" />

帝王切開後の痛み、誰にも言えないリアルな体験談

今回は、帝王切開後の痛み、誰にも言えないリアルな体験談について説明していきます。

医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

目次

  1. はじめに

  2. 手術直後 ― 誰にも言えない「最初の12時間」

  3. 術後2〜3日 ― 動けなさと孤独感のピーク

  4. 退院後1〜4週間 ― 傷は治っても内側が痛む理由

  5. 数か月〜1年後 ― 遅れてやってくる痛みの正体

  6. おわりに

  7. 参考文献


◆ はじめに

帝王切開は立派なお産です。

しかし、帝王切開後の痛みは驚くほど深く、長く、予測できないもので、多くのママたちが「誰にも言えなかった」と語ります。

自然分娩の痛みは“その瞬間”が一番強いと言われますが、帝王切開は「出産が終わってから本当の痛みが始まる」
という特徴があります。

日本の産婦人科でも、帝王切開後の痛みは個人差が極めて大きいとされ、海外では術後3か月時点でも約15〜20%の女性が慢性的な痛みを抱えているというデータもあります。

帝王切開は皮膚だけでなく、

  • 皮膚

  • 脂肪層

  • 筋膜

  • 筋肉

  • 腹膜

  • 子宮
    と“6〜7層”を切開して行われます。

そのため、術後の痛みは単に表面の傷ではなく、身体の奥から押し寄せる重い痛み、神経痛のような鋭い痛み、張りつくような引きつれなど、複雑で多層的な痛みになります。

さらに、帝王切開を経験した女性へのインタビュー研究では、

  • 「傷が痛すぎて赤ちゃんを抱き上げられなかった」

  • 「呼吸するだけでお腹の奥が痛んだ」

  • 「こんなに痛いなんて誰も教えてくれなかった」

  • 「自然分娩じゃないから痛くないと言われたが、実際は人生で一番つらかった」
    という声が数多く見られます。

本コンテンツでは、医学情報だけでなく、実際のママたちの“本音の感覚”を反映し、ネットでは語られないリアルな帝王切開後の痛みを徹底的に解説していきます。


◆ 1. 手術直後 ― 誰にも言えない「最初の12時間」

●要点

  • 麻酔が切れ始めると内側がズキズキ

  • 身体を動かすと痛みが倍増

  • 呼吸・咳・笑うだけで激痛

  • メンタルが不安定になりやすい


手術が終わった直後、最初の1〜2時間は麻酔が効いているため痛みを強く感じません。

しかし、術後4〜6時間を境に、身体の奥から熱いような、張るような痛みが出始めます。

これは、帝王切開が「深部の組織」を切開しているため、筋膜・神経・子宮の痛覚がじわじわ戻ってくることが原因です。

海外の母体回復研究(2023)では、帝王切開後12時間で痛みが最も強くなるケースが多いと報告されています。

また、手術直後に起こる以下の症状も、痛みを強く感じさせます。

  • 体温変化による震え

  • 麻酔の影響で腹部に力が入らない

  • 呼吸時に腹筋がわずかに動いてしまう

  • 体勢を変えられず背中も痛くなる

さらに、初めての授乳がこの時間帯に重なることが多く、“痛い・眠れない・動けない”中で赤ちゃんのお世話が始まるため、精神的に圧迫されやすい時期でもあります。


◆ 2. 術後2〜3日 ― 動けなさと孤独感のピーク

●要点

  • 起き上がる動作が一番つらい

  • 痛みが予想以上で不安になる

  • 授乳姿勢が取れず涙が出る

  • 周囲から「もっと楽じゃないの?」と言われて傷つく


術後2〜3日は「生活動作が最もつらい時期」です。

この痛みは“表面の切り傷”の痛みではなく、筋膜が突っ張るような痛み、神経がピリッと走る痛み、体を少し動かすだけで内部がズキンとする痛み、が混ざり合っています。

特に、起き上がり動作は医学的にも一番負荷が大きいと言われ、多くのママが「呼吸を止めないと体を起こせなかった」と語ります。

さらに、赤ちゃんを抱こうとすると、

  • 傷口が引っ張られる

  • 腹圧がかかる

  • 内部の縫合部が刺激されるため、痛みが再び強くなります。

この頃は、痛みに加えて、「自分だけできていない」、「みんなもっと早く動けているのでは」、と焦りや孤独を感じる人も多い時期です。


◆ 3. 退院後1〜4週間 ― 傷は治っても内側が痛む理由

●要点

  • 外見は治って見えるのに内部が痛む

  • ピリピリした神経痛が続くことも

  • 抱っこ・授乳で傷がじわっと痛む

  • 腹膜の回復は時間がかかる


退院後のママの多くが戸惑うのは、「傷はきれいなのに痛い」という感覚です。

医療的には、表皮が回復するのは早いのですが、腹膜や深部組織の再生は6〜12週間かかると言われています。

また、神経が再接続される時期には“電気が走るような痛み”が起こり、動きによっては「ビキッ」と痛むこともあります。

さらに、家事・育児が本格的にスタートすることで、抱っこ → 腹圧増加 → 痛み再発、という悪循環が起こることもあります。


◆ 4. 数か月〜1年後 ― 遅れてやってくる痛みの正体

●要点

  • 天候で痛みが出ることがある

  • 瘢痕が引きつる感じが続く

  • 運動で違和感が分かる

  • 慢性痛のリスクは15〜20%


数か月〜1年経っても痛みを感じる女性が一定数います。

これは“傷跡の問題”ではなく、癒着・神経の過敏性・筋膜の緊張、など深部組織の影響が大きいことが分かっています。

また、天気の変化で「ズーン」と重い痛みを感じるケースもあり、これは気圧変化による神経反応と考えられます。

運動を再開したママの中には、

  • 片側だけ痛む

  • 前屈で傷がつっぱる

  • 腹筋が左右で違う感覚
    といった“アンバランスな痛み”を感じることもあります。

 


◆ おわりに

帝王切開の痛みは、外から見えません。

だからこそ、多くのママが「言えない痛み」を抱えてしまいます。

しかし、あなたが感じている痛みは、医学的にも“当然の回復過程”であり、弱さでも、我慢すべきものでもありません。

世界中の研究が示しているように、帝王切開後の痛みは、身体的・精神的に大きな負担を与えることが明らかです。

あなたはひとりではありません。

痛みがあること、心が揺れることは、帝王切開を経験した多くのママが共有している“リアル”です。

どうか、自分を責めず、必要なときは周囲に頼り、体と心を大切にしてください。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。


◆ 参考文献

  1. Cochrane Database of Systematic Reviews – Cesarean Section Postoperative Pain Management

  2. National Institutes of Health – Cesarean Delivery(リンク)
     https://www.nichd.nih.gov/health/topics/pregnancy/conditioninfo/delivery

  3. WHO Maternal Health Report

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA