今回は糖尿病指導ガイドブックを参考にした、高齢糖尿病患者の指導方法を説明していきます。
管理の目的(コントロール目標)
・血糖・血圧・体重。血清脂質を良好な状態にコントロールする。
・低血糖や糖尿病昏睡を起こさない
・健康の高齢者と変わらない生活の質を維持する
以上がコントロールの目的をなります。
管理上留意すべき高齢糖尿病患者の特徴
・高齢者では身体、精神的背景、家族関係などの社会的条件の個人差が大きい。
・高齢者では動悸・冷汗などの低血糖症状が出現しにくい
・口喝などの自覚症状が少なく、高血糖により簡単に脱水状態となる。
・やせ型では、インスリン分泌能の低下を伴っているケースが多い。
・加齢に伴い、体脂肪率が増加し筋肉量が低下することにより、インスリン抵抗性が亢進(細胞への糖の取り込みが不十分となる)している方が多い。
以上が留意すべき高齢糖尿病患者の特徴となります。
食事療法
・性別、年齢、肥満度、ADL(日常生活活動)、血糖値、合併症の有無などと考慮し、エネルギー設定量を決定する。
・高齢者では特別な運動が無い限りは、標準体重1㎏あたり、25~30Kcalが妥当である。
・ビタミン・ミネラル、特にカルシウムの適正な摂取が必要であり、食物繊維(摂取エネルギー量1000Kcal当たり10gを目安とする)
・1日の指示エネルギー量の55~60%を炭水化物、10~20%をたんぱく質(標準体重1㎏あたり1.0~1.2g)、残りを脂質(植物油や魚類由来)で摂るようにする。
運動療法
・高齢者では、糖尿病以外にも他の疾患を併発していることが多いため、糖尿病罹患期間が長い方では、糖尿病の合併症の進行(神経障害、腎障害、眼の障害)に注意する。
・運動療法の実施に当たっては、適応となる症例を選択することが必要である。血糖コントロールができていいることが大前提。
・高齢者では個人差が大きく、個々に応じた目標設定が大事である。急激な運動は厳禁で、軽い運動から徐々に自覚症状でややきつい運動へとマイペースに行う。
・脱水に注意してこまめに水分補給を行う。
・空腹時・食前の運動は低血糖状態を招く可能性があるため、できるだけ控える。
・週3~5回+30分程度の歩行などの有酸素運動+レジスタンストレーニング(スクワット・立ち上がり)などの運動が効果的である。
・しんどいなどの自覚症状がある場合は運動を控えること
終わりに
糖尿病の方は、自己管理と食事・運動が大事になってきます。
しかし、自己判断で解決することは望ましくないため、かかりつけ医や不安であれば糖尿病の外来リハビリテーションを行っている理学療法士にアドバイスをもらうことが重要となってきます。
是非この機会に、一度ご自身の生活習慣を見直してみましょう!