最後に、ウォーキングは単なる運動ではなく、自分の体と心をいたわる時間でもあります。
自然の中を歩いたり、音楽を聴きながらリズムよく歩くことで、心身ともにリフレッシュできます。
どうか、今日から一歩を踏み出してみてください。その一歩が、未来のあなたの健康を大きく守る力になります。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献:
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厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023.厚生労働省
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Healthline. Japanese Walking May Improve Heart Health, Lower Blood Pressure. Healthline
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Mass General Brigham. Walking for Heart Health. The Australian+4massgeneralbrigham.org+4Healthline+