今回は小児のメタボリックリンドロームについて説明していきます。
はじめに
現在の日本では、肥満児は増加傾向になっています。中高生男子の約12%、女児は10%が肥満児であると言われています。
肥満児の15~20%はメタボリックシンドロームで、生活習慣病合併症や生活習慣病予備軍も多く、要因は胎児期の栄養不足、早期のBMIリバウンド、エネルギー・脂肪・動物性たんぱくの過剰摂取、朝食欠食、運動不足だと言われています。
したがって、肥満小児には早期からの介入が重要だ言われています。肥満の予防には食育が必要であり、食育推進には「食・栄養と健康と病気」に関する知識が必要とされています。
6歳~15歳のメタボリックシンドロームの診断基準
6歳~15歳のメタボリックシンドロームの診断基準を以下に挙げます。
※必須項目:腹腔内脂肪蓄積
腹囲≧80㎝(注意:または腹囲/身長:0.5以上;小学生腹囲75㎝以上)
上記に加えて、下記のうち2項目以上を満たすことです。
- 高TG(トリグリセライド)血症:TG≧120mg/dlかつ/または、低HDL(善玉)-C血症<40mh/dl
- 収縮期血圧125㎜Hgかつ/または、拡張期血圧≧70㎜Hg
- 空腹時血糖値≧100mg/dl
※厚生労働省研究(大関班)2007年報告書より
項目成人のメタボリックシンドロームの診断と変わりないですが、数値に変化が見られるのが特徴です。
小児肥満の生活習慣による要因
- 胎内での栄養不良
- 幼児期に肥満になる(BMIリバウンド)
- 食事:エネルギー、脂肪のとりすぎ(特に女子)
- 朝食欠食、偏食(生活習慣の乱れ)
- 運動の減少
- ストレスの増加
- 夜更かし、睡眠不足(夜食の摂取、朝食欠食
上記の3~7は年齢が長じるにつれてひどくなる傾向があるため、できるだけ早期に対応することが大切です。
小児肥満への対応
小児肥満と言われても何をしていいのか分からないことが多いと思います。
下記に対応の一例を示しますので参考にしてみて下さい。
- 「なぜ肥満が悪いのか」を理解させる
- その子の食生活の問題点を分析し、その子に応じた対策を練る。なぜ不健康になるのかを考えさせる
- 無理のない目標を決める(例:1カ月に2㎏減量など)
- 食事・運動の日記をつける
- 毎日体重測定を実施し、グラフにする
- 効果を十分に知らせる、検査結果の共有
- 合併症の有無を知らせる
個人的には3の無理のない目標を親子で話をして決めていくことから始めてみることがいいかもしれません
学校での食育
学校では学級担任や栄養教論の方の理解も必須となります。
・学級担任は、一緒に給食を食べ、給食を通して、食・栄養を理解させることが大切です。
・栄養教論は、給食の管理(献立作成、衛生管理など)、食に関する指導(食育推進の中心、生徒・保護者に対する集団的および個別指導、実践)が大切となってきます。
終わりに
肥満児はすでに、脂肪肝による肝臓の機能異常、高TG(トリグリセライド)血症、高LDL(悪玉)コレステロール血症、血糖値に関係するインスリンの働きの異常、2型糖尿病を合併している可能性が高いです。
また思春期の肥満の70%は成人肥満になると言われており、成人後にメタボリックシンドロームになりやすいとも言われています。
そのため、肥満小児はできるだけ早期に対応していくことが大切になります。