今回は、変形性股関節症の早期対応法について説明していきます
理学療法士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
目次
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はじめに
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変形性股関節症とは?
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初期症状を見逃さないために
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海外研究から見る最新の知見
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自宅でできるセルフケアと運動
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医療機関での早期対応の重要性
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おわりに
はじめに
階段を上り下りするときに股関節に違和感を覚えることはありませんか?
実はその「ちょっとした痛み」や「動かしづらさ」が、変形性股関節症の初期サインかもしれません。
変形性股関節症は進行性の疾患であり、放置すると関節の変形が進み、人工股関節置換術が必要になることもあります。
しかし、早期に適切な対応を行うことで進行を遅らせ、生活の質を大きく改善することが可能です。
理学療法士としての臨床経験と、最新の国内外の研究成果を交えながら、予防や早期対応のための知識をお伝えします。
変形性股関節症とは?
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股関節の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が生じる疾患
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日本では特に女性に多く、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全が背景にある場合が多い
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発症の平均年齢は40〜60歳代だが、近年は若年層の報告も増加
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病期は「初期 → 進行期 → 末期」に分けられ、早期対応が予後を大きく左右
初期症状を見逃さないために
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階段の昇降時の痛み:平地では問題なくても、階段や立ち上がりで痛みを感じる
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股関節のこわばり:朝や長時間座ったあとに動かしにくい
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可動域の制限:正座やあぐらがしにくくなる
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代償動作の出現:痛みを避けて腰や膝に負担がかかり、二次的な症状が出る
海外研究から見る最新の知見
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運動療法の有効性:2022年のオランダのRCT研究では、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせることで痛みの軽減と歩行能力改善が確認された
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体重管理の重要性:イギリスのコホート研究では、BMIが25を超える人は発症リスクが2倍に
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炎症マーカーとの関連:アメリカの最新研究では、慢性炎症が進行速度を加速する可能性が示唆されている
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遺伝要因:北欧の研究で、股関節形態の遺伝的要因が発症率に関与していることが報告
自宅でできるセルフケアと運動
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股関節ストレッチ:股関節周囲の柔軟性を保ち、関節の可動域を維持
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中殿筋の強化運動:横向きに寝て脚を上げる「サイドレッグレイズ」で骨盤の安定性を高める
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有酸素運動:水中歩行やエアロバイクで股関節に負担をかけずに筋力を維持
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温熱療法:入浴やホットパックで血流を改善し、痛みを緩和
医療機関での早期対応の重要性
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画像診断による確認:レントゲンやMRIで関節の変化を早期に把握
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保存療法の開始:理学療法・装具療法・薬物療法を組み合わせて進行を抑制
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定期的なフォローアップ:進行度を評価し、適切なタイミングで治療方針を見直す
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手術を避けるための戦略:早期からのリハビリ介入が人工関節置換術の回避につながる
おわりに
変形性股関節症は、放置すれば進行して生活に大きな支障をきたす病気ですが、「気づいた時点」で対応することが未来を大きく変えるカギです。
階段での違和感や軽度の痛みを「年齢のせい」と片付けず、早めに専門家に相談することが最も重要です。
理学療法士として強調したいのは、適切なセルフケアと医療機関での早期対応の両輪が予防と改善の鍵になるという点です。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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Knoop J, et al. “Exercise therapy in patients with hip osteoarthritis: a randomized controlled trial.” Ann Rheum Dis. 2022.
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Blagojevic M, et al. “Risk factors for hip osteoarthritis: obesity, physical activity, and joint injury.” Ann Rheum Dis. 2009.
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Arthritis Foundation. “Hip Osteoarthritis: Symptoms and Treatment.” https://www.arthritis.org
