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誰でも分かる人工透析の基礎について

今回は、人工透析の基礎について説明していきます

心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!

目次

  1. はじめに

  2. 見出し1:人工透析とは何か

  3. 見出し2:主要な透析の種類とその仕組み

  4. 見出し3:人工透析が必要となるタイミング

  5. 見出し4:日本と世界における透析患者の現状と統計

  6. 見出し5:未来の透析技術と革新

  7. おわりに

  8. 参考文献


1. はじめに

人工透析(じんこうとうせき)は、腎臓機能が低下した際に“腎臓の代わり”となり、血液を浄化する医療技術です。

腎不全や末期腎疾患の患者さんにとっては命綱とも言える治療ですが、「腎臓のどんな機能が補われるのか」「どんな種類があるのか」「将来どんな技術が出てくるのか」など、意外と知られていないポイントも多いはずです。

ここでは、誰でも理解できるように、専門用語を避けつつ、最新の研究動向や日本国内の特徴など、ネットに書いていない独自の視点も交えながら解説します。


2. 見出し1:人工透析とは何か

  • 腎臓が担っていた役割を代行

    • 腎臓は血液から老廃物や余分な水分を取り除き、ミネラル・電解質のバランスを保ちながら、血圧や赤血球生成もコントロールしています。透析は血液浄化という面でその一部を補います

  • 急性 vs 慢性疾患に応じた役割

    • 急な腎機能障害(AKI)の場合、一時的な処置として使用。

    • 慢性腎疾患が進行し末期腎不全に陥った場合、長期的な治療として不可欠になります

 


3. 見出し2:主要な透析の種類とその仕組み

  • 血液透析(Hemodialysis:HD)

    • 血液を体外に導き、ダイアライザー(人工腎臓)で老廃物や余分な水分をろ過し、再び体内へ戻します

    • 通常は週3回、1回3〜4時間が基本。個人差や在宅治療など、選択肢もあります

  • 腹膜透析(Peritoneal Dialysis:PD)

    • 腹膜(お腹の内膜)を「生体フィルター」として利用する方法。透析液を腹腔に注入し、老廃物を拡散させて除去。自宅で行えるのが大きな特徴

    • 日中に手動で交換するタイプ(CAPD)や夜間に機械が自動交換するタイプ(APD)があります

  • その他の方法(補助的治療)

    • 血液濾過(Hemofiltration):圧力で血液をろ過し、大きな分子も取り除く方法

    • 血液透析と濾過を組み合わせた血液透析濾過(HDF):高機能で日本でも普及が進んでいます

 


4. 見出し3:人工透析が必要となるタイミング

  • 腎機能の進行による限界

    • 腎臓の機能(推算GFR)が15 mL/分未満、または尿毒症などの症状が出たとき、透析が検討されます

  • 治療の目的と選択肢

    • 腎移植が理想ですが、日本では臓器提供が少なく、透析が主要な代替手段です

 


5. 見出し4:日本と世界における透析患者の現状と統計

  • 日本の透析患者数の推移

    • 2013年時点で約31万4千人が透析治療を受けており、その後も横ばい傾向。新規導入患者は年間約38,000人

    • 原因別では、糖尿病性腎症が最多(新規:約43.8%、全体:約37.6%)、続いて慢性糸球体腎炎:約32.4%

  • 世界的な透析動向

    • 2010年には約260万人が腎代替療法を受け、2030年には540万人に達すると予測されています

    • 血液透析は世界で最も一般的な治療法で、KRT(腎代替療法)の69%、透析の89%を占めます

  • 患者の負担と課題

    • 心血管疾患は透析患者の3分の2以上に影響し、死亡原因の約50%を占める重要な問題です

    • 生活の質や経済的負担も高いため、継続的なフォローと改善が求められます

 


6. 見出し5:未来の透析技術と革新

  • 日本発の革新的PD技術

    • 低NPC(低グルコース代謝生成物)溶液や、PDとHDを組み合わせたハイブリッド療法により、腹膜の劣化や透析継続問題に対応する動きがあります

  • 人工腎臓の進化とウェアラブル化

    • 「人工腎臓(artificial kidney)」としては、生体細胞を使ったバイオ人工腎臓や、装着型・埋め込み型の将来型デバイスの研究も進んでいます。FDAもウェアラブル人工腎臓の臨床試験を承認する段階に入りました

 


おわりに

人工透析は、腎臓が持つ複雑な機能の一部をカバーする重要な命綱です。

血液透析や腹膜透析、補助的な濾過療法など、選択肢こそ複数ありますが、それぞれに利点と課題があります。

特に日本では糖尿病による腎障害が主な原因として、透析患者数が多いのが現実です。

しかし、低負担の治療法、ハイブリッド療法、生体適合性の高い透析液、さらには将来の人工腎臓など、未来へ向けた技術革新も進んでいます。

大切なのは、ただ数字や方法を知るだけでなく、「患者さんの生活をどう支えるか」「医療の未来をどう形作るか」を、ともに考えていくことです。

このコンテンツが、その一助となれれば幸いです。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました


参考文献

  1. Cleveland Clinic. Dialysis: Types, How It Works, Procedure & Side Effects

  2. Japanese Society for Dialysis Therapy. An Overview of Regular Dialysis Treatment in Japan (as of 31 December 2013) 日本透析医学会

  3. National Kidney Foundation. The Future of Artificial Kidneys

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