今回は、栄養でのフレイル予防について説明したいと思います。
はじめに
日本は超高齢社会に突入しました。要介護者が増加している現状を考えると、フレイル予防が重要な課題であることは簡単に理解ができると思います。予防のためには、食事や栄養での対策が運動と並んできわめて重要となってきます。
フレイル予防に関係する栄養素は何ですか?
健康保持にはあらゆる栄養素が関係していますが、とくにたんぱく質とビタミンDの不足に注意する必要があります。また、炭水化物や脂質も適量に摂取して食事量(エネルギー摂取量)を確保することが重要で、体重減少や筋力減少を防ぎ、たんぱく質利用効率を高めることができます。
フレイル予防においてたんぱく質摂取の重要性は多くの研究によって報告されています。オランダの研究によると、70歳代男女において除脂肪量(筋肉など体脂肪以外の組織重量)の減少量はたんぱく質摂取量(調査開始時)と関係していて、たんぱく質を多く摂取した群(1.2g/体重㎏/日、平均91/日)では、少ない群(0.8g/体重㎏/日、平均56g/日)よりも、3年後までの除脂肪量の減少を40%抑えることができたと報告されています。
また65歳以上の日本人女性を対象とした調査では、フレイルのリスクの低い群はたんぱく質を70g/日以上摂取していました。食事摂取基準(2015年)の推奨量の50g/日よりも多く摂取する必要があるかもしれません。
筋肉の萎縮を予防するには、1日のたんぱく質を体重㎏あたり、1.0~1.5g/日程度必要だという意見もあります。
予防するためにはどのような食事をしたらよいですか?
低栄養状態を回避することが一番重要です。欠食しないで、1日に3回きっちりと食事をすることが望まれます。主食(ごはん、パン、麺)、主菜(肉や魚、卵、大豆製品など)、副菜(野菜料理)をそろえるとバランスのとれた食事となります。
また、カルシウムの供給源となる、牛乳・乳製品と、ビタミンCや食物繊維の豊富な果物を加えることによって、食事が充実した内容になります。食の細い人では間食も積極的に取り入れる工夫が必要です。
食事改善に運動療法を併用することでフレイルの予防効果は高まります。
食欲がないときはどうしたらいい?
まずは、食べられる物、好きな物を少しづつでも食べることが大切です。
栄養補助食品を利用するものいいでしょう。エネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルが強化されている商品は市販でも売っています。また、身体の中の水分が不足して脱水にならないように、水分補給も忘れないよう気を付ける必要があります。
終わりに
フレイルの予防には食事は重要です。これからもフレイルの食事ついて発信していきますので、よければお付き合いの方よろしくお願いします。