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心リハ指導士が教える「塩分制限」の効果について

今回は、「塩分制限」の効果についてに説明していきます。

心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

はじめに

高血圧や心血管疾患を抱える患者にとって、塩分制限は健康管理の重要なポイントの一つです。

特に心臓リハビリテーション(心リハ)では、心血管リスクを低減するために塩分摂取の管理が強く推奨されています。

過剰な塩分摂取が血圧上昇を引き起こし、心臓や血管に負担をかけることから、塩分制限は高血圧予防や心血管系の健康維持に欠かせない対策です。

今回は、

  1. 塩分が心血管に与える影響
  2. 塩分制限の効果:心血管の健康維持と改善
  3. 実践的な塩分制限の方法とアドバイス

「塩分が心血管に与える影響」「塩分制限の効果」「具体的な減塩方法」について解説し、患者が自分で実践できるような内容をお届けします。


1. 塩分が心血管に与える影響

塩分摂取と血圧上昇のメカニズム

塩分(ナトリウム)を多く摂取すると、体内のナトリウム濃度が上昇し、水分が保持されるため血液量が増加します。これが血管に対する圧力を増大させ、血圧が上昇する原因となります。高血圧は、心臓が血液を送り出すために余分な力を必要とする状態で、長期間続くと心筋に負担がかかり、心不全や心筋梗塞のリスクが高まります。

心血管疾患との関連

塩分の過剰摂取は、高血圧の他にも動脈硬化や脳卒中、腎臓病などのリスクも増大させることが知られています。高血圧は血管壁に対する圧力がかかり続け、血管が硬くなる「動脈硬化」を引き起こしやすく、これがさらなる心血管系疾患の誘因となります。特に心リハ指導では、こうした循環器系リスクを理解し、塩分制限がなぜ重要であるかを患者に伝えることが大切です。

 


2. 塩分制限の効果:心血管の健康維持と改善

血圧低下による健康改善

塩分摂取量を減らすことは、血圧を下げる効果があることが多くの研究で示されています。例えば、米国心臓協会(AHA)は、食塩摂取量を1日6グラム未満に減らすことで、血圧が5〜6 mmHg程度下がる可能性があると報告しています。特に高血圧患者や心血管疾患リスクが高い患者には、減塩が血圧管理に有効であり、医療的にも推奨されています。

心臓負荷の軽減

血圧が低下すると、心臓が血液を送り出すために必要なエネルギーが少なくて済みます。これは心筋への負荷を軽減し、長期的に心臓の働きをサポートすることにつながります。心臓に対する負荷が軽減されることで、心不全や心筋梗塞といった重篤な心血管疾患のリスクが低減するため、特に心リハでは塩分制限が重要な施策とされています。

他の生活習慣改善と合わせた効果

塩分制限は、運動療法や禁煙などの他の生活習慣改善と組み合わせることで、相乗効果が得られることがわかっています。例えば、適切な運動を行いながら減塩を続けることで、血圧の安定性がより高まり、総合的な心血管リスクの低減が期待されます。また、塩分制限は体重減少にもつながりやすく、肥満や高脂血症の改善にも寄与します。

 


3. 実践的な塩分制限の方法とアドバイス

食事からの塩分摂取量を意識する

心リハでは、まず患者が日常生活で摂取する塩分量を把握することが推奨されます。一般的に、日本人の平均塩分摂取量は1日あたり10〜12グラム程度とされていますが、これは推奨される量(6グラム以下)を大幅に超えています。食事の際には、味噌汁や漬物、加工食品(ハム、ソーセージなど)のような高塩分食品に注意し、できるだけ薄味にすることを心がけると効果的です。

  • 薄味の工夫:酢やレモンなどの酸味を利用すると、塩分を減らしても味の満足度を保つことができます。
  • 調味料の工夫:塩の代わりにハーブやスパイスを使うことで、塩分を抑えながら風味豊かな食事が楽しめます。

外食や加工食品への注意

外食は塩分が多く含まれる傾向があるため、外食時には「塩分控えめ」や「タレ別添え」などの工夫が必要です。また、加工食品やスナック菓子なども高塩分のものが多いため、成分表示を確認し、可能な限り低塩分の食品を選ぶように指導します。

自己モニタリングと家族の協力

自己モニタリングとして、毎日の食事記録や塩分摂取量の記録をつけることで、自分の食生活の傾向がわかります。また、家族が協力することで、減塩食を家庭で無理なく続けることができ、患者のモチベーション向上にもつながります。

 


おわりに

塩分制限は、心血管リスクを低減し、長期的な健康維持に非常に効果的な手法です。

心臓リハビリテーションの現場では、塩分制限を通して患者の生活の質(QOL)を向上させ、心血管疾患の予防に貢献しています。

また、塩分制限は一時的な対策ではなく、日常生活における継続的な取り組みが重要です。

適切なサポートを受けながら減塩生活を続けることで、患者はより健やかな生活を取り戻すことができます。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

 


参考文献

  1. 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2021」
  2. American Heart Association, “Sodium Reduction and Blood Pressure”, 2020.
  3. World Health Organization, “Salt reduction”, 2021.

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