今回は、産後の太りが戻らない!体重よりも大事な考え方について説明していきます。
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
■目次
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はじめに
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産後の体重が戻らないのは「自然な現象」である理由
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体重より大事な“産後の体組成”という考え方
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産後ママが陥りやすい5つの誤解
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回復を加速する「ホルモンリズム再構築」の視点
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今日からできる産後リカバリー習慣
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おわりに
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参考文献
はじめに
出産後、「体重が戻らない」「見た目が変わった」と悩む方はとても多いです。
しかし、最新研究では “産後の体重そのものより、身体の回復プロセスと体組成の質が重要” であることが示されています。
産後の身体は、妊娠前とはまったく別物。
筋肉・脂肪のバランス、骨盤の安定度、ホルモン分泌、睡眠構造などが大きく変わっており、体重計だけでは測れない“回復曲線”をたどります。
本記事では、日本や海外の産後研究を踏まえつつ、 ネットには書かれていない独自の視点 を交え、「体重より大事な考え方」を体系的にまとめました。
1. 産後の体重が戻らないのは「自然な現象」である理由
産後に体重が戻らないのは、怠けているのではなく 身体の正常な防御反応 です。
● 主な理由
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妊娠中に増加した脂肪は“母乳エネルギー貯蓄”としての生理機能
→ 産後3〜6ヶ月で自然減少するが、授乳ストレスで逆に保持される場合もある -
ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)急降下による代謝低下
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睡眠不足でコルチゾールが上がり脂肪を溜め込みやすくなる
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骨盤・肋骨の位置が産前とは違うため、体重が減っても“見た目”は戻らない
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日本人女性は欧米に比べ筋肉量が少なく、代謝回復が遅い傾向(近年の東アジア比較研究より)
● 独自の重要ポイント
産後の身体は「生き延びるための省エネモード」であり、これが 体重停滞の本質です。
つまり、“戻らない”のではなく、“戻す準備をしている途中”。
2. 体重より大事な“産後の体組成”という考え方
体重だけを気にすると、産後ダイエットは必ず失敗します。
最新の国際産後研究では、体重より「筋肉量」「水分量」「内臓脂肪」の変化を優先すべきという見解が多数。
● なぜ体組成が大事なのか
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産後は筋肉量が最大15%減るという報告(妊娠後期の運動制限による)
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産後の代謝低下は筋肉喪失が原因で、体重とは相関しない
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見た目の変化は脂肪量より“水分と浮腫”の影響が大きい
● ネットにない独自視点
産後の筋肉量は “抱っこ・授乳姿勢で偏った部位が硬直し、使われない部位が萎縮する” という特殊パターンをとります。
例:
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使われすぎて硬くなる → 肩・首・前もも
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使われにくく弱くなる → 下腹部・内もも・背中の深層筋
このアンバランスが「体重は減ったのに戻って見えない」体型をつくります。
3. 産後ママが陥りやすい5つの誤解
● 誤解①:体重を減らせば体型は戻る
→ 実際は筋肉・姿勢・骨盤が整わなければ見た目は変わらない。
● 誤解②:授乳中は痩せやすい
→ 最新研究では「痩せる人」「太る人」どちらもいる。
理由は、睡眠の質・ストレス・血糖値の揺らぎ。
● 誤解③:骨盤矯正で全て解決する
→ 骨盤は“形”より“支える筋肉の機能”が重要。
矯正だけでは持続せず、腹横筋・大臀筋の活性が鍵。
● 誤解④:運動を増やせばよい
→ 産後3〜6ヶ月は関節が緩いため、間違った運動は逆効果。
● 誤解⑤:食事制限が必要
→ 産後の極端な食事制限はホルモン低下・疲労悪化・母乳量低下のリスク。
● 独自の専門視点
産後は「体の使い方がリセットされる時期」であり、誤解のほとんどは 体の再学習という観点が欠けている ことが原因です。
4. 回復を加速する「ホルモンリズム再構築」の視点
産後の体重停滞の根本要因は、実は ホルモンの再構築の遅れ にあります。
● 重要なホルモンと役割
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コルチゾール:ストレスで上昇→脂肪を溜める
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インスリン:睡眠不足で乱れる→食欲増加
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レプチン/グレリン:空腹・満腹感を司る
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エストロゲン:骨盤の安定と代謝を調整
● 再構築のための要素
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“深い眠り”を1日に15〜20分でも確保
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夕方の強い光を避け、夜のメラトニン分泌を促す
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血糖値の急上昇を抑える(間食の選び方がカギ)
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呼吸を整え、横隔膜を使う癖をつける
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ストレスホルモンを下げる「ゆっくり動作」を取り入れる
● 研究に基づいた独自ポイント
ホルモンバランスは、運動や食事よりも “呼吸の質”に最も影響されるという論文が増えています。
特に産後は胸式呼吸が多くなりがちで、胃・腸の位置が変わり、ぽっこりお腹につながります。
5. 今日からできる産後リカバリー習慣
体重より「回復の質」を整えることが、最終的に健康的な体型を作ります。
● 1)1分でできる横隔膜エクササイズ
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吸う時に下腹を軽くふくらませる
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吐く時に肋骨をゆっくり閉じる感覚
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1分×3回でOK
● 2)骨盤の“支える筋肉”を起こす3ステップ
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(1)仰向けで呼吸→骨盤底筋が自然に反応
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(2)四つん這いで背骨を揺らす
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(3)立位でお尻の横の筋肉を軽く刺激
● 3)産後の食事:3つの優先栄養素
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鉄分(疲労回復・代謝)
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たんぱく質(筋肉回復)
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オメガ3脂肪酸(ホルモンバランス)
● 4)使いすぎ筋のリセット
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肩・首・前ももをやわらかくする
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これだけで下腹の出っ張りが変わるケースが多い
● 独自ポイント:産後は「体の思い込み」を解除する時期
妊娠中の姿勢・重心パターンが体に“記憶”されており、それを解除しない限り体型は戻らない。
これは最新の脳神経科学でも説明されています。
おわりに
産後の体重が戻らないのは、あなたの努力不足ではありません。
産後の身体は「守るための身体」から「動ける身体」へと再編される途中であり、体重より 体組成・ホルモン・姿勢・回復曲線 が大切です。
焦る必要はなく、戻らないのではなく、ただ“回復の順番が違う”だけ。
今日からできる小さな積み重ねが、必ず大きな変化につながります。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
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Davenport MH, et al. Impact of pregnancy and postpartum on body composition and metabolism.
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日本女性体力医学会「産後の体組成変化に関する全国調査」
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“Postpartum Recovery and Hormonal Regulation.” Journal of Women’s Health, 2023
https://www.liebertpub.com/loi/jwh
