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家族にもできる!心臓病患者を支える正しいサポート法

今回は、家族にもできる!心臓病患者を支える正しいサポート法について説明していきます。

心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

目 次

  1. はじめに

  2. 第1章 心臓病を正しく理解する

  3. 第2章 家族ができる日常生活のサポート

  4. 第3章 心理的ケアとコミュニケーション

  5. 第4章 緊急時に備える家族の心得

  6. 第5章 再発予防と長期的サポート

  7. おわりに

  8. 参考文献


はじめに

心臓病は「本人だけの病気」ではなく、家族全体で向き合う生活の課題ともいえます。

実際、国内外の患者サポート研究では、家族の関わりが患者の生活の質、再発率、治療継続率に大きく影響するとされています。

とはいえ、家族ができるサポートは医学的知識よりも、

  • 毎日の会話

  • 食事や生活のリズムづくり

  • 不安を受け止める姿勢

  • 緊急時の冷静な行動
    といった「身近な行動」が中心です。

ここでは、最新研究の知見を取り入れつつ、一般の家庭で今日から実践できる“安全で現実的“なサポート方法を、専門家視点でわかりやすく整理してお伝えします。


第1章 心臓病を正しく理解する

● 心臓病と生活の関係

  • 多くの心臓病は「生活習慣」「ストレス」「慢性炎症」などが影響

  • 日本の研究では、家族のサポートが食事療法・運動療法の継続率を高める傾向

  • 海外では“Family-based Cardiac Support Model” という概念が注目され、心理的安定の重要性が強調

● 家族が知っておきたい基礎ポイント

  • 心臓に負担がかかるのは「急な運動・強い緊張・睡眠不足・塩分過多」

  • 薬は時間・量が重要で、飲み忘れより「自己判断の中断」が危険

  • 体調悪化のサインは

    • 息切れが増えた

    • 急な体重増(むくみ)

    • 動悸が強まる

    • 夜に息苦しくなる

● 家族ができる「理解」のサポート

  • 医師の説明を一緒に聞く(本人が聞き逃しやすい)

  • 一度に覚えなくてOK。要点を「メモ化」する

  • 本人が罪悪感を抱かないように「一緒に整えていこう」の姿勢が重要

 


第2章 家族ができる日常生活のサポート

● 食事面のサポート

  • 無理な減塩ではなく「自然に減る」工夫

    • 鰹だし・昆布だしの活用

    • 味を濃くしない代わりに香辛料や柑橘を使う

  • 外食を“ゼロ”にせず、

    • スープを残す

    • 刺身・焼き魚中心を選ぶ

● 運動面のサポート

  • 心臓病では「軽い継続運動」が最も安全

  • 家族ができる工夫

    • 一緒に散歩する

    • 歩行距離をアプリやカレンダーで「見える化」

    • 無理をさせず、休憩のタイミングを家族が提案

● 生活リズム

  • 日本の患者調査では「生活の同調」が改善につながると報告

  • 家族が

    • 同じ時間に食事

    • 同じ時間に寝室を暗くする

    • スマホのブルーライトを減らす
      など、一緒にやるだけで負担が減る。

 


第3章 心理的ケアとコミュニケーション

● 心臓病は心の病でもある

  • 心臓病患者の約30〜40%が何らかの不安を経験

  • 海外研究では、家族の不用意な言葉がストレスになり病状悪化の要因になる例も

● 家族ができる言葉がけ

  • NG例

    • 「もっと頑張らないと」

    • 「気にしすぎ」

  • OK例

    • 「一緒にゆっくりやっていこう」

    • 「今日はどんな感じ?」

    • 「無理しないでね」

● 不安に寄り添うコツ

  • 解決しようとしない

  • 同意を押しつけない

  • 一度必ず“受け止める言葉”を入れる

    • 例:「そう感じるのは自然だよ」

● 家族自身も疲れないために

  • 家族が疲弊しないことが最も重要

  • 月1回は「自分の休息日」を必ず作る

  • 完璧を求めず、70%できれば十分

 


第4章 緊急時に備える家族の心得

● 家庭内での準備

  • 服薬リストを一枚にまとめて冷蔵庫に貼る

  • 病院の連絡先をスマホと紙の両方に保存

  • 家族全員が「緊急時サイン」を共有

    • 胸の痛み

    • 冷汗

    • 強い息苦しさ

    • 急なむくみ

    • 意識がぼんやり

● 正しい行動

  • 痛みが5分以上続いたら救急要請

  • 移動は家族の車より救急車が安全

  • 本人に「我慢」をさせない文化づくり

● 日本の高齢家庭向け独自の工夫

  • 高齢夫婦のみの場合

    • 携帯電話は「緊急ボタン」付き機種に

    • 玄関に「救急用メモ」を置き、救急隊に渡しやすくする

  • 多世代家族の場合

    • 祖父母の症状を子どもにもわかる言葉で教えておく

 


第5章 再発予防と長期的サポート

● 継続が最大の課題

  • 多くの患者は3か月以降に生活改善が中断しがち

  • 家族の「ゆるい伴走」が効果的

● 家族ができる工夫

  • 月に1回、「生活振り返り会」を10分だけやる

    • 食事

    • 睡眠

    • 運動

    • 気分の変化

  • 結果よりも“できたこと”を褒める

  • 季節ごとに生活のリズムを調整

    • 冬は運動量低下に注意

    • 夏は脱水に注意

● 最新研究で注目

海外の心臓リハビリ研究では、

  • 家族が記録をつける

  • 目標を共有する

👉これだけで治療継続率が約1.4倍に向上するとの報告もあります


おわりに

心臓病のサポートは、専門知識よりも「家族の姿勢」が大切です。

無理をさせず、一緒に歩み、一緒に整え、時には休む。

家族が穏やかな環境を整えることで、患者本人の心臓だけでなく“心”も守られます。

そしてそれこそが、再発予防に最も大きく貢献します。

どうか今日から、できるところから、一歩ずつ始めてみてください。

あなたのサポートは、必ず患者さんの力になります。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。


参考文献

  1. Anderson L, Thompson DR. Exercise-based cardiac rehabilitation for coronary heart disease. Cochrane Database Syst Rev.

  2. 日本循環器学会 心不全治療ガイドライン(2021)

  3. Family-Based Interventions in Cardiac Rehabilitation: A Review. J Cardiovasc Nurs.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34233315/

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