今回は筋量・筋力向上による、フレイル予防について説明したいと思います。
はじめに
フレイルは身体的・精神的、社会的な3つの側面によって構成されています。
一般的には、身体的フレイルを指してフレイルと定義されることが多く、フレイルのスクリーニングとして有名なFiredらが作成したものも、比較的身体的フレイルに偏った内容となっています。
そして、このフレイルの有病率は加齢とともに増加すると言われており、80歳以上では約30%以上の方がフレイルに該当すると言われています。
フレイル予防・改善に最も効果的な介入はなんですか?
フレイルを予防するには筋力を強化するような、レジスタンストレーニングが効果的と言われています。
レジスタンストレーニングとは、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返して行う運動のことです。分かりやすい運動の例を挙げますと、「スクワット」、「腕立て伏せ」、「ダンベルを使った運動」などがイメージしやすいかと思います。
フレイルな高齢者に対する運動の介入の在り方は
①筋力トレーニングは積極的に取り入れるべき
②介入期間は12週間以上とする
このことが推奨されています。
またフレイルな高齢者に対しては、必ずしも息切れや動機が起こるような高強度なトレーニングは必要なく、比較的低負荷な運動でも十分に効果が得られる可能性が示唆されています。
まずは、一日にスクワット+立位でもかかと上げを10回づつからでも始めてみて下さい!
レジスタンストレーニング以外に有用な介入方法はありますか?
ウォーキングやサイクリングといった、簡単かつ継続できる運動も効果的です。
80歳以上の高齢者では、3Met’sの運動(普通歩行)であっても高強度に相当することがあります。このことから、ウォーキングを主体としたトレーニングプログラムでも身体機能を向上させるような効果がある可能性があります。
Talbotらは、高齢膝関節症患者さんを対象に、1日当たりの歩数を4週間ごとに10%づつ増加させるといったプログラムを12週実施しました。
その結果、1日当たりの歩数は3519歩から4337歩に約23%増加し、筋力や歩行能力の向上に至ったことを報告しています。
日々の活動量を増加させるといった非常にシンプルな方法であっても、身体機能低下を認める高齢者やフレイルな高齢者に対しては身体機能向上に際して有用になる可能性があります。
お勧めの運動方法は、一日に自覚症状で「楽である~ややきつい」程度での歩行スピードでの歩行を15分~30分程度、週3~5回程度行い、そこに、スクワットや踵上げなどのレジスタンストレーニングを組み合わせることが、身体機能の維持・向上につながると思います。
まずは、日々の生活の中で、低負荷でもいいので、運動習慣を取り入れていきましょう。