今回はヨーグルトのR-1株の効果について説明していきます。
参考文献(菌体外多糖を産生する乳酸菌で発酵したヨーグルトの免疫賦活作用)
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はじめに
ヨーグルトはブルガリア糖とサーモフィルス糖の共生作用を利用して乳を発酵することで製造されます。
ヨーグルトでは、これらの乳酸菌が急さんをはじめアセトアルデヒトやジアセチルなどの芳香成分を産生することにより、爽やかな酸味と風味が生まれます。
また乳酸菌の中にはヨーグルトの中に菌体外多糖を産生するものが存在し、菌体外多糖はヨーグルトにボディ感やクリーミーな食感を与えるとともに、離水を抑制するなどの安定剤の役割を果たしています。
そして、こういった菌体外多糖の中には、免疫賦活作用を発揮されているものが報告されており、今回は菌体外多糖の1つであるR-1株について説明します。
ブルガリア糖が産生する菌体外多糖の免疫賦活作用
ブルガリア糖は英語でL.bulgaricusと呼ばれます。
このL.bulgaricusの多くの株の一種に、OLL1073R1-株が存在しています。
良く、CMなどでR-1って使われているのは、ブルガリア糖のことですね
この、OLL1073R1-株をマウスに投与し、脾臓細胞に対する、インターフェロン(IFN-γ)の産生誘導活動性を評価した、研究が行われています。
インターフェロン(IFN-γ)とは??
活性化した免疫細胞が産生され、ナチュラルキラー細胞(NK)を活性化することが知られています。
また、NK細胞は、ウイルス感染細胞を攻撃・破壊することから、ウイルス感染における初期の生体防御に重要な役割を果たしています。
OLL1073R1-株をマウスに投与した結果、OLL1073R1-株が産生する菌体外多糖は免疫細胞を刺激し、NK細胞の細胞傷害活性(NK活性)を高めることでウイルスに対する感染防御効果を発揮することが明らかになっています。
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OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトのNK活性増強効果における菌体外多糖の役割
OLL1073R1-株ヨーグルトのNK活性増強効果における菌外体多糖、IFN-γの重要性についても検証が行われているので紹介していきます。
OLL1073R1-株ヨーグルトと他の乳酸菌で発酵した2種類のヨーグルトをそれぞれのマウスに経口投与を行った結果、OLL1073R1-株ヨーグルトのみを摂取したマウスのみNK活性増強効果を発揮し、脾臓細胞からIFN-γ産生の上昇が認められています。
また、これらのヨーグルトから精製した、菌体外多糖の中で、IFM-γ産生誘導活性が認められたのは、OLL1073R1-株ヨーグルトの菌体外多糖のみだと言われています。
そして、OLL1073R1-株ヨーグルトのNK活性増強効果には、IFM-γが必須であり、その産生誘導には菌体外多糖が重要であることが示唆されています。
OLL1073R1-株が産生する菌体外多糖の抗インフルエンザ活性
OLL1073R1-株が産生する菌体外多糖のウイルス感染防御効果についても検証されています。
これは、マウスにインフルエンザウイルスを経鼻感染させる、21日前から毎日マウスにOLL1073R1-株を毎日マウスに経口投与した結果、マウスの生存日数を延長させたと言われています。
また、感染4日後には、OLL1073R1-株を投与したマウスは、脾臓細胞のNK活性が上昇した報告も上がってきています。
OLL1073R1-株ヨーグルトは、菌体外多糖のNK活性だけではなく、ウイルスの特異的な抗体価を上昇させることで、抗インフルエンザ活性を発揮すると考えられています。
おわりに
OLL1073R1-株は免疫賦活作用を向上させ、かつウイルスの防御にも有用だと言われています。
しかし、今回の内容はマウスでの事例が多いため、一参考として頂ければ幸いです。
様々な感染症が流行っている世の中ですが、菌やウイルスに負けない身体を作っていきましょう。
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