今回は、心臓病の方の日常生活の過ごし方について説明していきます。
はじめに
心臓病=絶対安静、できるだけ外出は控えるという考え方を持っている人は多々見受けられます。
もちろん、息切れが起こるような過度な運動は控えたほうがいいでしょう。
しかし、心臓病の人も自身の自覚症状を確認しながらであれば、QOL(生活の質)を確保しつつ日常生活を過ごすことが可能です。
心臓リハビリテーション指導士、循環器認定理学療法士の立場から、日常生活の過ごし方を説明していきたいと思います。
入浴
入浴は急激な温度差により、心臓に負担がかかります。
特に冬は、脱衣所と浴室の温度差に気を付けましょう(ヒートショック)、脱衣所を適度に温めておくことがいい対策になると考えます。
サウナや水風呂はできるだけ避けましょう。
お湯につかる場合は、40℃程度とし、15分程度に留めておきましょう。
体調が悪い時は無理をせず、シャワーのみや身体拭きとし、無理をしないようにしましょう。
外出と旅行
外出や旅行は無理をせず、休息をとりながら行動しましょう。特に団体行動では、自分のペースを守ることが大事です。
気温の変化には注意し、服装をよく考えましょう。
外食は塩分・コレステロールなどが多いので自分でできるだけ調整しましょう。
長時間座ることがあれば、足の曲げ伸ばしや足ふみなどの運動を適度に行いましょう。(エコノミークラス症候群の予防になります)
お薬手帳やペースメーカー手帳は持ち歩きましょう。
旅行の場合は持参薬を忘れないないようにしましょう。
便秘
排便のためにいきむと血圧があがり、負担がかかるため、いきむ動作は控えましょう。
便秘予防のために食物繊維を多く、バランスのとれた食事をとるように心がけましょう。また必要に応じて緩下剤などの相談もかかりつけ医としましょう。
水分
心不全の症状によっては、水分制限が必要な場合があります。
夏は脱水予防のため水分をしっかり摂るように言われますが、心不全の症状によっては、摂りすぎも良くないことがあります。水分の量はその人の状態によって変化するため、必ずかかりつけ医と相談しましょう。
睡眠
睡眠不足は振動に悪影響を及ぼすことがあります。
「いびきが大きい」「睡眠中に呼吸が止まっていると言われた」「日中の眠気が強い」といった場合は、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。睡眠時無呼吸症候群は検査もできますので、かかりつけ医に相談しましょう。
睡眠時無呼吸症候群は、心臓病を悪化させるとも言われていますので、必要に応じてきっちり治療しましょう。
フットケア
心臓病、特に動脈硬化が関わる病気を持っている方は、足の血流が悪くなっている可能性もあります。
日頃から、足の状態にも注意を払うことが大事です。
【チェックポイント】
・毎日、足を見ましょう
きず・靴擦れはできていないか? 冷たくないか? 色が青や紫や黒っぽくなっていないか?
・毎日、足を洗って、清潔にしましょう
足は強くこすりすぎないようにしましょう
・爪の手入れをしましょう
深爪にならないように、無理をせず、病院で切ってもらうことも大切です
・乾燥しないように保湿クリームを塗るなどしましょう
・足にあった靴を選びましょう。
・足のタコやウオノメは自分で無理に処置せず、病院で治療を受けましょう。
終わりに
心臓病で一番怖いことは、自覚症状が出ている中で、自己判断で行動することです。
かかりつけの医師や看護師、または心臓のリハビリに関わっている理学療法士に相談することが大事となってきます。
分からないことはまず相談!!これを徹底していきましょう。