今回は、家族にもできる!心臓病患者を支える正しいサポート法について説明していきます。
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
目 次
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はじめに
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第1章 心臓病を正しく理解する
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第2章 家族ができる日常生活のサポート
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第3章 心理的ケアとコミュニケーション
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第4章 緊急時に備える家族の心得
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第5章 再発予防と長期的サポート
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おわりに
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参考文献
■ はじめに
心臓病は「本人だけの病気」ではなく、家族全体で向き合う生活の課題ともいえます。
実際、国内外の患者サポート研究では、家族の関わりが患者の生活の質、再発率、治療継続率に大きく影響するとされています。
とはいえ、家族ができるサポートは医学的知識よりも、
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毎日の会話
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食事や生活のリズムづくり
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不安を受け止める姿勢
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緊急時の冷静な行動
といった「身近な行動」が中心です。
ここでは、最新研究の知見を取り入れつつ、一般の家庭で今日から実践できる“安全で現実的“なサポート方法を、専門家視点でわかりやすく整理してお伝えします。
■ 第1章 心臓病を正しく理解する
● 心臓病と生活の関係
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多くの心臓病は「生活習慣」「ストレス」「慢性炎症」などが影響
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日本の研究では、家族のサポートが食事療法・運動療法の継続率を高める傾向
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海外では“Family-based Cardiac Support Model” という概念が注目され、心理的安定の重要性が強調
● 家族が知っておきたい基礎ポイント
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心臓に負担がかかるのは「急な運動・強い緊張・睡眠不足・塩分過多」
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薬は時間・量が重要で、飲み忘れより「自己判断の中断」が危険
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体調悪化のサインは
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息切れが増えた
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急な体重増(むくみ)
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動悸が強まる
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夜に息苦しくなる
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● 家族ができる「理解」のサポート
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医師の説明を一緒に聞く(本人が聞き逃しやすい)
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一度に覚えなくてOK。要点を「メモ化」する
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本人が罪悪感を抱かないように「一緒に整えていこう」の姿勢が重要
■ 第2章 家族ができる日常生活のサポート
● 食事面のサポート
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無理な減塩ではなく「自然に減る」工夫
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鰹だし・昆布だしの活用
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味を濃くしない代わりに香辛料や柑橘を使う
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外食を“ゼロ”にせず、
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スープを残す
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刺身・焼き魚中心を選ぶ
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● 運動面のサポート
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心臓病では「軽い継続運動」が最も安全
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家族ができる工夫
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一緒に散歩する
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歩行距離をアプリやカレンダーで「見える化」
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無理をさせず、休憩のタイミングを家族が提案
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● 生活リズム
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日本の患者調査では「生活の同調」が改善につながると報告
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家族が
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同じ時間に食事
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同じ時間に寝室を暗くする
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スマホのブルーライトを減らす
など、一緒にやるだけで負担が減る。
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■ 第3章 心理的ケアとコミュニケーション
● 心臓病は心の病でもある
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心臓病患者の約30〜40%が何らかの不安を経験
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海外研究では、家族の不用意な言葉がストレスになり病状悪化の要因になる例も
● 家族ができる言葉がけ
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NG例
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「もっと頑張らないと」
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「気にしすぎ」
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OK例
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「一緒にゆっくりやっていこう」
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「今日はどんな感じ?」
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「無理しないでね」
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● 不安に寄り添うコツ
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解決しようとしない
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同意を押しつけない
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一度必ず“受け止める言葉”を入れる
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例:「そう感じるのは自然だよ」
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● 家族自身も疲れないために
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家族が疲弊しないことが最も重要
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月1回は「自分の休息日」を必ず作る
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完璧を求めず、70%できれば十分
■ 第4章 緊急時に備える家族の心得
● 家庭内での準備
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服薬リストを一枚にまとめて冷蔵庫に貼る
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病院の連絡先をスマホと紙の両方に保存
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家族全員が「緊急時サイン」を共有
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胸の痛み
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冷汗
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強い息苦しさ
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急なむくみ
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意識がぼんやり
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● 正しい行動
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痛みが5分以上続いたら救急要請
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移動は家族の車より救急車が安全
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本人に「我慢」をさせない文化づくり
● 日本の高齢家庭向け独自の工夫
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高齢夫婦のみの場合
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携帯電話は「緊急ボタン」付き機種に
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玄関に「救急用メモ」を置き、救急隊に渡しやすくする
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多世代家族の場合
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祖父母の症状を子どもにもわかる言葉で教えておく
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■ 第5章 再発予防と長期的サポート
● 継続が最大の課題
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多くの患者は3か月以降に生活改善が中断しがち
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家族の「ゆるい伴走」が効果的
● 家族ができる工夫
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月に1回、「生活振り返り会」を10分だけやる
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食事
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睡眠
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運動
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気分の変化
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結果よりも“できたこと”を褒める
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季節ごとに生活のリズムを調整
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冬は運動量低下に注意
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夏は脱水に注意
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● 最新研究で注目
海外の心臓リハビリ研究では、
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家族が記録をつける
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目標を共有する
👉これだけで治療継続率が約1.4倍に向上するとの報告もあります
■ おわりに
心臓病のサポートは、専門知識よりも「家族の姿勢」が大切です。
無理をさせず、一緒に歩み、一緒に整え、時には休む。
家族が穏やかな環境を整えることで、患者本人の心臓だけでなく“心”も守られます。
そしてそれこそが、再発予防に最も大きく貢献します。
どうか今日から、できるところから、一歩ずつ始めてみてください。
あなたのサポートは、必ず患者さんの力になります。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
■ 参考文献
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Anderson L, Thompson DR. Exercise-based cardiac rehabilitation for coronary heart disease. Cochrane Database Syst Rev.
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日本循環器学会 心不全治療ガイドライン(2021)
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Family-Based Interventions in Cardiac Rehabilitation: A Review. J Cardiovasc Nurs.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34233315/
