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心リハ指導士が教えるフレイル(虚弱)の初期症状とは?

今回はフレイルの初期症状について説明していきます。

心リハ指導士の立場から、フレイルについて説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!

はじめに

フレイルは、高齢者に多く見られる身体機能や精神的な衰えを指す状態で、健康と病気の間に位置する「虚弱」な状態です。

フレイルが進行すると、転倒や骨折、さらには寝たきりのリスクが増大し、生活の質が著しく低下する可能性があります。

しかし、フレイルは早期に発見し、適切な対策を講じることで、その進行を遅らせたり、改善することが可能です。

今回は

  1. 体重の減少
  2. 筋力の低下
  3. 疲れやすさと倦怠感
  4. 歩行速度の低下とバランス感覚の悪化
  5. 社会的活動の減少と心理的な変化

をもとに、心リハビリテーション(心リハ)指導士の視点から、フレイルの初期症状について詳しく解説し、日常生活の中でどのようにしてこの状態を見極めるかを紹介します。

1. 体重の減少

フレイルの初期症状として、最も分かりやすいのが体重の減少です。

特に、意図しない体重減少が見られる場合は注意が必要です。体重が減少する原因の一つに、筋肉量の減少が挙げられます。

筋肉量が減ると、基礎代謝が低下し、さらにエネルギー消費が減少することで、栄養バランスが崩れやすくなります。

結果として、体重が減少し、さらなる筋力低下を招く悪循環に陥ることがあります。

体重の減少は、特に高齢者にとって深刻な問題です。

筋肉量の減少は、転倒リスクの増加や、骨折のリスクを高めることが知られています。

これらのリスクが現実のものとなる前に、体重の変化を定期的に観察し、体重が減少し始めた場合は、食事の改善や運動を通じて早期に対応することが求められます。

また、体重減少の背景には、食欲不振や口腔機能の低下、消化吸収機能の低下などが関係していることもあります。

食事の量が減っている、食事に興味を示さなくなっている場合も、フレイルの初期症状と考えられるため、早めの対応が必要です。

2. 筋力の低下

フレイルのもう一つの重要な初期症状は筋力の低下です。

筋力の低下は、日常生活の中での動作や活動に直接影響を及ぼし、活動量の低下につながります。

例えば、握力が低下すると、重いものを持ち上げたり、蓋を開けるといった簡単な動作が困難になります。

また、脚の筋力が低下すると、歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まります。

筋力低下の初期兆候は、日常生活の中で気づきにくいことがありますが、いくつかのポイントに注意することで、早期に発見することが可能です。

例えば、「椅子から立ち上がるのが難しくなった」「階段を上るのがしんどい」「歩く速度が遅くなった」といった変化が見られる場合、筋力低下が進行している可能性があります。

筋力低下は、放置するとフレイルの進行を加速させるため、早めに対応することが重要です。

心リハ指導士としては、患者さんに適切な筋力トレーニングを推奨し、日常生活の中で筋力を維持・向上させるためのアドバイスを行うことが求められます。

特に、筋力トレーニングは筋肉量の維持だけでなく、転倒リスクの低減にもつながるため、定期的な運動習慣の確立が重要です。

3. 疲れやすさと倦怠感

フレイルの初期段階では、以前は問題なくこなしていた日常的な活動が負担に感じられることがあります。

具体的には、疲れやすさや倦怠感の増加が挙げられます。これらの症状は、身体の回復力が低下し、エネルギーレベルが減少していることを示しています。

疲れやすさや倦怠感は、日常生活の活動レベルに直接影響を及ぼします。

例えば、ちょっとした家事や買い物、散歩など、以前は難なくできていたことが億劫に感じられるようになり、その結果、活動量が減少します。

活動量が減ると、さらに筋力が低下し、フレイルの進行を促進してしまうため、この段階での対応が非常に重要です。

倦怠感はまた、精神的な側面にも影響を与えることがあります。

疲れがたまることで、やる気や集中力が低下し、日常生活への意欲が失われることがあります。

このような状態が続くと、社会的な孤立感が増し、精神的な健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

心リハ指導士としては、患者さんに対して無理のない範囲での活動を促し、徐々に活動量を増やしていくための指導を行うことが重要です。

4. 歩行速度の低下とバランス感覚の悪化

歩行速度の低下は、フレイルの初期症状の一つとして知られています。

歩行速度が遅くなることは、筋力の低下やバランス感覚の悪化を示しており、転倒リスクが増加するサインでもあります。

歩幅が狭くなり、一歩一歩が不安定になることで、歩行時にふらつくことが多くなることが特徴です。

歩行速度が低下すると、生命予後の低下に繋がることも、研究で解明されています

バランス感覚の悪化は、特に狭い道や階段を歩く際に顕著に現れます。

フレイルの進行に伴い、バランスを保つために必要な筋力や柔軟性が低下し、これが転倒の原因となることが多くあります。

転倒は高齢者にとって重大な問題であり、骨折やその後の寝たきり状態につながることがあるため、歩行速度の低下とバランス感覚の悪化に対しては、早期の対応が必要です。

心リハ指導士としては、歩行速度の観察やバランス感覚の評価を定期的に行い、患者さんが安全に歩行できるようサポートすることが求められます。

また、バランス訓練や歩行補助具の使用を含む対策を指導し、転倒予防に努めることが重要です。

5. 社会的活動の減少と心理的な変化

フレイルの進行とともに、社会的な活動が減少し、孤立感が増すことがあります。

外出が減り、人との交流が少なくなると、身体機能の低下がさらに進行しやすくなります。

また、心理的な側面でも変化が見られることが多く、気分の落ち込みや不安感の増加が見られることがあります。

社会的な活動の減少は、身体的な問題だけでなく、精神的な健康にも大きな影響を与えるため、心リハ指導士としては、この側面をしっかりと観察することが求められます。

例えば、患者さんが以前に比べて外出を避けるようになった、趣味や興味を持つ活動に対する意欲が低下しているといった場合、これらはフレイルの進行を示すサインである可能性があります。

孤立感の増加や心理的な変化に対しては、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、適切な社会的サポートや心理的サポートを提供することが重要です。

家族や介護者との連携を図り、患者さんが社会的に孤立しないように支援することが求められます。

地域の活動や100歳体操などに積極的に参加することで予防にもなります

おわりに

フレイルは、早期に発見し適切に対処することで、その進行を遅らせたり、場合によっては改善することが可能な状態です。

心リハ指導士としては、フレイルの初期症状を見逃さず、患者さんに対して適切な指導とサポートを提供することが非常に重要です。

今回、紹介した初期症状に注意し、早期に対応することで、患者さんが健康で自立した生活を続けるための支援が可能になります。

フレイルは、単に身体の衰えだけでなく、精神的な健康や社会的なつながりにも影響を及ぼします。

これらの側面に対しても配慮し、総合的なアプローチでフレイルの予防と管理に取り組むことが、患者さんの生活の質を維持するための鍵となります。

今後も、フレイルに関する知識を深め、患者さんの健康維持に努めていきましょう。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

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