今回は、「40代、50代」体力の衰えじゃない!息切れの原因ランキングについて説明していきます
医療従事者の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
40代・50代になると、「昔より疲れやすくなった」「ちょっとしたことで息が上がる」など、体の変化を感じる人が多くなります。
「年のせいだろう」「体力が落ちただけ」と軽く考えていませんか?
実はその“息切れ”、ただの老化現象ではなく、見逃してはいけない疾患のサインであることが少なくありません。
特に40代後半から、心臓や肺、代謝系の疾患リスクが急激に上昇し、息切れという形で初期症状が現れるケースが非常に多いのです。
本記事では、「体力の衰え」では片付けられない息切れの主な原因をランキング形式で紹介。
最新の医療データを元に、医師でも見落としがちな背景疾患や、今すぐできる対策も合わせて解説していきます。
1 【第1位】心不全(特に隠れ心不全)
40代・50代で増加中の「息切れ」の最大の原因は、実は「心不全」です。
しかも、近年注目されているのが「HFpEF(駆出率が保たれた心不全)」という、従来とは異なるタイプの心不全。
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心臓のポンプ機能は正常でも問題が起こる
HFpEFは、心臓の収縮力は正常でも、拡張がうまくいかず血液を送り出す効率が悪くなるタイプ。軽い運動での息切れ、むくみ、疲れやすさが特徴です。 -
メタボや高血圧と強く関連
肥満、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群との関連性が高く、40代・50代の働き盛り世代が特に注意すべき。 -
「心不全の前段階」である可能性も
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)という血液マーカーで簡易的にスクリーニング可能。健診でのチェックをおすすめします。
2 【第2位】COPD(慢性閉塞性肺疾患)
喫煙歴がある、あるいは受動喫煙が多かった人に多いのが、肺の機能が徐々に低下するCOPDです。
症状は「ただの咳」や「息切れ」から始まり、気づかないまま進行します。
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日本人の成人の10人に1人が該当
2023年の厚労省の報告では、日本での潜在的患者数は約530万人と推定されています。 -
見逃されやすい「軽度の呼吸困難」
特に階段や坂道での息切れ、朝方の咳・痰が長引く場合は注意。 -
禁煙しても進行が止まらない場合がある
早期に発見し、呼吸トレーニングや薬物治療を開始することで進行を抑えることができます。
3 【第3位】鉄欠乏性貧血・潜在性貧血
「貧血=女性の病気」と思われがちですが、実は40代以降の男性でも増加しているのが、鉄欠乏や慢性疾患による貧血です。
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慢性的な酸素不足で息切れ
血中のヘモグロビンが低下すると、酸素の運搬能力が落ち、軽い運動でも息切れを感じやすくなります。 -
胃腸の疾患や慢性炎症が背景にあることも
ピロリ菌感染や胃潰瘍、大腸ポリープなどが慢性的な出血を引き起こすことがあります。 -
フェリチンのチェックが重要
通常の健康診断では分からない「貯蔵鉄」の量をフェリチン検査で確認しましょう。特に朝が弱い、頭痛、肌荒れが気になる人は要注意です。
おわりに
「ただの加齢」「体力の低下だろう」と思っていた息切れが、実は重大な疾患の初期サインであることは決して珍しくありません。
特に40代・50代は、体内の変化が急激に進行する「ターニングポイント」。
このタイミングで不調のサインを見逃すと、将来の生活の質に大きく影響する可能性があります。
以下のような症状がある方は、早めに医療機関で検査を受けましょう。
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軽い運動で息切れが続く
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咳や痰が1ヶ月以上続いている
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むくみや倦怠感がある
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息苦しさで睡眠の質が落ちている
日常の変化に敏感になり、少しの違和感を見逃さないこと。
それが、健康寿命を延ばす最大のポイントです。気になる方は、呼吸器内科や循環器内科でのチェックをお勧めします。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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日本循環器学会「HFpEFの新しい診断と治療の展望」2023年報告
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Global Burden of Disease Study. (2023). “Chronic Respiratory Diseases in Adults: An Epidemiological Review.”