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その痛み、歳のせいじゃない!早めに整形外科に行くべき症状

今回は、その痛み、歳のせいじゃない!早めに整形外科に行くべき症状について説明していきます

理学療法士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

目次

はじめに

  1. 「いつもの“加齢による痛み”と思ったら油断できない」

  2. 「歩行・動作に変化が出たら要注意」

  3. 「夜間・安静時に悪化する痛みやしびれ」

  4. 「腫れ・変形・しびれ・力が入らない」

  5. 「一過性と思いきや、数週間以上続く痛み」
    おわりに
    参考文献


はじめに

「歳をとると膝が痛くなって当然」「肩がこるのも年のせいだから仕方ない」と、誰しも一度は思ったことがあるでしょう。

しかし、実はその痛みが「単なる加齢現象」ではなく、放っておくと症状が進行してしまう「整形外科的に早期受診すべきサイン」であることがあります。

最新の医学研究でも、例えば早期の変形性関節症(変形性関節症)では、適切なタイミングで介入すれば進行を抑えたり、手術を回避できたりする可能性が示唆されています。

本稿では、「歳のせい」「まあ我慢できる範囲」と思って後回しにしがちな、しかし実は“早めに整形外科に行くべき症状”を5つの見出しに分けて、わかりやすく整理します。

誰にでも理解でき、実践に繋がるように、医学的背景・最新論文・受診のポイント・問診のヒントも併せてお届けします。

ぜひご自身やご家族の“痛みサイン”として役立てて下さい。


1. 「いつもの“加齢による痛み”と思ったら油断できない」

・「年だから仕方ない」と思いやすい痛み

  • 高齢になるほど関節軟骨のすり減りや骨・軟部組織の変性が進むため、膝・腰・肩などに慢性的な痛み・違和感を感じることは珍しくありません。例えば、最近のレビューでは、変形性関節症は「加齢・肥満・関節外傷などが複合的に作用する全関節の病」として捉えられています。

  • そのため「年だから痛む」「少し動けば疲れて痛むのは当たり前」と放置されるケースが多いのですが、実はここが受診を見逃しやすい落とし穴です。

・受診を検討すべきポイント

  • 痛みが 明らかなきっかけ(転倒・捻挫など)なしに 出現・悪化している。

  • 「年だから」と思っていたが、 痛む部位が徐々に“使いづらさ”や“動かしづらさ”に変化してきた

  • だましだまし動いていたが、 以前より痛みの頻度・範囲が増えてきた

・なぜ早めの対応が効果的か

最新の文献では、変形性関節症において「早期から介入(生活習慣・運動・非侵襲的治療)することで、関節破壊の進行を遅らせ、手術まで要する重症化を回避できる可能性」が言及されています。

つまり「年のせいだから」と放置するのではなく、「この痛み、ちょっとおかしいかも」と思った時点で一度専門家に相談する価値があります。


2. 「歩行・動作に変化が出たら要注意」

・動作変化のサインとは

  • 階段を上がる・下りる時に痛みが出る、あるいは「以前よりもゆっくりしか上れない」など。

  • 椅子から立ち上がるときにひっかかりを感じる、脚が重たく感じる。

  • 肩・手で高いところの物を取る際、腕をあげると痛む・「今までできていたことが辛くなった」。

  • 歩くときに足を引く・片側だけつまずきやすくなった。

・動作変化=“機能の低下”の危険信号

動作や機能に影響が出ているということは、単なる「痛み」から一歩進んで「身体がそのままの動きを維持できなくなってきている」状態と考えられます。例えば、米国の整形外科ブログでは「日常動作が難しくなってきたら整形外科医に相談すべきタイミング」だとされています。

・典型的なケース・受診へ向けたチェックリスト(箇条書き)

  • 一方の膝・股関節・足にだけ痛みが出て、歩き方が左右で異なる。

  • 肩をあげる・後ろに腕を回すとき、以前より動かしづらい/痛む。

  • 手首・指で細かい作業(ボタンを留める・ペンを握るなど)がしづらい。

  • これまで何ともなかった動作(階段、立ち上がり、歩行)で「痛み・重み・引っかかり」を感じる。

・なぜ早めに動作変化を見逃さないほうが良いか

動作変化が出た時点では、関節・筋・腱・靭帯・神経など、複数の組織に「もう限界サイン」が出ていることが多く、早期に整形外科・理学療法・運動療法などを組み合わせることで、さらなる機能低下や悪化・手術リスク増加を抑える可能性があります。

特に、「動作を避ける」「安静にするだけ」では筋力低下・可動域制限が進み、回復に時間がかかる傾向があります。


3. 「夜間・安静時に悪化する痛みやしびれ」

・痛む時間帯や状況にも注目

  • 昼間動いている時だけ痛むなら“使い過ぎ”という説もありますが、 夜寝ている時・朝起きた時・安静時に痛みが増す 場合、通常の“疲れ”とは異なるサインです。

  • また、手足・関節だけでなく、太ももの裏・ふくらはぎ・足の甲などに しびれ・チクチク感・灼熱感 がある時も神経・血管・関節・軟部組織のより深い問題を示唆します。

・医学的背景・最新知見

  • 米・ガンデンセン健康システムの整形外科医は、「痛みが夜間に強くて眠れない」「安静中もずっとチクチクする」「しびれ・動かせない感じが出てきた」などは受診すべき明確なサインである、と指摘しています。

  • また、最近のレビューでは、変形性関節症を含む関節疾患において、 痛みの一部は“構造的変化”だけでなく“炎症・代謝・神経過敏”などが関与しており、夜間・安静時に目立つ痛みはそのサインとも捉えられています。

・夜間・安静時痛・しびれのチェックリスト

  • 寝返りを打つと痛みで目が覚める/目が覚めてからまた寝付けない。

  • 起床時に関節・筋・腱のこわばりを感じ、少し動いてからやっと“普通”に。

  • 足・手・腕などを動かさず安静にしているときに「ジーン」「ピリピリ」「シビレる」感じが出る。

  • 「転倒もしていない」「特別激しい運動した覚えもない」のに痛み・しびれが出てきた。

・なぜこの段階で整形外科を選ぶべきか

夜間や安静時に痛むということは、 それまでの身体活動・安静だけでは修復・調整されていない変化 が進んでいる可能性があります。

早期に診断を受け、例えば理学療法・運動プログラム・適切な荷重・関節保護・必要に応じて専門的な検査(MRI・関節超音波・神経伝導など)を行えば、機能維持・痛み軽減・進行予防に繋がりやすいです。


4. 「腫れ・変形・しびれ・力が入らない」

・明らかな赤信号サイン

  • 関節の 腫れ・熱感・赤み がある。

  • 関節・骨・靭帯の 変形(例:膝がO脚・X脚になってきた、肩が下がった感じ) が進んできた。

  • しびれ・麻痺・力が入りにくい・動かそうとすると「ガクッ」といった感じがする。

  • ケガをした記憶があるが、なかなか良くならない・むしろ悪化している。

・なぜこのような症状が出たら整形外科受診を急ぐべきか

  • 腫れ・熱感・赤みは、関節内炎症・感染・関節水腫・滑膜病変など、専門的な評価が必要なケースがあります。実際、米・メイヨークリニックでは「関節が変形して見える・使えない・突然腫れてきた」などはすぐに医師の診察を受けるべきと記載しています。

  • 変形・神経症状(しびれ・力が入らない)は、例えば靭帯断裂・神経根圧迫・骨折見逃し・進行性の軟骨破壊など、 “時間が経つほど回復が難しくなる”状態であることも多いです。整形外科では画像診断・理学療法・必要時手術まで幅広く対応可能です。

・具体的なチェックリスト(箇条書き)

  • 片側の関節だけが明らかに腫れてきた・赤み・熱感がある。

  • 「以前より脚の力が入らない」「腕を挙げると力が抜ける感じがする」。

  • 関節の形が変わってきた(膝が外側に曲がってきた・肩が常に下がって見える)。

  • ケガ(転倒・ひねり)の記憶があるのに、痛み・腫れ・動かしづらさが1〜2週間以上改善しない。

・受診時に整形外科で聞かれる可能性のあること

  • いつから・どこが・どんなきっかけで痛んだか?何をすると/何をすると悪くなるか?

  • 夜間・安静時・動作時で痛みがどう違うか?しびれ・麻痺・力の入りづらさはあるか?

  • 腫れ・赤み・熱感はあったか?ケガや転倒、手術歴・持病(糖尿病・リウマチなど)は?

  • 日常生活で困っていること(階段・歩行・家事・運転など)は?
    こうした情報があれば整形外科側も迅速に検査・治療方針(理学療法・注射・手術など)を立てやすくなります。

 


5. 「一過性と思いきや、数週間以上続く痛み」

・「我慢すれば治るだろう」と放置しがちなパターン

  • 軽くひねった・少し痛かったが放っておいたら「1〜2週間経っても」変わらない。

  • 痛みが“たまに”出るが、3〜4週間以上様子を見ても頻度・程度が変わらない。

  • “使いすぎ”と思っていたが、休んでも改善せず、むしろ使わないときに痛みを感じるようになった。

・なぜ「持続する痛み」は受診サインか

  • 多くの整形外科的研究/一般医療ガイドラインでは、「数週間以上続く関節・筋・腱の痛み」「休息・市販薬でも改善しない痛み」は、専門医受診を検討すべきサインとして挙げられています。

  • さらに最新研究では、例えば初期の変形性関節症・軟骨損傷・靭帯微小断裂・神経根軽度圧迫などは、「早期介入=可逆的変化期」に当たる可能性が高く、適切なタイミングで整形外科・理学療法・運動治療を行うことで、進行・慢性化を抑える可能性が高いという報告も出ています。

・持続痛のチェックリスト

  • ケガ・転倒・事故の記憶はないが、局所に“違和感”→“痛み”が1〜2週間以上続いている。

  • 市販薬(鎮痛消炎薬)・セルフケア(安静・冷却・温熱)・少し休むことを実践したが、痛みの頻度・強度が明らかに減らない。

  • 痛みが“増えてきた”あるいは“動かしづらさ”が出てきた。

  • 通常の日常生活(歩行・階段運動・立ち上がり・腕をあげる動作など)に支障を感じてきた。

・なぜ“早期受診”が鍵か

痛みが持続している= “身体が自己修復だけでは対応できない変化” を起こしている可能性があります。

この段階で整形外科を受診し、例えば画像診断(レントゲン・MRI)・専門的評価(関節専門医・理学療法士)・早期運動介入・荷重調整・関節保護などを行うことで、変性の進行・可動域制限・筋力低下の悪化を防ぎ、将来的な手術・長期治療・生活制限を減らす助けになります。

先述のレビューでも「早期の専門介入が関節機能維持に有利」と指摘されています。


おわりに

痛みや違和感を「歳だから」「仕方ない」と片付けてしまうのは、とても自然な反応です。

しかし、整形外科分野の最新研究・臨床ガイドラインでは、「早めに診る・早めに対策を打つ」ことこそが、痛みの慢性化・機能低下・重症化を防ぐ鍵である という方向にシフトしています。

例えば、初期段階の変形性関節症においても、適切なタイミングで介入すれば関節置換などの大きな手術を回避できる可能性が高まることが明らかです。


今回ご紹介した5つの“早期受診のサイン”を覚えておいていただき、ご自身・ご家族・ご友人の体のサインに気づいたら、「少し様子をみる」ではなく「専門家に相談する」選択肢を思い出していただければと思います。

動きづらさ・日常生活の支障・痛みの変化は、身体が「助けて」と言っているサインです。


受診のハードルを下げて、早めの相談・早めの対応をすることで、将来の“動けない”“痛みで制限される”を防ぐことができます。

どうぞ、痛みを“歳のせい”で済ませず、ご自身の身体を大切に、整形外科という選択肢を覚えておいてください。

(※本コンテンツは医療情報提供を目的としており、診断・治療を保証するものではありません。具体的な症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。)

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

参考文献

  1. Tang S., Zhang C., et al. “Osteoarthritis: a heterogeneous whole-joint disease that can cause pain and is a leading cause of disability and premature work loss.” Nature Reviews Disease Primers Vol 11 (2025).

  2. Thami T., Kumar P., Gupta A., Patel S. “Orthobiologics for knee osteoarthritis: A review of current practice and future directions.” J Arthrosc Surg Sports Med. 2024;5:119-124. doi:10.25259/JASSM_22_2024.

  3. Geng R., et al. “Knee osteoarthritis: Current status and research progress.” Exp Ther Med. 2023;26(1):80. https://doi.org/10.3892/etm.2023.12180

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