今回はフレイルの有病率と危険因子について説明していきたいと思います。
はじめに
フレイルは生理的な予備能力あるいはストレスに対する抵抗性が低下し、健康障害を招く危険性が極めて高い状態です。
現在、広く用いられているFriedらの操作的な定義に従えば、フレイルは、
- 体重減少
- 筋力低下
- 疲労感
- 歩行速度の低下
- 身体活動の低下
の上記のうち、3項目以上に該当された場合とされています。
今回はフレイルを有する高齢者の特徴や危険因子や有病率について説明していきます。
フレイルの有病率について
地域によって開きがあるもののFriedらの操作的定義に準拠すると、フレイルの有病率は概ね10%で、予備群(プレフレイル)を含めるとその割合は50%に達します。
男性よりも女性に多く、高齢になればなるほどその割合が高くなるのも特徴の1つです。
女性の方が多いのは、女性は男性に比べて筋肉量が少ないことが一つの要因だと考えられます。
フレイルの発症に関与する危険因子とは?
現在の所、慢性疾患(冠動脈疾患、脳血管障害、糖尿病、高血圧症、大腿骨頚部骨折、慢性閉塞性肺疾患)の病気を持っている人やうつ兆候、食欲不振、喫煙、生活空間の狭小などがフレイルの危険因子であろうと考えられています。
生活空間の狭小とは、社会とのかかわりが減少していることを指します。ボランティアや地域の余暇活動などの社会的活動が多い人ほど、フレイルの発症は低くなる可能性がありますので、積極的に外に出る機会を増やしてみてもいいでしょう。
日本におけるフレイルの有病率
65歳以上の地域高齢者を4745名を対象とした機能検診を結果をもとに、日本人高齢者におけるフレイルの有病率を算出した研究結果があります。
これはFriedらの操作的定義に従って、フレイル5項目の調査方法と該当基準を決定し、3項目以上に該当する人をフレイル、 1~2項目に該当する人をプレフレイルと判定されています。
その結果、フレイルの有病率は65歳以上の高齢者全体の11.3%、プレフレイルは56.9%で、両者を含めると有病率は68.3%となっています。
また、高齢になればなるほど有病率は増加し、80歳以上では男女ともに30%を上回っています。
男女別に比較すると、やはり男性にくらべ女性の方がフレイルの高い有病率を示す傾向にあります。
この結果からみても、フレイルに陥る可能性は誰にでもあります。
特に40~50代の方は、他人事にせず、これから運動や食事を見直してみることがまず進める一歩だと間げます。