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肩が挙がらない…四十肩と五十肩の違いを徹底説明!

今回は、肩が挙がらない…四十肩と五十肩の違いを徹底説明していきます

理学療法士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

目次

  1. はじめに

  2. 四十肩と五十肩の基礎知識

  3. 発症メカニズムの違い

  4. 症状と経過の特徴

  5. 最新研究が示す治療・リハビリの進歩

  6. 日常生活での工夫と予防法

  7. おわりに

  8. 参考文献

1. はじめに

「肩が挙がらない」「服を着替える時に肩が痛む」「夜寝返りを打つと痛みで目が覚める」——これらの訴えは、多くの中高年に見られる症状です。

一般的には「四十肩」「五十肩」と呼ばれますが、実際には**医学的には同じ疾患(肩関節周囲炎)**を指すことが多く、年齢に応じて呼び名が変わるだけです。

しかし近年の研究によれば、40代と50代では肩の組織変化や回復経過に微妙な差があることが報告されています。

本記事では、従来の知識に加え、日本や海外の最新論文の知見を取り入れ、四十肩と五十肩の違いと共通点を整理し、さらに実践的なリハビリ・予防法を紹介します。


2. 四十肩と五十肩の基礎知識

まずは用語と基本的な考え方を整理します。

  • 同じ病気を指す場合が多い
    医学的には「肩関節周囲炎」と診断されることが多く、四十肩も五十肩も同義。

  • 発症年齢の違い
    四十肩:40代に多く発症、働き盛りで肩の使いすぎが背景に。
    五十肩:50代以降に多く発症、加齢変化と血流低下が背景に。

  • 関節包の炎症と癒着
    関節を包む膜(関節包)が炎症を起こし、動きが制限される。

  • 自然経過は数か月~2年
    自然に治ることもあるが、適切なリハビリで回復期間を短縮可能

 


3. 発症メカニズムの違い

近年のMRI研究や超音波診断によって、40代と50代での肩の病態の差が明らかになりつつあります。

  • 40代の特徴(四十肩)

    • 反復的なオーバーユース(スポーツや労働での酷使)

    • 微小な腱板損傷や炎症が背景

    • 急性期の痛みが強いが、回復は比較的早い

    • 炎症性の要素が強く、血流改善が有効

  • 50代の特徴(五十肩)

    • 加齢による腱板の変性や石灰沈着

    • 関節包の線維化・癒着が進みやすい

    • 可動域制限が長期化しやすい

    • 血流不足と組織の修復力低下が背景

  • 最新研究(海外2024年報告)

    • 40代患者は「炎症優位型」

    • 50代患者は「拘縮優位型」に分類できる傾向あり

    • これにより治療戦略を年齢層で分ける提案がなされている

 


4. 症状と経過の特徴

四十肩・五十肩には共通の経過がありますが、世代差によって体感が異なることが多いです。

  • 急性期(炎症期)

    • 夜間痛が強く、安静でも痛い

    • 40代ではこの時期の症状が特に激しい

    • 冷却や消炎鎮痛剤が有効

  • 拘縮期(可動域制限)

    • 肩を動かすと痛み+硬さを感じる

    • 50代では長期化しやすい

    • 温熱療法+ストレッチが中心

  • 回復期

    • 徐々に動かせる範囲が広がる

    • 40代では半年以内に改善することも多い

    • 50代では1年以上かかるケースも

  • 再発率

    • 一度治っても反対側に発症する人が約30%

    • 生活習慣や運動不足がリスク因子

 


5. 最新研究が示す治療・リハビリの進歩

近年、四十肩・五十肩の治療には新たなアプローチが注目されています。

  • 運動療法が第一選択

    • 日本整形外科学会でも「安静より運動」を推奨

    • 関節可動域訓練と肩甲骨の動き改善が鍵

  • 徒手療法の有効性

    • 海外RCT(2023年)で、理学療法士による徒手療法+運動療法が最も改善率が高かった

    • 特に関節包ストレッチが有効

  • 再生医療の応用

    • PRP(多血小板血漿)注射の臨床試験が進行中

    • 組織修復を促進し、回復を早める可能性

  • デジタル療法

    • AIを用いた自宅リハビリアプリが海外で普及

    • 動作解析でフォームを修正できる

 


6. 日常生活での工夫と予防法

誰でも今日からできる具体的な工夫をまとめます。

  • 肩を冷やさない
    温めることで血流を促進し、関節包の柔軟性を維持。

  • 短時間のストレッチを習慣化
    壁に手をついて胸を開くストレッチを1日数回。

  • 正しいデスクワーク姿勢
    肘を90度に保ち、肩をすくめない環境作り。

  • 水中運動の活用
    浮力で肩に負担が少なく、可動域拡大に効果的。

 


7. おわりに

四十肩と五十肩は、医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、同じ病態の年齢による呼称の違いが基本です。

しかし、40代では「炎症が強い」、50代では「拘縮が強い」といった傾向があり、近年の研究では治療法を世代別に最適化する動きが進んでいます。

痛みが強い時期は安静も必要ですが、完全に動かさないと拘縮が進むため、適度な運動療法が何より重要です。

さらに日常生活での工夫や習慣化が、再発防止や早期改善につながります。

肩の痛みは「年齢のせい」と片付けず、正しい知識とケアで改善できる症状です。

もし肩が挙がらず日常生活に支障が出ているなら、早めに理学療法士や整形外科を受診することをおすすめします。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました


8. 参考文献

  1. 日本整形外科学会「肩関節周囲炎の治療ガイドライン」2024年版

  2. Lewis J. et al. Management of Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Shoulder and Elbow Surgery, 2023.

  3. Arthroscopy Journal: PRP Injections in Adhesive Capsulitis – Randomized Controlled Trial, 2024

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